卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第220話 会社経営、はじめました

 あたりを見渡しながら【ダスター都市】の歩道をとことこと歩いていく。周囲のビルには【ヘル商事】【暗殺探偵社(株)】といった表札や看板がついており、何らかの会社であることがうかがえる。……アポなし訪問とかしていいんですかね?

 

 会社名からは、何を扱っている会社なのかまったくわかりませんね。少し気にはなりますが、訪問するならもっとわかりやすい会社がいいなあ。

 

「ここに会社のキャッチコピーがありますよっ!『下等国民から全てを搾取します。ヘル商事』ですって!」

 

「どういった層に向けてのキャッチコピーなんですか……?」

 

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>労働基準法守ってなさそう

 

>トイチでお金貸してくれそう

 

>闇組織の統括とかしてそう

 

>ガード仕事しろ

 

>ガードはPKと器物損壊以外完全スルーなんだよなあ

 

>詐欺ならセーフってマジ??

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 逆に気になってきましたね。ちょっと、訪ねてみましょうか?恐る恐る自動ドアをくぐって中に入ってみる。正面には受付があったので、話をうかがってみましょう。

 

「いらっしゃいませ。融資でしょうか。薬物でしょうか。工作活動も承っておりますよ」

 

「いっそ清々しいくらいに怪しいね♥ちなみに薬物ってどんなの?」

 

「例えばこちらの薬物は、5分間だけ全ステータスが2倍になる代わりに、その後は死亡して強制的にログアウトされます。しかも復帰時には、依存状態の妨害(デバフ)が1日間適用されますよ」

 

「……ここぞというときなら、なくはないのかもしれないけど、使う状況にはなりたくないね」

 

「買いますっ!10個くださいっ!」

 

「ちょっとー、妹ちゃん?」

 

「お姉ちゃんですっ」

 

 明らかなヤバい系の薬物を即決で購入する我らが妹の灑智。ちなみに【フォッダー】内の法律には違反しない極めて健全な薬物だそうです!

 

「はやく使ってみたいですっ!」

 

「せめて敵と戦うときに使ってくださいね……?」

 

 薬物に関してはまあ、デメリットがとてつもなく重いドーピング薬の類ということで納得しましょう。借金に関しても、どうしてもお金が必要になったときには仕方ないですよね。

 

 でも、1つだけ気になる項目もある。

 

「工作活動ってなんですか……?」

 

「工作活動をご希望ですか!ありとあらゆる手段で、特定の情報を世界中に広めたり、特定個人へのネガティブキャンペーンを打ったり、犯罪行為を擦り付けて指名手配をさせたり、なんでもできますよ。格安プランもございますのでぜひご検討を!」

 

「すっごい嫌がらせみたいな会社ですね。みなさんはこんな会社を利用しちゃダメですよ?」

 

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>俺たちを信用してないのかよ

 

>こんな怪しい会社を利用するわけないだろ

 

>そうだそうだ!俺は清く正しく生きているんだ!

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 ちなみに後日、無事に指名手配されました。

 

 

 灑智は薬物を購入したようだけど、他に得るものはなさそうなので会社を後にする。他の会社も見て回りたいところなのだけど、看板を見る限り、どこに需要があるのかわからない闇系の組織しかないようだ。この街って犯罪都市なんですか?

 

 と、そこでボクたちと入れ違いに【ヘル商事】に入ろうとする人が1人——アリンドさんだ。何かイベントのトリガーを踏んでしまったのでしょうか?

 

「あ、アリンドくんこんにちは♥どうしたの、こんなところで?」

 

「ああ、ここでは世論工作を取り扱っていると聞いてな。魔族のポジティブキャンペーンをしてもらおうかと」

 

「いやいや、やめておきましょう!ね?」

 

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>草

 

>これがフォッダー界の元勇者様だ、崇めろ

 

>ステマで炎上とかしてそう

 

>これは間違いなく現代における情報戦の何たるかを理解しているプロだな

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 必死の説得の末にアリンドさんには帰ってもらいました。クエストでもなんでもないイベントでしたね。

 

 基本的にこの街の会社はどうしようもない企業ばかりのようなのだが、ちょっと小耳に挟んでいた情報がある。なんとこの都市ではプレイヤーも会社を経営できるらしいのだ。

 

 詳しい仕様はよく理解していないのだけど、どうやら他の街への支社を設立することもできるのだとか。そこで開拓イベントのときはそのシステムを利用してボクもお店を始めてみようと考えたのだ。

 

「じゃあ次はプレイヤーメイドの会社を見てみよっか♥【マップ】に書かれてないところがそうなんだよね?」

 

 【メニュー】から【マップ】を見る限りでは、もう怪しいとしか言いようがない会社しかないのだけれど——なるほど。確かに【マップ】に記されていない箇所にある会社はまともそうに見える。

 

「この建物はお店ではなく工場のようですね。アイテムを大規模生産できる施設なのでしょうか。残念ながら立ち入りはできないようです」

 

 ボクたちのような部外者は立ち入り禁止のようだけど、たまにNPCの方々が出入りしている様子が見受けられる。彼らはプレイヤーに雇われているのでしょうか。

 

「外から見てもよくわかんないね。わたしたちも会社を作ってみようよ♥」

 

「賛成ですっ!『株式会社 お姉様』を作りましょう!」

 

「『株式会社 お姉様』って……何を売るの?」

 

「お姉様のブロマイドですっ。爆売れしますよっ!お姉様ですから!」

 

「とがみんのブロマイドも作ってよ♥」

 

「いいですよ。私はお姉ちゃんですから妹の要望には応えますっ!」

 

 『株式会社 お姉様』はともかく、会社を作ることには大賛成だ。【役所】を訪れて所定の金額を支払うと、すぐに会社を登録することができた。

 

 適当な都市の端っこに事務所を新設して【ギルド】とのポータルをつなげておく。コメント欄ではポータルの私的な増設はやめろと文句を言われているが、『ギルドマスター』たるボクの判断は絶対である。貢献値は余っているのでみんなもどんどん増設してね。

 

「従業員は3名、アットホームな職場ができましたね。さて、何を売りましょう?」

 

 まずは視聴者さんにも入ってもらおうかと、最大従業員数を確認してみたけど、プレイヤーの加入数は5人までのようだ。その代わり、NPCは膨大な人数を雇用できるみたい。

 

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>プレイヤーがそれぞれで会社を建ててNPCを大量雇用しても大丈夫なのって凄いな。しかも全員AIなんだろ?

 

>同じ人が10000役くらいNPCを兼業してそう

 

>そもそも一般モンスターすらAIが担当してるんだから今更だぞ

 

>別のチャンネルで5000人雇って集団狩猟させてるやつがいるぞ

 

>もうそれNPCが普通にゲームを遊んでるだけだろ

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 そんな恐ろしい世界(チャンネル)があるんですね……。ボクたちが活動している世界(チャンネル)以外の場所では平常時の配信が禁止されているので、残念ながらその光景をカメラに収めることはできない。かなしみ。

 

「【マクロ】を使って大量生産している人なんかもいるって聞きましたけど、NPCを大量雇用して生産を行うシステムが存在しているのであれば、市場の崩壊は起きないでしょうね」

 

「やっぱりバグっぽいゲームの挙動もちゃんとした仕様なんだね。ユーキちゃんはすごいよねー♥」

 

 バランスが崩壊しすぎて、どんな要素が来ても別に言うほど壊れてない気がしてくるだけなんですけどね。

 

 さて。それでは早速NPCを雇用してみましょうか!

 

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