卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
さて、やってきました【サッド街】。【ギルドホーム】のポータルから一直線に飛んできたので、新マップのどの辺りに位置するエリアなのかはまったくわかりませんが、とにかく来ました。
で、どんな街なのか知らずに訪れたわけですが……なるほど。コメント欄に『埋まっている』などと評されていましたが、これは確かに埋まっていますね。
どうやらこの街は他のエリアと比べると地下に位置しているようで、空を見上げても太陽が見えず、代わりにいくつもの照明がぶら下がっている。地底人の住まう都市なのでしょうか? しかし、別に地底人らしい存在が生活しているというわけでもなく、ごく普通の人間NPCや転生したモンスター型NPCが活動しているらしい。
いったいどういう理由でこんな薄暗いエリアに暮らしているんだろう? 太陽に弱い吸血鬼なんかがいるというわけでもなさそうだけど、なにか合理的な理由があるのだろうか。
道行くNPCの方に聞いてみることにした。
「なぜこんな地下空間で生活しているのですか?」
「【邪神】テュポーン様の教えだから」
なんかよくわからないけど、邪教の信徒だそうです。
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>邪教の街とか怖すぎだろ……
>でも邪神を崇めてる以外は良い人だよ
>帝神とか空神とかは逝ってるのに邪神だけは信仰され続けてるってやべーな
>もしかして黒幕戦にも関わってくる人だったのかな
>仮にも神なんだからなにかしら関わってただろうな。その辺りのシナリオ全部スキップされたが
>女神死ね
>邪神よりも敬われない女神とかいうクソゴミ
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コメント欄によると、邪神を崇めているけど良い人らしい。なのでこの街の特色について聞いてみると、快く教えてくれました。
「ここには【祠】があるよ。【邪神の加護】は誰でもウェルカム。来るもの拒まず、去るもの追わず!それにさまざまな特典が得られるんだ。信仰したくなったかい?」
「ほうほう、もらえるものであればぜひもらっておきたいですね。さっそく行ってみましょうか」
【邪神の加護】
[パッシブ][ブレッシング]
効果:[自身]の[スキル][発動時]の[コスト][消費]が[増加]する。[増加分]の[一部]を[邪神ポイント]に[加える]。
というわけで、こんなのをもらいました。
「明らかに呪いか何か、そういう類に見受けられるのですが……」
一般的な
しかしこの【加護】には『スイッチ』の機能が備わっていない。つまり半強制的にスキルの消費コストが増加し、【邪神ポイント】という意味不明なポイントがもらえるということだ。
このポイントが便利なお得機能なのであれば仕方が無いと思うのだが、一方的に搾取されるのはごめんですよね。
「荒罹崇に取得してもらって助かったね。わたしはやめとこ♥」
「あっ、ずるい」
「呪いですかっ!?私はもらいますっ!【邪神ポイント】を貯めますよっ!」
そしてなぜか呪いが好きで、呪われた装備ばかりをつけているボクの妹——灑智は、ボクのがっかり具合とは真逆に、大喜びで【加護】を取得した。
「ちなみにこのポイントは何に使えるんですか?」
「好きなときに、コストの代わりに消費できるぞい」
「変換効率はいくつですか?」
「100:1じゃな」
「変換されなかった部分はどこに行くんですか?」
「邪神様の力になるのじゃ」
「クーリングオフをしていいですか?」
「駄目じゃ」
「去るもの追わずって聞きましたよ!」
「追わないけど、去るための道のりは厳しいんじゃ」
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>死ぬほど効率の悪いMP預金って事か
>クエストでスキルは取り除けるぞ。めっちゃ難易度高いが
>邪悪すぎる……
>でも産廃ではないんじゃね?ここぞという時にいつでも引き出せるのは強い気がする
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確かに使い道が無いとは言わない。むしろ準備コストを度外視して考えるなら、最大最高の瞬間出力を発揮できる強力なスキルである可能性もある。でもなんかむかつきません?【邪神】さんに手数料を差し引かれるんですよ!?
一方で灑智は【加護】を受け取った瞬間から意味もなくスキルを乱発して【邪神ポイント】を貯めていく。ボクも試しにHP消費系の炎属性スキルを放ってみたけど、確かにいつもより消費量が多い。ただでさえHPを割合で削っていくのが炎属性なのに、消費量が10%増しで持っていかれているようだ。
まあ、もらってしまったものは仕方ない。直近のイベントは戦闘系ではないわけだし、解除用のクエストを気長に攻略していくとしましょうか。
さて、とんだ呪いを頂いてしまったわけだけど、【サッド街】の探検は続く。適当に道を歩いているNPCに声をかけてみると、【加護】を頂く前と頂いた後とで、現地住民の反応がまったく違う。確かにさっき話した人も親切な人ではあったけど、今回はまるで長年の時を共に過ごした同胞であるかのようにフレンドリーに接してくれるのだ。きっと仲間として扱われているのでしょうね。
【加護】持ち専用の会員制【邪神ショップ】や、【邪神ポイント】を払うだけで長時間の
というわけでさっそく【邪神ショップ】に行ってみることに。ボク達は信仰したてほやほやで【邪神ポイント】も少ないので、道中はスキルを空打ちしてコストを支払いながらとことこと歩んでいく。
そして恐ろしいドクロのマークが特徴的な、まさしく「邪教です」と言わんばかりのお店に入ってみることにした。
店の中には『怪しい儀式にでも使いそうな骨』やら『どす黒い血に塗れた水晶玉』など、さまざまなオカルトグッズが展示されている。
いかにも怪しくて近寄りがたい施設なのだけど、プレイヤーにとって便利なアイテムもあるのか、店内では数名のプレイヤーがアイテムを物色していた。
「ヒヒヒ……この【血に染められしガーネット】でアイツを……きひっ」
「お兄ちゃん、どいて? そいつ殺せない!」
「待て!早まるな!」
「卍さんにチャンネル登録が外される呪いを掛けてやるぜ……ククク」
邪悪な店には邪悪な方々が集まるのだろう。謎の痴話喧嘩を繰り広げている人や、呪いを掛けようとしている人など、まさに混沌たる様相を呈していた。
「お姉様、素晴らしい場所ですね! アイテムを見ていきましょうっ!」
そんな異様すぎる光景に、目をキラキラさせて大喜びする灑智。どうしてボクの妹はこんなに呪いが好きなの……?