卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第224話 トラップだらけの邪神店

 少し混沌とした光景を見回して気づいたのだけど、【邪神ショップ】には店員さんがいないらしい。

 

 無造作に台の上に置かれているアイテムにポイントを注ぎ込むと、自分の所有物になるという仕組みだ。魔法的ではあるけれど、【フォッダー】の世界にもオートレジがあるんですねー。

 

 手持ちの【邪神ポイント】は心許ないけれど、回復薬を飲んでスキルを連打するだけで増やすことができる。【帝神の加護】でMP消費100%のスキルを作れば効率も上がるし、何か良いものがあったら買ってもいいかもね。

 

 そう考えつつ、『血に染まった水晶玉』を覗き込んで効果を見てみる。

 

 

【破滅の未来】

[アクティブ][特殊][攻撃]

消費MP:48

効果:この[スキル]は[効果閲覧時]に[強制発動]する。[自身]に[ダメージ]を[与える]。

 

「くたばれ【邪神】!ばーかばーか!」

 

 覗き込んだ瞬間、HPを10%ほど削り取られた。おまけにMPも48、強制的に消費させられた。

 

 しかも再詠唱時間(リキャストタイム)がないので、眺めているだけで連続して追加ダメージが発生し、血飛沫のエフェクトが周囲に散っていく。剣で切られてもこんなエフェクトは出ませんよ?何の意味があるんですか、このクソアイテムは!

 

「買いますっ!わあっ!安いですねっ!」

 

「そりゃ安いでしょうね……」

 

 もうこのアイテムを見てしまった時点で、コストを捧げてるようなもんですから。

 

 ちなみに、こういうお店では【ストレージ】に入れなくてもアイテムの効果を見ることができる。けれど他のフィールドで、自身に所有権がないアイテムの効果を確認するには、全職共通スキルの【データスキャン】が必要だ。

 

 しかし現環境では、未鑑定装備によって効果を隠匿する戦法が主流で、【データスキャン】の取得率も低い。つまり、水晶玉を相手に見せつけてダメージを与えるという戦法は、そのままでは通用しないだろう。

 

「嫌がらせみたいなアイテムを初っ端から発見してしまいましたが……まあ、さすがにもっとマシなアイテムもありますよね。店に仕掛けられた(トラップ)みたいなものだと思いましょう!」

 

----

>普通の店にトラップは無いぞ

 

>まて、トラップがあるという事は逆に強いアイテムも隠されていると言うことでは??

 

>難易度の高いダンジョンに強いアイテムがある、これは常識だな

 

>難易度の高い店には良いアイテムがあるってマジなのですか??

----

 

「みなさん、ここを店だと思ってはいけません。ダンジョンです!この人外魔境では(トラップ)に気を配りつつ、アイテムを探していく必要があるのです!」

 

「そんなお店、わたしはやだなー♥」

 

 というわけで、水晶玉の次に目に入った真っ白な短剣の効果を見てみる。これは呪われてるようには見えないですし、きっと大丈夫ですよね。

 

【神威:無知なる叡智】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[認識外]の[攻撃]を[無効化]する。この[スキル]は[自身]が[効果]を[閲覧]したことがある[場合]は[無効化]される。

 

「店にある商品の効果を見ずに買うなんてありえないでしょ!!ハゲ!!ボケ!!」

 

----

>もしかして俺達はシステムとしてこの効果を見てないから使えるんじゃね?

 

>さすがだわ、卍さんは俺のために人柱になってくれたんだな

 

>さっそく買いに行くわ

 

>邪神はフサフサなんだよなあ

 

>店で売ってるアイテムの癖に『ブレッシング』が付いてるの草

----

 

 この配信経由で効果を見た人なら、使えるかもしれないってマジなんですか?地味ながらも有用そうなのが本当に悔しい。つまり、不意打ちは無効化されるってことですよね?

 

 まあ【モーションアシスト】を活用すれば不意打ちなんて受けないし、関係ないかもしれませんね。

 

「この装備は呪われてなさそうなので、購入はやめておきます」

 

「呪われてるかどうかが判断基準なんですね……」

 

 アイテムを見つめながら騒ぐ灑智を眺めていると、背後から声をかけられた。

 

「おねえさまも呪いファッションしませんか?♥」

 

「おや、明日香さんもお買い物ですか?」

 

「はい、【邪神】ファッションで自分をコーデしようと思いまして♥」

 

 そんなことをのたまう明日香さんの装備を見てみると……なるほど、確かに邪悪なファッションですね。真っ白なTシャツに赤い血が付着していて、仕事帰りの殺人鬼みたいで非常に怖い。こんな人に《SANチェック》されたら威力が倍増しそう。

 

 そんな恐ろしげな上半身とは対照的に、きゅーとなミニスカートを履いているのが致命的なミスマッチで、言いようもしれぬ不安感がある。首元にはドクロのネックレスをつけているのだけど、これは少し直球すぎる気がしますね。

 

「そのネックレスはちょっと合わない気がしますね。なんというか、『怖い格好を演出してる』みたいな印象を抱かせてしまうかも」

 

「そうですか?それでは別の候補を探してみましょうか♥」

 

「このうさぎのネックレスとかどうですか?逆にふぁんしーな感じが怖さを引き立てるかもしれませんっ。ちなみに私の妹をモチーフにして作ったんですよっ!」

 

「あれ、いつの間にそんなものを作ったの?肖像権の侵害だよー♥」

 

 そう言って灑智が取り出したのは、とがみんそっくりのフィギュアがついた首飾り。明日香さんの足元にいるとがみんと比べると、サイズが違うだけで見た目はほとんど同じですね。クオリティが高い。

 

「妹の肖像権は私が持ってるんです」

 

「わぁっ、かわいいですね♥いただいてもいいんですか?」

 

「大丈夫ですっ!ぜひつけてくださいっ!!」

 

「とがみんも、よろしいですか?」

 

「しょうがないなー。大事にしてね♥」

 

 そして明日香さんは、灑智がプレゼントしたうさぎのネックレスを首元に下げた。かわいいもの好きの女の子が、日課の殺人を終えた帰りみたいな感じになりましたね。素晴らしいコーデです!

 

「ちなみにその血塗られたファッションの効果はなんですか?」

 

「秘密です♥未鑑定じゃないから、鑑定されたらばれちゃいますけどね♥」

 

 むむむ、その手のスキルを持っていないボクには、見た目で判断するしか術がない。まあこの手の装備は、デメリット重めのスキルが付く印象がありますけどね。灑智みたいに、そこらへんを悪用していく構成なのでしょうか。

 

 それから3人で一緒に店の中のアイテムを物色していく。見ただけで呪われるようなアイテムが混じっているかもしれないけれど、効果を見てみないことには、性能も判断できない。

 

 まあ、さすがに3連続で変なアイテムに当たることもないでしょう。ボクは床に置いてあった、ドクロマークの紋章が刻まれた禍々しい杖の効果を見てみることにした。

 

【押し売り】

[アクティブ][特殊]

消費MP:48

効果:この[スキル]は[効果閲覧時]に[強制発動]する。[対価]を[精算]し[所有権]を[得る]。この[スキル]は[発動後][削除]される。

 

「帰ります」

 

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