卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「パーティ組みませんか?どこかに狩りに行きましょう!」←ボク
「いいですねー!どこ行きます?【ロジング砂漠】行きましょうか!」
「おっ、妖精さん採取ですか?そっちのボクが連れてる妖精さん見てて思ってたんですよ」
「この子、きゅーとですよね。できればなにか戦いに役に立ってもらおうかと思ってて、今は試行錯誤中です」←ボク
「ほえー。確か装備に憑依させられると聞きましたよ!全身を妖精装備にしてみたいなー」
「ゴブゴブ」
なんなんだろう、このカオス。自分を含めて3人のボクが和気藹々と会話している光景、これはなかなかに珍しいシーンですね?
そしてボクがいるという話を聞きつけてきたのか、ボクではない普通のプレイヤーがチャンネルを切り替えてぽつぽつとやってきている。彼らに助けてもらいたい!そんな意思を込めて視線を向けると、彼らは後ずさりして距離を取った。悲しい。
一応、特殊な装備である【情熱のビキニ】とその手に持つ【ルビーロッド】のおかげで、この中でボクが本人であるということは第三者にはわかっているはず。
未鑑定装備でない限り、付いているエンチャントによって装備の見た目が変わるので、まったく同じ効果の装備を用意できない限り、その違いは一目瞭然だ。というわけで——今回は遠巻きに見守っている人に向けてのライブ実況といこうじゃないですか!
「さあ、では【ロジング砂漠】ですね!ではさっそく行きましょう!……でもどこにあるんでしょう?」←ボク
「おや、ボクは転移系のスキルでここに来た口ですか?この【サッド街】は【ロジング砂漠】の中央にあるんですよ」
「完全に盲点でした。配信者としてはまだまだ勉強不足ですね」←ボク
「おや、そこのボクも配信やってるんですか?アバターだけじゃなく配信にまで手を広げていくとは、さすがボクのファンですね!」
……さも当然のように、ボクが模倣している側として話が進んでいく。演技なら、逆にボクの実況を見ている視聴者なだけあって非常に手の込んだいじりだなー、と思うのだけど……。
《ロールプレイング》で思考を
《ロールプレイング》は他者を演じることができる〈
もちろん彼女らの
あるいは彼女も《ロールプレイング》の領域に達している?それによってボクの思考回路を再現している?ここまで似せてきているのならありえない話ではないけれど……そうなるとこの辺り一帯に生息しているボクはみんな《ロールプレイング》を使えるということなんでしょうか?
彼女らと接して感じた疑問点をSNSにまとめて呟いておく。さすがに
他のボクに案内されて【サッド街】の外につながる坂道を登っていくボク。そして後ろから距離を取りつつも追従してくる視聴者さんたち。しばらく登っていくと……なるほど、坂道の先にぽっかりと穴が開いていて、そこから外の光が差し込んでいる。あそこが【ロジング砂漠】ですか。
その穴を抜けて、外の景色を目の当たりにしたボクはまず一言。
「砂漠ですね」
辺り一面、地平線の彼方までカラカラに乾いた砂漠だ。みどり色のサボテン?のような植物がところどころに点在している他は、地形も含めて視界を遮るものが何もない。果たして砂漠というのが本当にこういう光景なのかは浅薄なボクにはわからないけれど、少なくともファンタジー世界にありそうな砂漠ではある。
しかし、本当にこんな砂漠に妖精さんが生息しているんでしょうか?もっと森とかにいそうなイメージなんですけどね。
肩に留まっている妖精を見てみると、なぜボクに見つめられているのかわからないらしく、こてりと首を傾げている。指先でなでなでしてあげよう。
さて、そんな砂に塗れた空間にもモンスターはいる。泥団子みたいな色で、ぷにぷにとした身体を揺らしているのは【土スライム】だ。その辺の雑魚モンスターとして出てきそうな見た目だけど、ここはアップデートで追加されたマップなので【ディバインゴーレム】とかよりもたぶん強いと思う。ラスボスを倒した後に出てくる
他にも体長3mを超える圧倒的な体躯のラクダがぽやぽやしながらのっしのっしと砂漠を闊歩している。強そうだけど、スライムもラクダも
「攻撃しなければ何もしてこなそうですね。妖精さんを探しましょうか。でも、どこにいるんでしょう?」
「ボク、知ってますよ。【オアシス】でふわふわ飛んでいるらしいです。ただ、【オアシス】の位置は変動するらしいんですよね……」
「【オアシス】があればそこにいるけど、【オアシス】がどこにあるかはわからない……ってことですね。まあ、【モーションアシスト】を使えば見つけられそうですし、まったりお散歩配信といきましょうか」
「ゴブー!」
妖精のいる場所に行きたい、【オアシス】に行きたい——そう念じることで、自動的に目的地へのルートを索敵し、とことこと歩みを進めていく。スライムやラクダは
砂色の体躯をしたドラゴンが地面に埋まっていたり、空からふわもこの綿毛が襲来してきたり、様々なモンスターとの戦いが繰り広げられたが、3人のボクとゴブ蔵の協力プレイによって難なく突破していく。
どうやらボク1は、オーソドックスな
「そっちのボクは水属性を使うんですね。好きなんですか?」
「……仕方ないんです。仕方ないんですよ……。なぜか水属性強化の装備ばっかり揃ってしまって。いくら水属性でもここまで揃ったら使わなきゃ舐めプなんです」
「な、なるほど……かわいそう」
「ボクはちゃんと炎属性を使っているんですよ?ほら、この指輪に【プシュケー・アルケー】がついてるんです」
【プシュケー・アルケー】
[パッシブ][スイッチ]
効果:[無属性][回復]に[炎属性]を[追加]する。
ボク1の指輪には【ルビーロッド】と同じ回復を炎属性に変換するスキルがついてるようだ。なるほど、それで【ビショップ】。確かに非常に相性が良い——と思ったのだけど、すぐに気づいた。確かその
「……【ビショップ】の回復魔法は聖属性では?攻撃に転用する場合は闇属性ですし」
「えっ!?」
【死神の加護】
[パッシブ][信仰][条件:他信仰未取得]
[自身]の[発動][する][回復]は[敵][キャラクター]に[反転]して[適用]される。
この[効果]が[適用]された[回復]は[闇属性]として扱う。