卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【ギルドリターン】で【ギルドハウス】へ帰還し、さっそく〈魔導〉を試してみる。
以前、ボクは『アシストソース』のシステムで〚ファイアボルト〛という〈魔導〉を習得した。
ただこの〈魔導〉、装備の炎属性強化も乗らないし、正直あまり役に立たない。けれど、習得を通じて〈魔導〉の放ち方はわかったからね。【モーションアシスト】も使っていけば、カスタマイズしていけるはずだ。
一般的には、初心者向きの〈魔導〉として〚ライトニングボルト〛が広まっていて、〚ファイアボルト〛はその派生版だ。
つまり、その2つの〈魔導〉の違いを見比べていけば、変更が必要な変数もわかる……かも?
とりあえず、まずは使ってみようということで、【ギルドハウス】の外のお庭で試し打ちしてみる。
「〚ファイアボルト〛!〚ファイアボルト〛!」
どかーん!どかーん!と、ど派手なエフェクトが地面に乱射されるけど、音に反して地面は抉れたりもしない。オブジェクトとかに与えられるダメージも、しょうもない。
これはなんでもありの〈魔導〉を抑制するためのゲーム内の縛りのようなもので、大幅にその威力が減衰されているのだ。
つまり創造主様なり世界の危機と戦うときがやってきたら、ちゃんとした威力が発揮されるのだろう。けど、少なくとも【フォッダー】では〈
ためしに指パッチンで〈バタフライタクティクス〉を発動させると、先程の〚ファイアボルト〛よりも遥かに大きな炎が生まれ、そのまま超高速で射出――地面を貫通して、大穴を開けていく。
〈バタフライタクティクス〉によって引き起こされる全能には抑制が存在しない。ユーキさんが弱体化してくれるならいいけど――このままじゃゲーム内スキルの立つ瀬がないですよ。
もちろんゲーム内スキルには、物理法則に左右されずシステム的に効果が適用されるというメリットもある。けれど、それこそスキルでしかできない特殊な
おまけに普通の投射スキルなんかは、ある程度のDEX値や【スナイパー】の【
ゲームであって遊びではないどころか、こんなのゲームですらないですよ!
閑話休題。
「ゲーム内で他に〈魔導〉を使ってきた人といえば……ああああさんも〈
〈魔導〉の噴射点となるミニドローンを周囲にばらまいて、そこから多段攻撃を仕掛けていたようでしたね。
じゃあ別にミニドローンなんてなくても、多段攻撃できるのでは?と軽く試したり、検索したりしてみたところ、どうやら体内から魔力を〈魔導〉として放てる部位には導電率ならぬ導魔率の制限があるらしい。まあ〈トンネル避け〉を使えば皮膚を貫通して魔力を使えるので、実質導魔率100%なのですが。
それとは別に体内にある魔力の生成回路から離れたところで〈魔導〉を構築しようとすると、出力が弱まってしまうのだとか。まあ〈
とまあ、〈魔導〉の威力減衰に関しては全能を使えばいくらでも踏み倒せるんだけど、それでもなお全能でできることに関しては、全能でやったほうが手っ取り早くて強い。〚ファイアボルト〛を100発も200発も放てるとしても〈バタフライタクティクス〉の劣化だ。
と、ここまで考えてきた結論としては、やっぱり占い師さんの言うとおりだ。〈魔導〉にしかできないことを模索していく必要がある。
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>ここまでで魔導がクソなのって全部ゲーム仕様のせいですよね?
>じゃあ現実で魔導使ったら世界終わるじゃん
>バカかお前。防衛側も魔導使えるからなんかバリアで防ぐぞ
>なんかバリアってなんだよ。魔導エアプの癖に適当なこと抜かすな
>全世界の人類が地面抉るどころか大穴開けるレベルの攻撃ができる世界の治安維持について語るスレ
>テロリストの地面抉る炎攻撃に耐えるには耐熱耐性をエボルドで獲得しなければならない。おまえらフォッダーをプレイしろ
>じゃあおれは耐熱貫通のエボルドするわ
>みなさん耐熱エボルドできない地球のことを考えてくれませんか??
>地球雑魚かよ。エボルドできないとか無能すぎないか?
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「なんか全人類が1人1人、核弾頭発射のボタンを持ってるみたいな状況になってきましたね」
「まあ大丈夫だろう。このゲームが国主導のプロジェクトなら、ちゃんと武器を手に入れた人間に対する対抗策もあるはずだ。その証拠に、まだ地球は終わってない」
「地球が終わったときにはもう手遅れなんですけどー?……って、その声はゆうたさん!お久しぶりです!」
後ろから声をかけられ、〈ストリームアイ〉を向けながら、さっと振り返る。
以前見かけたときと同じく、未鑑定装備の鎧に身を包んだ【ナイト】がそこにいた。
「たまたま見かけたんでな。今は配信中か?」
「ですです。今は〈魔導〉についてお勉強してましてね」
「〈魔導〉か。こう見えても俺は詳しいぞ。今の事務所に所属するまでは学校で講師をしていた」
「マジですか!?」
いつも無愛想なゆうたさんだけど、〈魔導〉に関してはよほどの自信があるようだ。かすかなドヤ顔が垣間見える。
「でもでもゆうたさん、今まで〈魔導〉使ってましたっけ?」
「ああ、使っているぞ。〚マインドフルネス〛という〈魔導〉でな。体感時間を魔力の許す限り引き伸ばすことができる」
「そんな凄い〈魔導〉があるんですか!?」
「あくまで体感時間であって、身体を加速させることはできないがな。とはいえ思考時間を稼げるし、【モーションアシスト】へ命令を先行入力することもできる。なかなかに便利だろう――と、たった今使ってみたんだが、わかったか?」
なんの脈絡もなくそんなことを言うゆうたさんだけど、外見的な変化は全くない。なるほど、気づかないわけですね。
それでも《『心眼』》の視点で視ると、たしかにゆうたさんの魔力が1か所に収束し、消費されていったのがわかる。今の動きを再現できるなら、ボクでも使えそうだ。
でも、使えそうなのはいいんだけど……どういう原理でそうなってるんでしょう?
「なんで体感時間が伸びるんですか?教えて、ゆうた先生!」
「〈魔導〉に
魔導その3 『マインドフルネス』
体内における情報伝達を魔力によって代替する事により、無制限の思考加速を可能とします。
厳密には〚マジカルコネクト〛を応用して開発された〈魔導〉なのだとか。〈魔導〉という技術においては『公理』とも言うべき原初の〈魔導〉を発見するのは容易い事です。しかしそれを応用した〈魔導〉を生み出す為には膨大な試行錯誤と実験を繰り返す必要があるのだとか。
魔導その4 『マジカルコネクト』
情報の伝達を自在に行う〈魔導〉です。
距離に関係無く一切の遅延無しに情報を伝達する事が可能で、現代でも魔力通信として広く活用されています。実はVRゲームも魔力通信によってデータのやり取りが行われているんですよ。