卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第243話 スキル

「理由は……無い……?」

 

「理由は無い。どこの『魔導師』も表面上はもっともらしい理由を述べるだろう。けれどそれは後付けだ。俺が思うに、〈魔導〉の仕組みに理由はない」

 

 意味がわからないんですけど!? 〈魔導〉の講師をしているんですよね? それに巷でも『魔導車』とか、いろんな魔力や〈魔導〉を使った技術が使われてますよね!?

 

「確かに一定の法則を発見する者もいる。同じ理屈を用いて別の〈魔導〉を開発する者もいる。しかし、そうして解明された法則・理論は別の物理法則、あるいは〈魔導〉の法則と()()()()()()()()()()()()()()

 

「……同じ理屈で動いてないってことですか?」

 

 

「そうだな——喩えるならば……()()()()()()()()()()()。そういったところか」

 

 【ブレイズスロアー】は炎を放つスキルだ。だから炎を放てる。()()()()()()()()。そう設定されているからこそそういう挙動を取る。

 

 そんなゲームみたいなことが現実にあるわけがない。そう言いたいけれど、残念ながら可能性は否定できない。

 

 なにせこの世界は超越者が好きなように物理法則を書き換えて作り出した世界なんだ。

 

 元の世界の物理法則はどんな感じだったのか。今となっては知る由もないけれど……神という存在がいる以上、ありえないなんてありえない。

 

 

「あるいは、この世界は本当に——」

 

 

 小さな声でぽつりと呟くゆうたさん。最後まで言葉として発声されることはなかったけど、ここまでの彼の話からその先の言葉を推測するのは容易いことだった。

 

 

 それから、ゆうたさんの〈魔導〉に関するありがたい講義を受ける。

 

 まず〈魔導〉にしかできないことについてだけど……。

 

「物理法則を無視する、これに尽きるな。たとえば雷を放つ〈魔導〉であれば、空気の抵抗値だのなんだの、そういったあらゆる都合を無視して雷を放てる。雷を放つ上ではどこぞの神が取ってつけたような意識の集中や魔力の消費が必要になるが、結果は同じでも過程が違う時点で〈魔導〉にしか真似できない。つまり、〈魔導〉でできることは全てが〈魔導〉でしかできない」

 

「いや、そういうことなんですか?やけに現実的というかトンチ的というか」

 

「その占い師がなにを考えているかは知らないが、恐らくはこれで正しいはずだ。……違うかもしれないし、ついていってもいいか?」

 

「やけに弱気ですね。〈魔導〉に自信があるんじゃなかったんですか?」

 

「この結論を提示したとして、それが秘奥とどう関係があるのかが気になってな」

 

 とにかくついてくるそうなので、ゆうたさんを連れて例の占い師のお店まで向かう。

 

 

 占い師さんはゆうたさんも含めて快く歓迎してくれ、一緒に占いについて聞かせてもらうことになった。

 

「そうだね……ゆうたさんの言う『魔導そのものが魔導にしかできない事象』……それが正解さ……。一見すると科学技術で再現可能な事象であっても……そこには原理不明の独特な挙動による過程が生ずる……。そして、その過程こそが重要なのさ……」

 

「過程、か。もっともらしい儀式や動作とそれに伴う魔力の消費。そこに意味があるというのか?」

 

「無いね」

 

 やっぱりないんですね……。この認識は〈魔導〉に精通している人の共通見解なのでしょうか……。

 

()()()()()()()()()……占い師としては〈魔導〉の仕組みや原理にまでは興味がないけれど、原理が解明されていないはずの法則が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。後付けのパッチで塞ぐことはできるけど……つまり、〈魔導〉は存在そのものが矛盾(エラー)なのさ」

 

 定義された法則がすべての筈のバーチャル空間において、定義せずに成り立ってしまう例外的な法則。確かに意味がわからない。他の物理法則や仕組みがうまいこと作用して〈魔導〉になっているんだろうか?……こんな疑問も『神がそう作ったから』、ただそれだけで説明できてしまう世の中が憎い。なにか理屈があると思いたい。

 

「それが占いに関連するのか?」

 

 ゆうたさんが痺れを切らし、直球で疑問を投げかける。それに対して占い師はほくそ笑む。

 

「大有りさ……。結論を言おう。〈魔導〉は()()()()()()()()()()()()()()()()()。……『カオス理論』を知っているか?」

 

 『カオス理論』……ほんの少し条件が違うだけでシミュレーションの結果が全く異なってしまうという現象、あるいはそれについての理論。語弊を恐れずに言うなら『バタフライエフェクト』のようなものだ。

 

「シミュレーションによって未来の流れを正確に読むことができたとしても……〈魔導〉が絡んだ時点で全ては無に帰す。何がなんだかわからない謎の現象が絡むんだから仕方ない……」

 

「いやいやいや、それって実質的に占いやシミュレーションの意義が完全に消滅してしまっているじゃないですか!」

 

 昨今の世の中で〈魔導〉が絡まないものなんてない。車もテレポーターも、原理は物理法則と〈魔導〉の複合製品だ。

 

「こんなことがわかっているのに占い師を名乗っているって一体どういうことなんですか?というか少し前は魔力占いがおすすめだー、なんていってましたよね?」

 

「魔力占いなんて意味ないよ?存在そのものが意味分かんないんだから……。統計をとっても性格なんてわかんないさ」

 

「ばーかばーか!」

 

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>平気で嘘を教えてて草

 

>弟子かわいそう

 

>卍さんだからセーフ

 

>やっぱり占いなんてオカルトなんだ……詐欺師の話術テクニックなんだ……

----

 

「占いの仕組みをもっともらしく理解してもらった上で、〈魔導〉についても理解してもらう……そして、ここからが占いの秘奥につながるのさ」

 

「って言っても、占いの時点で〈魔導〉が発動したらチャラなんですよね?意味があるんですか?」

 

「そう、それさ……。〈魔導〉が発動したら全てチャラ。これを逆用すれば、ちょっと便利な使い方ができる」

 

「便利な使い方……?」

 

 

「〈()()調()()〉さ」

 

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