卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第245話 エアブレイズ・ウィッチハット

「いやいやゲームのスキルは??職業(クラス)のスキルは??別に【マクロ】とか〈ホームタクティクス〉でもいいですよ?」

 

「死んだ」

 

「死んだ!?」

 

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>スキルさんはね、死んじゃったんだよ……

 

>ただの異能バトルで草

 

>これ一周回って正当なe-sportsだろ

 

>己のリアル技能だけで戦ってるからな。神ゲーだわ

 

>リアル技能が全能なのやめろ

 

>テクニックもバタフライタクティクス以外死んでてだめだった

 

>途中でテレポートみたいな挙動してたのは何なんだよ

 

>町中にテレポーターあるだろ?あれの動作を再現しただけだろ

 

>神ゲーすぎる……

 

>神々がプレイするゲームかな

 

>もうこんなん神なんてワンパンだろ

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「ゲームに定義されたスキルにも利点はあるが、少なくとも〈トンネル避け〉を突破できないスキルに価値はない。DEXに振るくらいならより手頃な全能で牽制したほうがマシ。かといって近接や範囲スキルに需要があるかというとそうでもない。使われるのは一部の付与(バフ)妨害(デバフ)のようなシステムによって効果が保証されるスキルくらいだ」

 

 使えるスキルが残ってるのはよかったけど……。

 

「でも、なんか……悲しいですね」

 

「荒罹崇——悲しい、で終わらせていいのか?」

 

 【フォッダー】の終わり具合を憂いているところに、ゆうたさんがそう問いかける。

 

「どういうことですか?」

 

 

「配信者なのに『マジョリティ』で終わっていいのか?」

 

 

「!?」

 

 

 ——常に『マイノリティ』であれ。

 

 とある伝説の配信者の、名言とされる言葉だ。

 

 確かに一般プレイヤーであればマジョリティでも構わない。マジョリティな戦術やスキルは優れているからこそマジョリティなわけで、あえて最適化されていない戦術を選ぶ必要もない。

 

 しかし、配信者にはそれが当てはまらない。

 

 誰もが使う戦術を、誰もが使うとおりに使っても面白くない。

 

 確かに最適化された強い戦術を使う配信者もいるが、そういった者は同じ戦術でも『実力』という他の者とは違う絶対的な差別点を持っていることが多い。そもそも、画一化された戦術の流行り——その原点であることもあり得る。

 

 

 配信者であればマイノリティでなければならない。だがマイノリティに甘んじてはならない。

 

 

「『イノベーター』として探求を続け、己の『マイノリティ』を『マジョリティ』に昇格させる『インフルエンサー』を目指し挑戦し続ける……」

 

 それこそが配信者の目指す道!

 

「そうですね!これからボクは並み居る新人類共をゲーム内スキルではっ倒す道を目指します!全能狩り講座の始まりですよー!チャンネル名も変えないと!」

 

----

>意識高い系ワード乱用すんな

 

>自分がインフルエンサーとして披露した最強テクニックを自分で倒すつもりらしい

 

>最大の敵は過去の自分

 

>最高に燃えるストーリーだな

 

>よっしゃ卍さんのために最強の敵として君臨してやるから見とけやおまえら

 

>なお、ゲーム内スキルが強かったとしても進化に貢献しない以上はマイノリティを脱出することはない模様

 

>お前ら忘れてないか?世界が終わらなかったら1000億円争奪戦が始まるんだ。俺は誰かが世界救ってくれるのを信じてゲーム内スキル模索するぜ

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「視聴者さんはせいぜい全能とかいうクソザコテクニックを使っててください。このゲームは【フォッダー】ですよ?バランス崩壊スキルなんていくらでも出てきますよ!」

 

 さて、とはいえこれまでの構築どおり当たって砕けろでやっていくわけにはいかない。炎属性の強化装備が潤沢にある以上、それに特化した戦術で行くのは既定路線だ。だが既存の戦い方に縛られず、応用性も高めていく必要がある。

 

「さて、そんな発破を掛けたからには協力してくれるんですよね?ゆうたさん」

 

「いいだろう。俺の装備の中にも炎属性に特化した装備がある。買うか?」

 

「そこは譲ってくれるんじゃないんですかー?いいですよ。買いましょう!効果は買ってから見ます!」

 

 さすがあらゆる状況に対応する装備を取りそろえる『千幻の騎士』!こんな隙間産業にも対応できる装備を持っているとは!

 

 ゆうたさんが取り出した装備はいかにも魔法使いといったイメージの黒いとんがり帽子だった。中央にルビーみたいな宝石が付いていて、そこから幾何学模様を描く緑色の線が伸びている。魔法使いっぽいとは言ったけど、どことなくデジタルな雰囲気がかっこいい。

 

 さっそく【ストレージ】にしまって、かぽっと装備してみる。それから見た目はどんな感じかなー?と〈ストリームアイ〉で確認してみると、緑色の線が明るく発光しだした。

 

「これはずいぶんとさいばーちっくなメイジですね!デジタル魔法で相手を粉砕できそうですよ!」

 

 さてさて、効果はなんでしょう?

 

 【メニュー】から帽子の性能をまじまじと見つめる。

 

【高速詠唱(炎)】

[パッシブ][スイッチ]

効果:[炎属性]の[詠唱時間]を[低下]させる。

 

【煈颷の刻印】

[パッシブ][オート][スイッチ] 再詠唱時間:0s 効果時間:30s

効果:[風属性]を[受けた][場合]は[炎属性][ELM]を[増加]させる。

[炎属性]を[受けた][場合]は[風属性][ELM]を[増加]させる。

それぞれ[1回]まで[適用]され、[発動]の[度]に[効果時間]は[リセット]される。

 

「これは……属性複合装備!」

 

 装備性能は炎属性と風属性のELMがどちらも例のビキニと同等レベルに増加する。おまけに帽子のくせに防御力がやけに高い。ビキニの数値を当然のように上回り、ちょっとした軽鎧のクラスにまで到達している。

 

「炎属性だけにとらわれていたら戦術も狭まってしまうだろう?確か、荒罹崇は風属性のスキルも持ってたはずだと思ってな」

 

「【フェアリーブレス】のことですね。当てれば当てるほどAGIが増加する付与(バフ)スキル。【ダブル杯】のときに習得したんでしたっけ」

 

【フェアリーブレス】

[アクティブ][投射][風属性][攻撃][支援][魔法]

消費MP:6 詠唱時間:0.625s 再詠唱時間:10s 効果時間:20s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[命中時]、[自身]の[AGI]を[増加]させる。この[効果]は[5回]まで[重複]し、[効果時間]は[リセット]される。

 

 結局あの大会のあの瞬間以降はまったく使ってないスキルだけど、詠唱時間(キャストタイム)が短いおかげで今の炎属性戦術にも問題なく混ぜられる良スキルだ。

 

 ——投射攻撃だけど。

 

 というより風属性で投射攻撃でないスキルとなると、伝説の詠唱時間(キャストタイム)0秒スキル【シルフストーム】しかない。そして【シルフストーム】すらも投射魔法を前提とするスキルだ。

 

【シルフストーム】

[アクティブ][6回][特殊][エリア][風属性][攻撃][魔法]

消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:15s

効果:[自身]が[発動]した[投射][魔法]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

 ありがたい良装備を頂いたのは確かだけど、これは使い方も戦術も一新させていく必要がありますね。

 

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