卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
撃破と同時に【ホームリターン】で陣地に戻り、いそいそと築城を始めるボク。そういえばゆうたさんも1人をはっ倒しに向かってたみたいだけどどうなったんだろう?上を見上げてみると、ちょうどゆうたさんが上から降ってくるところだった。
「やはり火力は重要だな。負ける気はしなかったが手こずった」
「こっちもですよ。ちょこまか逃げられると厳しいですよね」
ゆうたさんと違ってボクは火力が足りている。とはいえ接近戦を大いに重視する
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>もっと有名なプレイヤーは挑みに来ないのか?
>配信可チャンネルの有名プレイヤーって言えば誰がいる?
>そもそも現役の有名プレイヤーは卍さんを倒しに来る必要ないからな。懸賞金なんて端金だし
>計算しつくされた勝ち戦
>AWPとかああああが来るだろ。俺は信じてるぞ
>根拠ないけどなんかあの人たちもう5秒位で負けそう
>かませのイメージが定着してる……
>だからこそ、それを払拭する機会だぞ。出て来い!!
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「コメント欄で登場を待ち望まれている方がいらっしゃいますね。あの人たちは別に全能だけにこだわらずに、くればーな戦いをしてくれそうですけど来ますかね?」
挑戦者はいつでも受け付けているけれど、今回は〈バタフライタクティクス〉を使ってくる方々をはっ倒していくのが目的なので、そういう普通に強い方々はあまり求めていない。そう、今来てほしいのは調子に乗っている初心者の方々!うぇるかむですよ!
「しかし、複数人相手で来られるとさすがに厳しそうだ。次は連携をとっていくべきだろう」
【アームズスイッチ】で装備をがちゃがちゃと換装させながら提案するゆうたさん。確かにさっきの戦いも分かれて別々に戦わなければ、もっと効率的に勝てたはず。ボクの持ってる【将軍の旗槍】は
「かもん、ゴブ蔵!」
「ゴブー!」
最近はあまり戦う機会がなくて、時折意味もなく召喚していた時期もあったゴブ蔵だけど、今回こそは出番ですよ!そう期待して声をかけると、嬉しそうに笑ってくれた。
ゴブ蔵は闇属性への変換を得意とする混成型【メイジ】……なのだけど、その起点として水属性のスキルを当然保有している。
そんなゴブ蔵に今回は新しい装備として【円盤ハウス】をプレゼントした。これは投げて使える便利な小型の家なのだけど、以前【三つ葉のクローバー】を使ったときに水属性威力50%アップの効果がついてしまったアイテムだ。あのときは即座に産廃認定してその効果を忘れかけていたけれど、ゴブ蔵に使ってもらう分にはなんの問題もない。
というわけでさっそく【円盤ハウス】を渡すとぶんぶんと振り回して遊びだす。かわいい。なでなで。
「さて、そろそろ次の挑戦者がやってきたようだな。今回は……2人か」
ゆうたさんに言われてからはたと気づき、挑戦者を視界に捉える。今回は空を飛んで襲いかかってくるようなことはなく、とことこと歩いてきている。面と向かってのガチバトルをご希望なのでしょう。さあ、どんな方が……。
「どうもー。あかりちゃんだよー」
「げっ、あかりちゃんさん……!」
「そして、俺もいるぜ」
あかりちゃんさんと一緒に歩いてくる男性はキリトさん……!?
「いやいや、どういうメンツですか?アスナさんはどうしたんですか?」
「振られた」
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>かわいそう
>所詮は主人公の器にある者ではなかったか……
>カップルでロールプレイしてたのに離散とか絶望的すぎる
>暗黒面に堕ちたキリトさんが見られるぞ
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「そ、そうですか……。しばらくはゆっくり休んだほうがいいですよ。バイオリズムが乱れているのかもしれません」
そんな月並みなことを言ってなんとか戦いを取りやめにできないかなー?と思案してみる。キリトさんというよりあかりちゃんさんが地味に怖い。正統派な【フォッダー】の配信者としては既にあちらのほうが格上に到達しているような気がして、少しだけ苦手意識があるのだ。味方なら頼りになるんだけどね。
そしてその無理筋な説得は、キリトさんの意思がこもった言葉で暗に拒否されてしまう。
「——アスナはこの配信を見ている。あとはわかるな?」
「なるほど、いいところを見せたいということですね?」
そういうことならもはや戦いを避ける術はないだろう。けれど、どんな理由があろうともそう容易く牢獄にぶち込まれるわけにはいかない。
「どうする?こちらは俺が下がったほうがいいか?召喚モンスターとはいえ3対2では分が悪いだろう」
「いや、問題ない。俺達も仲間を連れてきているからな」
そう言ってキリトさんが少し横に逸れる。え、そこに仲間がいたんですか?気づかなかったんですけど……と思ったけれどすぐに納得した。
キリトさん達の仲間とは……うさぎさんだった。もちろんとがみんではない。小さいのでうまく隠れられていたんですね。
ある意味油断してましたね。改めて《『心眼』》で確認すれば、確かにそこにうさぎさんがいるとわかる——と言おうとしたところで気づいた。うさぎさんは……1匹ではない。
「あかりの後ろにもいるな。何匹連れてきている?」
「20匹!物量作戦で卍さんを攻略しちゃうよ!」
「キリトさん、それでアスナさんにいいところを見せられると思いますか?」
「ゲームの世界は勝てば正義だ」
両手を腰に当てながら上半身を軽く反らし、闇堕ちした主人公のようなセリフを堂々と宣うキリトさん。もうちょっと元ネタの人をリスペクトしてください!
というわけで紹介とともにわらわらとうさぎさんがあかりちゃんの後ろから現れる。
たいへんきゅーとでよろしいんですけど、このうさぎって間違いなく以前レベル上げして強化したうさぎさんですよね。
あのときの構成のままなら、この子達は間違いなく【ビショップ】——そして
まずい……圧殺される……ッ!