卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
ゴブ蔵の数は大幅に減ってはいるが、それでもまだまだ潤沢だ。
そもそも、さっきの敵がやたら耐久の高い聖属性モンスターだったせいで軍団戦術が崩れただけだ。それ以外の敵なら、相変わらず集団圧殺で仕留められる。
ついでに【パーティストレージ】にお宝アイテムが山のように詰め込まれていく。分岐点も含めてあらゆるルートをゴブ蔵が網羅しているのだから、当たり前なんだけど。
「お宝は山分けですね」
「ああ。これでさらなる実験に挑めるな……ククク」
そして最終的になんの苦労もなく洞窟の出口が見えてきた。外から光が差し込んでいる。一体どこに繋がっているんだろう?
我先にと走り出すゴブ蔵たちについていき、ひょっこりと外に顔を出すと、そこは【ディスポサル城下町】の噴水前だった。【ストリームアイ】で自身を映してみると、何もないところから顔だけが出てる状態だ。恐らく脱出したら刑務所には戻ってこられないのだろう。
とはいっても刑務所に未練はない。シャバの世界にぴょーんとジャンプして脱獄する。後から漆黒の翼さんも外に来たんだけど、片足だけが洞窟に残ったまま。次元の裂け目に取り残されてしまっている。
「片足だけ残っていれば刑務所に戻れるか実験したかったのだ」
「ブレませんねー」
そのまま洞窟の中に戻っていく漆黒さん。これからしばらく出口近辺で実験をするようなので、もう置いていこう。山分けも後でいいや。そのうち連絡が来るだろう。
それよりも今は為すべきことがある。
「そう、神様への復讐です!このゲームで数々の神をぼっこぼこにしてきたこのボクは当然『無職の神』をもはっ倒します!そしてゲーム内スキルこそが最強であると世に知らしめる!」
----
>動作無しで発射される光線どうすんだよ
>ちなみに他のプレイヤーも普通に使えるようになったぞ
>1人の最強が居ると全員それと同格まで跳ね上がるインフレゲーム
>終わってる……
>むしろ対戦ゲームとしてはバランスが取れている定期
----
「ああ、あの光線?初見はビビりましたけど、所詮は一発芸ですよ。配信者には同じ技は二度と効かない。これ常識です」
まあそれは全能を解禁すればの話なのだけど。
残念ながら、光の速度そのもので放たれる光の一撃に、ゲーム内スキルのみで対処する手段は少ない。縛りプレイをやめれば封殺できる時点で、全能が強いのは認めているようなものだ。でもボクは、全能を使うこと自体を否定していない。『スキルも強いよ!』と主張しているだけだ。なので今回の企画が終わったら、普通に全能も解禁します。
という感じで視聴者さんに言い訳をすると、『めっちゃ早口で言ってる』だとか『言い訳で自分自身を騙す女』だとか『裏技に気づいた!チャンネル登録を外すと画質が向上するぞ!!』だとか、いつもどおりのコメントが流れていく。ぶん殴りたい。
「どういう理屈でチャンネル登録を外すと画質が上がるんですかー!?もともと画質悪くないですよね?そんなに乙女の柔肌が高画質で見たいんですかー?」
----
>痴女ムーブやめろ
>最近あまりに慣れすぎて卍さんがビキニ装備だということを忘れかけていた
>人って慣れると何も感慨沸かなくなるよな
>普通に女キャラでビキニの奴って他にもいるしな。中身は男だけど
----
もはやボクもこの件についてはすでに慣れすぎて、なんとも思わなくなりましたよ。さて、横道に逸れすぎた話題をもとに戻そう。
「とにかく神様にリベンジします!前回の戦いの復習をしましょうか。ちなみにゆうたさんはあの後どうなったのでしょう?」
チャットを通じてゆうたさんに問い合わせると、あの後は普通に向こうが全能を乱射してきて、たまらず撤退したらしい。リベンジのお誘いをすると、快く承諾してくれた。
先の光線だけど、ゆうたさんのようなガチ
つまり何かの攻撃が1回でも当たれば倒せる。しかし現実問題として前回の戦いでは2回も当てるチャンスがあったにもかかわらず通用しなかった。1回目は【アブソーブ】のターゲット選択不能。2回目の【メテオ】も軽く透過された……。
しかし——後者はともかく、前者の挙動はなんだったのだろう?そこにいるのに、選べない。システム的な要素にまで全能は干渉できるのだろうか。もしくは装備の効果だと考えたほうが自然だけど……。あの遠隔最大HP減少攻撃もボクの装備による効果だったわけだしね。
しかし今回の場合は恐らく、その直前に発動宣言が行われた〈
そもそも〈
あの現象が《
その上で前提となるのは《ロールプレイング》によって読み取った過去の記憶……。あれが《
あの時の会話では、『全能のパラドクス』について2人の
そして恐らく重要なのは後者だ。《
前回の【女神】戦における発動時は死亡後に相手に物質干渉力を与えていた。これを飛躍して考えるなら、死んだのに死んでいない。死んだのに行動ができる、といった感じだろうか。
これを先の戦いに当てはめるならば、『そこにいるのにいない』?うーん、ちょっと違う気がする。
と、そこでピンと閃いた。そういえばさっきはこの現象についてこう考えたはずだ。
《
——あるね。1つだけあった。今までに見たことのあるスキルの中で、使えそうな装備はそれだけ。その装備はある意味でこれまでの神様の『ロールプレイ』を崩すような存在だけど……。それもまた『