卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

267 / 542
第259話 神なる行動

「ほう、神である我の暴威を受けてなお再び挑む程の精神力を持つとはな……」

 

「ゴブー!」

 

 大幅に時は流れて、今は呼び出した神様と再び対面するシーンだ。以前の状況を再現して、ボクとゆうたさん、そしてゴブ蔵(×1)は【ホーム】の上に立った状態で超越者たる神様を見下ろしている。ちなみにボクはゆうたさんより気持ち後ろにいます。後衛だからね、仕方ないね。

 

 ボクの装備構成は以前と全く変わらない。例の異常(デバフ)攻撃を呼び込む杖も装備した二杖流の構成だ。どうせ最大HP減少攻撃は相手にとっては見せ札程度の威力しかない。それなら魔法の威力を上げたほうがマシ、というものだ。

 

 もちろんこの戦いに挑む前に作戦会議は怠っていない。例の光線を受け切る作戦は用意してある。それは()()()()()()()()()()

 

 さしあたっては【ファストリカバー】のスキルデータを【帝神の加護】によってカスタマイズしておいた。

 

【ファストリカバー】

[アクティブ][投射][回復][魔法]

消費MP:6 詠唱時間:1.25s 再詠唱待機時間:15s

効果:[キャラクター]の[HP]を[回復]させる。

 

 消費MP6。つまり【タクティクスフラッグ】の効果適用対象の上限値までコストを引き上げ、詠唱時間(キャストタイム)もわずかに増加させた。代わりに再詠唱時間(リキャストタイム)を大幅に減少させたが、削ったぶんに見合わず、出力も低下しているだろう。

 

 けれど炎属性ELMの恩恵を受けられるなら、問題なく強力な回復リソースとして運用できる。ついでにいつ全能技が飛んできても困らないように【タクティクスフラッグ】を貯めてある。これで初手で撃たれても対抗できますね。

 

「荒罹崇、基本的には俺が攻撃を受けていく。その間に奴の《神なる行動(ディバインアクション)》を攻略し、一撃を加えろ」

 

「わかってますって。いつもの当たって砕けろ作戦でやっていきましょう」

 

 はっきり言って対抗策はほとんどない。某うさぎさんたちにも攻撃は通らなかった。けど、ボクの推測が確かなら神様もまた理論上はすべての攻撃を無効化できる。それをたった1人で為している。さらに言うならば神様は歴戦の戦いを『無職』で駆け抜けてきた生粋のプレイヤーだ。さて、どうしよう?

 

「作戦会議は終わったか?さあ、神殺し(ゴッドスレイヤー)を目指す者共よ、せめて華々しく散れッ!そして再び足掻いてみせろ!」

 

 そう高らかに叫び、光の如き速さでボクらの家に迫りくる神様。前回はこちらからの先制だったけど、今度は向こうからですか。

 

 とりあえず今のところは例の光線を使う気がないようだ。ゆうたさんが以前と同じように【ホーム】から跳躍し前線に躍り出る。

 

 今回のゆうたさんの初期装備は例の銃撃スタイルだ。前線に出ながらもマシンガンを乱射して、【タクティクスフラッグ】で【ハードアーマー】と【シャープウェポン】を超高速で重ねがけしていく。ダメージは通っている。付与(バフ)で上乗せされた火力がみるみるうちに神様のHPゲージを削っていく。

 

 神様は凄まじい速さでゆうたさんに肉薄し、思い切り剣で斬りつけようとする。だがゆうたさんは瞬時の装備変更で盾を呼び出し、攻撃を受け止めつつシールドバッシュで弾き飛ばした。

 

「さすがにやるな!だがここからだ。《神なる行動(ディバインアクション)》!」

 

 突き飛ばした神様に対し、ゆうたさんは装備を機関銃に切り替えて乱射する。しかし——今度は攻撃が当たらない。HPが減らない。

 

 先程の焼き直しのように銃弾を突き抜けつつ接近する神様に対し、同じように盾を呼び出して受け切ろうとするけれど——。

 

「今度は効かぬわあ!」

 

 神様はゆうたさんのシールドバッシュを容易くすり抜け、一方的に剣で斬りつける。ゆうたさんは反射的に後退(ノックバック)に合わせて飛び退こうとするが——()()H()P()()()()()()()()()()()()()()()()()。単純なオブジェクトとしての物質干渉力だけが参照され、ゆうたさんを吹っ飛ばすことはなかった。

 

 後退(ノックバック)が発生しない以上、さらなる追撃のチャンスが生じる。バックステッポで後ろに下がるゆうたさんにすかさず追いすがり、第二の刃が襲いかかる。

 

「【ガードジャスト】!……くっ、やはりダメージ判定ですらないか!?」

 

【ガードジャスト】

[アクティブ][自身][支援][ガード]

消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:75s 効果時間:0.75s

効果:[ダメージ]を[無効化]する。

 

 【ガードジャスト】は効果時間中に攻撃を受け止めることでダメージを無効化するが、これすらも最大HPを削る攻撃には通用しないらしい。あらゆる仕様の隙間をすり抜けた恐るべき効果だ。

 

「最大HPを削る攻撃は[攻撃]ではなく[ダメージ]でもない。皮肉な話ですが、あなたが今扱う武器こそが神に特攻を持つ剣ということですか」

 

「——ほう、気づいたか。読まれた部分だけでは辿り着けないと思っていたが」

 

 こちらがどこまで《ロールプレイング》で読み取ったのかすらも把握しているらしい。まるで本当に神なのではないかと錯覚するくらいの大物オーラぁ。少なくともこれまでの神よりは圧力がある。無職だとはとても思えませんね。

 

 神は後ろへと下がり、剣を地面に突き刺してその場に佇む。どうやらボクの推理タイムを待ってくれるらしい。それならば遠慮なく解説させていただこう。

 

「あなたの攻撃無効化の本質、それは【神造兵装:無知蒙昧】ですね?」

 

 【邪神ショップ】に売っていた神の【加護】を持つ強力な装備、【神造兵装:無知蒙昧】。効果を閲覧した時点で使用不能になるという究極の初見殺し。その効果は——認識外の効果を無効化する。

 

【神威:無知なる叡智】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[認識外]の[攻撃]を[無効化]する。この[スキル]は[自身]が[効果]を[閲覧]したことがある[場合]は[無効化]される。

 

 ボクの指摘に対して神様は真っ白な色合いの短剣を取り出す。非常にシンプルな見た目で、装飾は何もついていないのだけれど、自然界には生じ得ない純粋なその色からも異質な装備だということはすぐにわかる。また、スキルに[ブレッシング]と記載されている通り、【祠】でもらえる【加護】と同格の力が込められた強力な装備だ。

 

 職業(クラス)という【女神】の力を否定していた神様が【邪神】の【加護】によって無敵の力を得る。本当に()()した話だ。

 

「あなたは今、《神なる行動(ディバインアクション)》によって世界を認識(にんしき)している(していない)。認識していないからあらゆる攻撃は届かないし、認識しているからこそボクとの会話が成立しているわけだ」

 

 どこぞのAIたちはこの世界を『0』と『1』で認識することができると言っていた。しかし究極的にはこの世界を『0』と『1』だけで表すことができないのが実情だ。

 

 なぜならミクロの世界では『0』と『1』が同時に存在しうるから。神様どころか世界そのものが矛盾を孕んでいる。

 

 だとしたら絶対なる信念(ソウルワード)によって矛盾に介入することができるのは当然のことだ。

 

 神になるための前提条件である、()()()()()()()()を眼前の男は当たり前のように成し遂げた。

 

「それがわかったとして、この神なる力にどうやって対抗する?」

 

 さて、どうしよう?

 




テクニックその108 『トゥルースペネトレイター』
最大HPを削り取るスキルは攻撃でもなくダメージでもない。だからあらゆる無効化を貫通するし、ダメージ減少効果も無効化します。
【ナイト】には【ペネトレイト】という防御力を一定割合で無視するスキルが存在するのですが、そんなスキルを鼻で笑い飛ばす究極の貫通能力です。欠点としてダメージそのものを増加させる類の補正も受けられないと言ったことがあげられますが、出力の計算自体はSTRやINTで行われているので些細な問題です。

魂の言葉(ソウルワード)その9 『《神なる行動(ディバインアクション)》』
論理的矛盾を破壊する、それこそが神のみが為せる至高の権能。
絶対なる意志の力を必要としますが、わかってしまえば至極簡単な理論によって成り立っており、いずれは他の人も使えるようになるのかもしれません。その時にはこの〈魂の言葉(ソウルワード)〉も単なるテクニックの1つに成り下がってしまうのでしょうか。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。