卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第264話 フェアリーウェポン

「えー、勝ち目が見えないんで棄権していいですかね?対神様戦の対策練ってたほうがまだマシですよね」

 

 少なくとも街の発展への貢献度で、この人に勝てる人はいないんじゃないだろうか。だってレアアイテムが実質いくらでも取れるスポットを解禁しちゃったんですから。

 

「いや、景観が最悪すぎるから失格だと言われた。残念だ」

 

「草生えますね」

 

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>実利を追求するプレイヤーには出せない斬新な評価基準

 

>かわいそう

 

>その発想はなかった

 

>5割くらいその理由で脱落する人出てきそう

 

>効率求めたら間違いなく景観は最悪になるからな

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「景観評価でいくと、あの空飛ぶビルなんかはなかなか名物になるんじゃないですか?ビルって景観を壊すものだとは言われますが、あれは一周回って神秘的な感じがしますよ」

 

「あれの製作者に聞いたが、『自分達の住む木より高い建造物は許せない』と突っぱねられたそうだ」

 

「草生えますね」

 

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>採点基準がクソすぎる……

 

>何建ててもなにかしら文句言われそう

 

>開拓イベントに備えて頑張って計画案とか練ってたのかな

 

>やっぱ魔族ってクソだわ

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「真面目に受け取ってはいけないイベントなのはわかりましたし、ボクも適当に支店を建てて、アイテム販売でもしておきましょうか。無難ですけど、捻った案を練っても絶対に評価が下がりますしね」

 

 さすがに無難すぎて優勝は無理だと思いますけどね。まあイベントの評価はともかくとして【会社】システムなら方針さえ決めればほぼ自動で運用できますし、プレイヤーのためのお店も建ててみたいと思ってたのでよしとしましょう。

 

 それに、これまで発見したテクニック用のアイテムを店で販売していけば、もしかしたら初心者のみなさんもゲーム内スキルやアイテムを使って戦ってくれるかもしれませんしね!

 

 ちょっとがっかりしつつも【魔族の街】を出て【会社】へと向かう。本当は1週間をフルに使って開拓していく予定だったのだけど、どうしようか?神様との戦いはイベントが終わってからということになってしまった手前、今さら撤回するのも気が引ける。

 

 なんかないかなー?と【ストレージ】を漁っていて、思い出した。そうだ、妖精さん。この前はこの子達を使う方法を考えていたんでした。ドッペルゲンガー騒動やらなにやらいろいろあって忘れていたけれど、しまいっぱなしではかわいそうです。

 

 【ストレージ】から3匹の妖精さんを取り出して、ついでにゴブ蔵を召喚しておく。そして【ギルドホーム】を経由して【ダスター都市】に向かい、とことこと町中を歩いていく。

 

 妖精さんはあちらこちらへと飛び回りながら楽しそうに遊んでいる。でもそのまま遠くに行っちゃったりはしないようで、時折ボクの方をちらりと確認して、あまり離れないようにしているみたいだ。

 

「妖精さん、きゅーとですよねー。もう愛玩用でよくないかな?」

 

 少し指を伸ばしてみると、その指の上に腰を下ろしてにこやかに微笑んでくれる。かわいい。やっぱりできれば使ってあげたいよね。

 

 さて、【会社】に到着したので、中に入ってみるとやっぱりとがみんがいた。社員に命令して、なにやら開発を続けているらしい。

 

「とがみんは【会社】システムが好きなんですか?」

 

「なんか楽しいよね♥わたし、RPGよりもSLG派なのかも?」

 

 うさぎに命令されて懸命に仕事に取り組むNPCさん達。イベントに合わせて指示出しをしようかと思ってやってきたのだけど、もうとがみんに任せちゃったほうがいいみたい。

 

 それならボクは安心して妖精さんの利用方法を考えようかな。NPCの方々が使っている作業台をお借りして、山のように溜まっている【メモリシード】も数個ほど拝借し、DIYに勤しんでみる。

 

 とりあえず1つは作るものが決まっている。【ルビーロッド】の加工だ。

 

 まず【メモリシード】を【ルビーロッド】の持ち手に埋め込み、そこから操作用の糸を長く伸ばし、妖精さんの服に編んでいく。着たままの状態で、しかも針で。体格差もあってお相手視点ではすごく怖いと思うのだが、妖精さんは目を瞑りつつもボクに身を任せてくれる。一応【モーションアシスト】があるので失敗しないとは思うけど、それでも慎重に糸を編みつけて、これで完成!

 

「ルビーロッドwith妖精さんと言ったところでしょうね!」

 

 アイテム名は【フェアリールビーロッド】に変化している。どうやらうまくいったらしい。つまりこの武器は今から妖精さんとセットの装備になったということだ。

 

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>拷問してるようにしか見えなくて笑った

 

>怖がりつつも動かないようにがんばってる妖精さんかわいい

 

>逃げられないように糸で拘束したんだぞ

 

>残酷すぎる……

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「待って待って!見てくださいよ、ほら!妖精さんも喜んでるでしょ?」

 

 針から解放された喜びかもしれないけど、とりあえず喜んでいる。よってセーフ!

 

「というわけでこんな感じで妖精さんのくっついた装備が作れます!みなさん試してくださいね!」

 

 なんの意味があるんだ、とか『虐待ですね、チャンネル登録外します』などとコメントが流れてるけど、わかる人はすぐに気づくと思う。

 

 ボクは【メイジ】だからそこまで活かせないかもしれないけど、例えば【ナイト】がこの装備を使えば、妖精さんにキャラクターの攻撃力と装備攻撃力が上乗せされる訳だ。

 

 杖で殴ればダメージが入るのだから、杖についた妖精さんが殴っても同じだけのダメージが入る。正確には当たり判定の差もあって、全く同じというわけにはいかないかもしれないけど、これは非常に有効な装備になる。

 

 ちなみにこの戦術は以前配信中に似たような戦術を実践している人がいて、それを参考にしたものだ。たしか灑智ととがみんが【ダブル杯】に出ていたときだったかな?

 

 神様との戦いで使えるかはわからないけど今後も愛用していけると思う。なにより妖精さんと一緒に戦えるのが嬉しい。

 

 残りの妖精さんはどうしようかな?ゴブ蔵が好きな妖精さんはゴブ蔵用の武器に付けてあげるとして、残り1匹が余ってしまう。

 

 まあそのことは後にしようか。そもそもゴブ蔵は妖精さんをわざわざ付けるような武器を持っていない。【吸血悪鬼の機関銃】があると言えばあるけれど、どうせ使ってないのであればそれとは別の装備を確保するのが先ですね。

 

 「早く付けてほしいなー」と手をすり合わせてお願いしてくる妖精さんを眺めながら次にやるべきことを思案していく。

 




テクニックその110 『フェアリーウェポン』
妖精さんを武器にくっつけることで、所有者の攻撃力などを反映させることができる生産方法です。
妖精さんが単独で相手に殴りかかっても本来は単なるアイテムなので意味がありません。しかし妖精さんが武器であるなら話は別。杖で相手を殴るのと杖の先についてる妖精さんが相手を殴る事はゲーム的には同じ判定として扱われる。非常に優秀なサブユニットとして活用することができるのです!
この使い方に関してはそこまで【メイジ】にとって有効とは言えないのですが、その先があって……。
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