卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第265話 生産系戦闘プレイヤーの理想

「じゃあ先にゴブ蔵の武器を確保しに行きましょうか。神様との戦いで重要になりますし――ところでとがみんは今どんな感じですか?」

 

「んー?【会社】のこと?いい感じだよ。【アンプルアロー】の量産体制も完全に整ったし、レベルも上がったからそろそろ妖精さんを集めに行かせられるかも?」

 

「妖精さんですか!【オアシス】まで取りに行くのは大変ですからね。需要はあるはずですけど……どういう基準で集めに行けるって決まるんですか?」

 

「まあ基本は道中の戦闘だね。〈トンネル避け〉だけでも【オアシス】まで行けるかと思ったんだけど、途中でやられちゃったし、【パーティ】を組ませて素材確保用のエリアへ安定して行けるようにする必要があるんだよ。【モーションアシスト】の最適解は使えるみたいなんだけど、基本的にやってほしいって言わないとやってくれないから、大変だけど面白いよ♥」

 

 頑張って育てて戦い方も教えてあげて、そうしてやっと1人前の【パーティ】を結成し、素材採取へ向かわせられる。SLGとは言ってましたけど、どちらかといえば育成ゲームみたいですね。

 

 【会社】でもっといろいろ遊んでみたいととがみんが言うので、権限を全部渡してボクは武器探しの旅に出発する。でもこれ、仮に開拓イベントで優勝したら、賞品は間違いなくボクじゃなくてとがみんのものですかね?

 

 とりあえずは新しいフォルダさんのお店へ向かう。武器屋や防具屋は他に星の数ほどあるけれど、それでもボクは最初に行くなら新しいフォルダさんに頼りますね。

 

「たのもー!炎属性の武器……じゃなかった。闇属性の武器ください!」 

 

「いらっしゃい。闇属性の武器ならそこそこあるよ。比較的使い手が少ないからね」

 

 新しいフォルダさんは理想の武器を制作したにもかかわらず相変わらず生産ガチャを引き続けている。今度は防具のガチャも回しているようで、店の中の武器が少し少なく見えますね。

 

「使い手が少ないんですか?」

 

「そりゃ少ないよ。闇属性を使うのは主に【メイジ】や【ナイト】だけど、【メイジ】で闇属性統一は少ないからね。逆に【ナイト】には需要があるけど、それでも杖みたいな基本攻撃力の低い装備は効果が優秀でも選ばれにくい」

 

 そう言って取り出したのは黒色の木材で作られた棒。基本的な杖よりもかなり短めに作られており、どちらかというと指揮棒(タクト)かなにかに見えなくもない。確かに攻撃力の低さに加え、このリーチでは近接攻撃役(アタッカー)としては採用しづらいかもしれないですね。

 

「闇属性+35%に【ニノタチイラズ】、【ファストリロード】、【タイム・カプセル】が付いてる。【ナイト】と【ガンナー】のスキルだね」

 

「確か【ニノタチイラズ】は攻撃を外したらもう1回スキルが使えるスキルでしたか。【ファストリロード】や【タイム・カプセル】は実質的に【ガンナー】の専用スキル――」

 

【ニノタチイラズ】

[アクティブ][自身][補助]

消費MP:6 詠唱時間:0s 再詠唱時間:1m

効果:[攻撃][スキル][非命中時][直後]にのみ[発動]できる。[再度][同一][スキル]を[発動]する。

 

【ファストリロード】

[アクティブ][自身][補助][条件:銃器]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:60s

効果:[ガンナー][弾丸][スキル]の[再詠唱時間]を0にする。

 

【タイム・カプセル】

[アクティブ][投射][妨害:確定][物理][条件:銃器]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:25s 効果時間:45s

効果:[効果時間][終了後]に[ダメージ]を[与える]。

 

「ゴブゴプ!」

 

「え?いや、確かに【吸血悪鬼の機関銃】がありますけど、【メイジ】/【ガンナー】にでも転向するんですか?それならそれで職業(クラス)のスキル枠として【ファストリロード】や【タイム・カプセル】を獲得すればいいだけですし、あまりメリットがないですけど……」

 

 ゴブ蔵は忘れられがちだけど、機関銃から生まれたゴブリンだ。全く使っていないこの銃にも愛着があるのかもしれない。幸い闇属性の強化倍率は悪くないようなので、ゴブ蔵に買ってあげることに。

 

「でも機関銃って両手で構えて持つ印象があるんですけど大丈夫ですかね?」

 

 そんな疑問が浮かんだのだけど、杞憂だったらしい。

 

【セミマニュアル】

[パッシブ][パーミッション]

効果:[装備]している[銃]を[自身]の[意思]で[使用]する。

 

 【ガンナー】には引き金から手を離していても安定して引き金を引けるというスキルがあるようだ。地面に設置した銃を自身から独立して作動させられるという使い方が想定されているようで、なかなかに便利なスキルですね。

 

「ゴブ蔵の好きなようにスキルを取得してみてください。活躍を期待してますよ!」

 

「ゴブー!」

 

 さっそく買った杖に妖精さんを刺繍しようと思ったのだが、ゴブ蔵から注文が入った。どうやら【吸血悪鬼の機関銃】に刺繍してほしいらしい。

 

 新しい武器に刺繍するために杖を買ったのだけど、まぁいいか。ボクは機関銃に妖精さんを糸で繋げていく。ボクの杖にくっついた妖精さんとは違い、今回の妖精さんは物怖じしない性格のようで、針の先を見つめながらまだかなまだかなーとそわそわしている。あまり動かれると危ないからやめてほしいんですけど……。

 

「よしよし、妖精さんセット完了!」

 

「ゴブ!」

 

「♪」

 

 糸で機関銃にくっついた妖精さんと戯れ始めるゴブ蔵。仲がよろしくていいことです。

 

 そんなほのぼのした光景をぽややんと眺めていると、新しいフォルダさんが世間話を持ち込んでくる。

 

「そういえば開拓イベントはどうなったんだい?たしか今日からだったはずだけど。卍さんなら1日中開拓してると思ってたんだが」

 

「開拓イベントは……死にました」

 

「えぇ……」

 

「逆に新しいフォルダさんは開拓イベントに参加しないんですね。てっきり生産系の方々はなにかしら作りに行ってると思ってましたけど」

 

「俺は生産系じゃなくてガチガチの戦闘メインだよ?」

 

「またまたー。いつ来てもお店やってるじゃないですか。NPCに任せたりもできるはずなのに……」

 

「まだまだ武器以外の理想装備が作れていないからね。防具も全部位理想の効果付きにしないといけないんだよ!」

 

 なんだかんだ一生【フォッダー】で装備作り続けてそう。

 

「ちなみに魔族の街には【四つ葉のクローバー】がたくさん生えてるそうですよ」

 

 【四つ葉のクローバー】は対象の装備効果に関わらず1回まで追加効果が付与できるので、もしかしたら神装備を作る分には追い風かも?

 

「生産で神装備を作った後にクローバーガチャを引かないといけないのか……険しい道のりだ……」

 

 良い装備を作りやすくなったよ!という意味でご紹介させていただいたのだけど、新しいフォルダさん的には理論上の理想値が上がってしまったという絶望的な案件だったらしい。

 

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