卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第266話 願掛け

 新しいフォルダさんは【四つ葉のクローバー】量産計画に絶望しつつも、やっぱりクローバーで理想形を追い求めていく所存らしい。まずは例の【ジョーカー】が複数付いている装備に貼ってみるつもりなのだとか。

 

 ちょうどボクも採取してきたクローバーが何枚かあるので、配信中に引いてもらおうと思ってプレゼントしてみた。新しいフォルダさんは受け取ったクローバーを見つめながら、深く深呼吸をし始める。別に呼吸したりしたところで付与される効果に変化はないとは思うけど、気持ちはよくわかりますよ……うん。

 

 そして例のハンマーを【ストレージ】から取り出し、再び深呼吸。次に肩をぐるぐると回して準備体操。屈伸をし始め、それから何度かジャンプを繰り返す。さらに「はあぁー」という掛け声とともに怪しい謎の踊りをし始め……。

 

「っていつまでやってるんですか!」

 

「だって怖いじゃないか!これでクソ効果が出たら作り直しだぞ!」

 

 わかる。変な効果が付くくらいなら、理想形の今の状態のままのほうが綺麗だよね。

 

「そうだ、卍さん……代わりに貼ってくれないか……?」

 

「えっ、嫌ですよ!ゴブ蔵、パスっ!」

 

「ゴ、ゴブー?」

 

 ボクが貼って変な効果が出たら、またからかわれちゃいます!露骨に嫌がるそぶりを見せたボクを見て、やっぱりコメント欄が賑わいだすけど知らないです!ゴブ蔵お願いします!

 

 別にゴブ蔵でも問題ないようで、新しいフォルダさんはゴブ蔵にクローバーとハンマーを手渡す。ゴブ蔵は逡巡したようだけど、意を決してクローバーを……妖精さんに手渡した。

 

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>酷い押しつけ合いを見た

 

>責任取りたくないからね仕方ないね

 

>妖精さんかわいそう

----

 

「〜♪」

 

 さてさて責任のなすりつけ合いで始まった謎の騒動だけど、ゴブ蔵の妖精さんはまるで緊張なんてないらしく、ふわふわとハンマーに近づいて勢いよくぺたっとクローバーを貼り付ける。

 

「さ、さて。結果はどうでしょう?新しいフォルダさん、確認お願いしますね」

 

「いやいや卍さんが見てくれ」

 

「あなたの装備ですよね??」

 

 貼るのは躊躇したけど、まあ見るのは問題ない。見たところで見なかったところで、付与された効果は変わらないからね。というわけでハンマーを拾い上げて【ストレージ】にいったんしまって、効果を確認してみる。

 

【ユビキタス】

[アクティブ][自身][召喚]

詠唱時間:0s 再詠唱時間:480s 効果時間:30s

効果:[自身]を[召喚]する。[ステータス]は[共通]とする。

 

「おっ!悪くないんじゃないですか?【アサシン】のスキルですね。職業(クラス)スキルなので【ジョーカー】で代用が利くのは確かですけど、腐る場面がなさそうです」

 

「【ユビキタス】か……もう1人自分を増やせるスキルだったかな?確かに下手な攻撃スキルが付与されるよりは明らかに優れている。ありがとう妖精さん!」

 

「♪」

 

 新しいフォルダさんに指先でなでなでされる妖精さん。けれど妖精さんはなでなでされるより、乗っかるほうが好きな様子で、さっと身を躱して代わりにちょこんと指に座り込む。新しいフォルダさんは指先を伸ばしたまま、妖精さんの座る場所を維持してあげることにしたらしい。そのままの体勢でボクに話を振ってくる。

 

「これはアレだね。次も【四つ葉のクローバー】を貼るときは呼んでもいいかな?」

 

「ちょっとちょっと、あまりうちのゴブ……もとい妖精さんに期待されても困りますよー?変な効果が付いても責任は持ちませんからね」

 

「構わない。俺だって本当は誰が貼ったって同じだってことはわかってるんだ」

 

 ちょっとした願掛けといった感じなのだろう。どうせ新しいフォルダさんのお眼鏡に叶う装備はこれからまたしばらくは出てこないだろうし、これくらいなら協力してもいいかな?

 

 いつもボクが使えそうな装備があったら取っておいてもらえるようにお願いしているし、それくらいはお安い御用。クローバーの効果はどうあれ、新しいフォルダさんのお眼鏡にかなった装備を見られるというのもメリットが大きい。

 

「ちなみに何か今はいい装備がありますかね?」

 

「炎属性は小粒ならあるけど、服と杖だからなぁ……。配信で見たけど、その帽子も強いんだろう?」

 

「風でもいいですよ? あとは攻撃無効の相手にダメージを与える手段とかがあればいいんですけど……」

 

「風か。服、杖、帽子以外なら……靴かな?【風読みの靴】っていうのがあるよ。ふわふわの雲みたいな靴なんだ。当然、風属性に+補正は掛かるけど、スキルは【エアジャンプ】と【ゲールウィンド】。まあとりあえず仮で装備しておく程度の性能だね」

 

【ゲールウィンド】

[アクティブ][4回][投射][風属性][攻撃][魔法]

消費MP:6 詠唱時間:2.5s 再詠唱時間:15s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

「汎用枠である【エアジャンプ】と【メイジ】で覚えられる【ゲールウィンド】ですか。スキル枠の節約としては確かに便利ですね」

 

「次は風属性で良いのがあったら抑えとくから、今回はそれで我慢してくれ。あとは無効にダメージを与える手段ってのはちょっとわからないね……。何かあったかな?」

 

「いえいえ、いいんですよ!ありがとうございます!最近は【アームズスイッチ】を覚えましたから【ゲールウィンド】を使いたい時だけこの靴を装備するなんてこともできますし、良いかもしれないですね」

 

「あ、そうか。【アームズスイッチ】あるなら杖や帽子でもいいのか。ちょっと待ってくれ」

 

 お、なにかいい装備があるんですかね? がさごそと棚から装備を探し始める新しいフォルダさん。なんだろなんだろ。わくわくしながら見ていると、取り出されたのは杖だった。今装備している【魑魅魍魎の杖】はデメリットが大きすぎるので、代替品があればありがたいですね。

 

 緑色の宝玉がきらりと光る小ぶりの杖。見た目から想像できるのは、風属性だってこと。さらに小さな蝶の羽のようなアクセサリが宝玉の横に一対付属している。これが装備の特徴を表しているのかな?

 

【ゲールウィンド】

[アクティブ][4回][投射][風属性][攻撃][魔法]

消費MP:6 詠唱時間:2.5s 再詠唱時間:15s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

【シルフストーム】

[アクティブ][6回][特殊][エリア][風属性][攻撃][魔法]

消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:15s

効果:[自身]が[発動]した[投射][魔法]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。

 

 

「……なるほど、効果が被りましたね」

 

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