卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第267話 妖精さんの住処

「風属性では最もメジャーなスキルだからね。今買わないならすぐに売り切れるだろう」

 

 効果は被っているけれど、同名の能動(アクティブ)スキルを複数覚えていると、再詠唱時間(リキャストタイム)の面では優位なので悪くはない。

 

「妖精さん、妖精さん。この武器を住処にしてもいいですよ」

 

「〜♪」

 

 武器や防具に備わったスキルをオートで使用してくれる、ありがたい存在。それが妖精さんだ。武器に括りつけたりするのはあくまで特殊な使い道であって、普通は武器に入ってもらうことでその力を発揮するらしい。

 

 妖精の入った杖は明るく発光しながら一本足でぴょんぴょんと飛び跳ねている。とはいえ、さすがにそのまま動くのは不便なようで、しばらく中で遊んでいたのはいいものの、再び飛び出してきた。出入り自由なんですね。なら、また使いたいときに入ってもらうことにしましょうか。

 

 お金を支払って、ボク達は新しいフォルダさんのお店を出る。今回購入した装備はあまり特殊なスキルもなく、どちらかといえばスキル効果としては控えめなほうだ。あまり散財しなくてすみましたね。

 

 しかし、普通の戦闘で使う戦術としては間違いなく順当に強化されたけど、神様にはそのままでは通用しない。いくらゲーム内スキルを極めようと、神様相手にはひねくれた搦手まみれの戦いに挑む必要がある。

 

 おまけにこっちは搦手で効率度外視で仕掛けていくのに、向こうは次から全能でずばばばばーん!と攻めてくるらしい。どうするの?

 

 さらに言えば、神様が使う全能技は視線で相手を瞬殺する光速の攻撃以外は知らない。あれしか使ってこないなら別にいいんだけど、全能ってのはなんでもできるから全能なのであって、別にこの技とこの技が使えますよ、なんて仕組みではない。基本的には自由に様々な現象を引き起こして、好きなように殴ってくるわけだ。

 

 せめてその神様が本気で戦っているシーンが見てみたいんだけど、どこかに映像として残ってないのかな?

 

 ゆうたさんに相談してみたけれど、常設のランクマッチは非公開情報なので、【シングル杯】や【ダブル杯】における活躍歴のない神様の情報は残っていない。そもそも例の無敵コンボだけで大概の相手を封殺できる以上、フルパワーの全能を行使する神様と戦った人は、まだ恐らくいないだろう、とのことだ。

 

 

「とにかくゆうたさん!神様をタイマンで倒さなければスキルの強さは証明されないんです!協力してください!」

 

「そもそも相手の不死性の根源がスキルにあるんだがな……」

 

 基本的な攻撃に該当するスキルは例の【邪神】様の加護により完全に封殺される。

 

 そしてこのゲームの攻撃というのは思ったより範囲が広い。殴り飛ばしたり蹴飛ばしたりという通常攻撃はもちろん、家が偶然当たったという状況も判定としては攻撃に含まれる。

 

 キリトさん達が率いるうさぎの群れは同じように攻撃をトリガーにするカウンターの使い手であり、家を飛ばすことによって無効化できたけど……あれは()()()()()()という判定によってカウンターの発動対象から外れただけで、カウンター自体が不発になったわけではないみたいだ。

 

 つまりダメージを与える大半の行動が攻撃に該当するのだけど、一方で最大HPにダメージを与えるスキルや回復魔法は攻撃に該当しなかった。この違いはどこにあるかというと……。

 

「スキルの説明欄には攻撃スキルの場合、[攻撃]とカテゴライズされている。だからこそ、ダメージを与えることができるスキルであっても、[攻撃]に分類されていなければ[攻撃]には該当しない」

 

 具体的なカテゴリ分けがなされていない物理的なダメージと違い、明確にカテゴライズされていることがこの結果の違いを生んでいるのだろう。

 

「つまり攻撃じゃないスキルこそが突破口なんですよゆうたさん!」

 

「荒罹崇の所持スキルだとまずELMを下げてからの回復。それから猛毒のポーションによる状態異常ダメージが有効だったのは確認済みだな。ただし猛毒に関しては治されると抗体が発生する、有効打になり得ないだろう」

 

 これも先の戦いで経験したように、【オートユーザー】を利用しての治療であれば再詠唱時間(リキャストタイム)を潰せるので意味がないわけではない。

 

 けれど、戦略が2種類しかなく、その2つが相手に割れている以上、次は向こうも対抗策を持ち出してくるだろう。例えば炎属性ELM増加の装備があれば、簡単に回復魔法に関しても封殺できる。

 

「そして最大HPを減少させる攻撃、これでも突破は可能なはずだ。前者2つと比べるとスキル1つで準備なしに攻撃できる。これが正攻法だろうな」

 

「と、なると【ナイト】になって【ライフコラプス】覚えますーって?【メイジ】がいきなり転向するのもややハードルが高いですけど……。確か【ナイト】には魔法スキルもあるんでしたね」

 

 ボクの周りでよく活動している【ナイト】は通常攻撃主体だったり、盾役(タンク)メインだったりするので見たことはないけど、【ナイト】は聖属性と闇属性を管轄していることもあって、それらの属性の魔法も持っている。

 

【ダークネス】

[アクティブ][キャラクター][闇属性][攻撃][妨害][魔法][条件:暗黒の力/オン]

消費MP:12 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:30s

効果:[キャラクター]にダメージを与える。[確率]で[キャラクター]を[反転][状態]にする。

 

「【ダークネス】、反転状態ってのは回復でダメージになる妨害(デバフ)ですね。これがあれば相手の炎属性ELMを下げなくても直接回復を火力に変えられるんですけど……。このスキル自体が攻撃なので、妨害(デバフ)と一緒に無効化されてしまうんですよね」

 

 なんで【メイジ】じゃなくて【ナイト】にそんな魔法スキルがあるんだ!ってのは突っ込みたいところだけど、聖騎士とかダークナイトとかはゲームでもありがちだから仕方ない。強いて言うなら、光と闇が両方備わり最強に……といった感じ?

 

「攻撃自体は通らないが【サイキック】で【シェアリング】を経由すれば間接的に通せるだろう?【サイキック】も育てているし、都合がいいのではないか?」

 

「なるほど、ボクはまだ【シェアリング】を獲得してないんですけど、スキル枠は空いてますね。あとは猛毒を【トラップハンター】経由にせず掛けられるのも良い点でしょう」

 

 ゆうたさんとボクの対神様戦に向けた議論はそれからしばらく続き、結果としては少し光明が見えてきた気がした。

 

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