卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

280 / 541
第272話 羞恥プレイ

「何はともあれ、対戦ありがとうございました!これで神様相手にも立ち向かえると思います!」

 

「いえいえ、卍さんと戦えて僕も嬉しかったです。でも、1つだけ言っておきたいことがあるんだ」

 

「なんでしょう?」

 

「神様が本気を出すとしたら、それは〈魂の言葉(ソウルワード)〉にあるはずだ。もちろん全能技も交えてくるだろうけど――油断しないほうがいい」

 

 確かにこれまでの戦いで《神なる行動(ディバインアクション)》は装備スキルとの連携に使っていたようだけど、その言葉の本質は『矛盾』の両立にある。もっと幅広いことができるはずなんだ。もしかすると、仮初の全能である〈バタフライタクティクス〉なんかよりも、ずっと壮大な事象を引き起こすことができるかもしれない。

 

 便宜上、わかりやすく『全能技』と略しているけれど、〈バタフライタクティクス〉は何でもできるテクニックってわけじゃない。仮に彼が本当に神様を名乗るのであれば、こんな玩具みたいな力ではなく――。

 

 いや、考えても仕方ありませんね。当たって砕けていきましょう。この戦いにはゲームスキルの役割を普及させるという目的こそありますが、命の危機も世界の危機も懸かっていない。

 

 ある意味ではこれこそがゲームの本来あるべき姿!そしてそれこそがボクの伝えたい遊びとしてのゲーム!つまり、リラックスしていきましょう。

 

 こんなこと言ってると【モーションアシスト】に笑われるかもしれないですが、負けてもリベンジの機会はいずれ来る。もちろん勝つ気満々ではいますけど、それでストレス溜めてちゃいけないですよ。

 

 といった内容を視聴者さんに伝えたのだけど、例によって負けたときの予防線かな? と盛り上がる。口では嫌がってみせるけれど、もはや定番になったこの流れ自体がボクの需要でもあるので大歓迎です。

 

 さて、心の準備はできたので早速神様と対戦! と行きたいところだけど、対戦は開拓イベントの後にと約束してしまったんですよね。お願いすれば調整してくれそうな気もするけれど……。開拓イベントに集中するためにそういう日程にしたのに速攻で諦めて離脱しようとしてるなんて酷すぎますね、ボク。

 

 改めて考え直すなら、開拓イベントは失敗しても構わない純粋な遊びとしての企画。それならこの企画に関してもあたって砕けろの精神でいくべきでしたね。

 

「よし、今からでも遅くはない。開拓イベントで優勝を狙うために、全力でイベントに取り組んでいきます!」

 

----

>卍さんってよく思考を口に出さず結論だけ宣言する癖があるよね

 

>配信者として最低の癖で草

 

>訓練された視聴者なら行間くらい読めて当然なんだよなあ

 

>対卍さん専用のロールプレイングってマジ?

 

>卍さんの思考再現とか脳が汚染されそう

 

>こんな辛辣なコメントしか書き込まない視聴者がファンという絶望

 

>視聴者は全員ツンデレだからね仕方ないね

 

>思考再現とか脳が汚染されそう(卍さんが過ぎて恋しちゃいそう♥)

 

>きも。死ね

 

>二度と書き込むな

 

>コメントのせいで吐き気を催しましたあかりちゃんのチャンネル登録します

 

>全く関係なくてわろた

----

 

 最近は、ボクのチャンネル登録を外すんじゃなくてあかりちゃんさんのチャンネルを登録するという活動がブームになってるんですね。ボクがなにかやらかすたびに、ライバルのチャンネル登録が増えていくという恐るべき事態。視聴者全員があかりちゃんさんのファンになってしまう前にボクのいいところも見せていかなくちゃ!

 

「それじゃあ敵状視察だねー!魔族の街にれっつごー!」

 

 というわけで、これからみんなで魔族の街に行くことになりました。おにいちゃんさんもめりぃさんもゆうたさんも引き連れて、ゴブ蔵を召喚して【グレイブウッド】へと向かう。

 

「めりぃさんはなんだかんだで付き合ってくれそうな人ですけど、ゆうたさんもついてきてくれるんですね?」

 

「魔族の街の現状把握は必要だからな。先の配信であれだけの開拓が行われていた以上、バトルに有益な仕組みや施設が増えていてもおかしくはない」

 

 などと真面目な返答が返ってくるけれど、そもそもこの場にゆうたさんが来ているのは、ボクが対神様戦の対策をしたくて痛チャットを送って泣きついたのがきっかけだ。やっぱり付き合いのいい人なんですよね。

 

----

>ゆうたさんかわいい

 

>ツンデレわかる

 

>ダブル杯の頃からデレデレだぞ

----

 

「おつ、コメント欄で言われてますね。ゆうたさんはボクのこと好きなんですかー?」

 

「好きに決まってるだろう。『小数点のその果て』……今や、そのきっかけとなった【黄金の才(ユニークスキル)】にそこまでの優位性はないが、あの時から俺は荒罹崇を応援しているぞ」

 

「うにゃっ……」

 

「あー卍さん恥ずかしがってるー!」

 

「卍さんはコメント欄でもあまり直接褒められないからね。こういうのに弱そうだと思ってた」

「傍から見てるボクまで恥ずかしくなってきたんですけどー?」

「アタシも卍さん好きなんだけど??ゆうたさんより前から応援してるんだけど??」

「お前が生まれたのは【ダブル杯】より後じゃねーか」

「その頃は〘Multa〙を使ってませんでしたからねー」

 

 すっごく恥ずかしいから、あんまり弄らないでいただきたい。めりぃさんにうりうりと小突かれながらも、極めて冷静を装って、【グレイブウッド】のポータルへとことこと歩みを進める。演技の達人であるボクと《ロールプレイング》が組み合わさればこれくらいチョロいことなのです!

 

----

>顔真っ赤だぞ

 

>卍さんかわいい

 

>卍さんきゅーと

 

>卍さんかっこいい

 

>恥ずかしがってるのを隠そうとしてるのバレバレだぞ

 

>ここぞと言わんばかりに褒め称え始めるこのひねくれっぷりよ

----

 

 やめてー!褒めないでくださいー!恥ずかしいー!

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。