卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「結論としては猫姫さんのスキル的にはまだまだ上を目指せるということですね」
「わたくしは【『ディオニューソス』】を使いこなせていなかったんですのね……」
「大丈夫だよー!今から最強の料理人になればいいんだからー!」
「しかし、次はどうする?〈引き上げの原則〉を試してみるか?」
「美味しくない素材から美味しく昇華させるとボーナスがあるんだよね?それならその辺の雑草とかを美味しくすればボーナスも大きいのかな?」
なるほど、面白い話ですね。雑草を美味しく料理するのは難しいですが、【『ディオニューソス』】ならそこを超越して味を自在にコントロールできる【
さっそくその辺に生えていた、効果すらなさそうなくらい平凡な雑草を抜き取り、【ストレージ】で特別なアイテムではないことを確認。それからありすさんにも【クックブック】で確かめてもらい、料理素材としての適性が著しく低いアイテムだと太鼓判を押される。
さて、そんな素材を猫姫さんがどう調理していくのかというと……。
「よし、今日は新鮮雑草サラダに致しましょう!」
引っこ抜いた雑草をお皿に盛り付け、ドレッシングをかけて完成!すごい!あっという間に料理ができましたよ!!
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>酷すぎる……
>サラダって言ったらそんなもんだからね仕方ないね
>これだけで料理の味補正掛けられるってマジ??
>ディオニューソスとかいう猫姫さんにぴったりの神スキル
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「……凄まじいな。DEX補正+70%。先のサンドイッチを凌駕しているぞ」
【クックブック】で成分と補正を確認しながら、ありすさんが驚愕する。お肉より雑草を使ったほうが強いんですね……。
「つまり、猫姫さんはまともな素材を使うより、雑草みたいな素材で料理にした方が良いものが作れるってことなのかな?」
「いや、ステータス補正などの料理は基本的にはどの素材でも作れるが、スキルポイントの一時的な増加や食いしばりのような効果は一定品質以上の特殊素材でしか作れねえ。そこは場合によるといった所だろうな」
「けれど、少なくとも〈引き上げの原則〉を極限まで極めれば全ステータス増加の料理を作ることは不可能ではないということだね。確かさっきのテクニックの話だと……不味くしてから美味しくするんだっけ?」
「そうだな。しかしこのテクニックは一度不味くすることによって素材自体の効果補正が大幅に低下する。オレも試行錯誤しながらバランスを調整しているが、不味くした後に美味しくしても結果的には普通に作った時の数値を超えられないことも多い。もちろん、【『ディオニューソス』】レベルで味の補正が行えれば関係ねえんだろうがな」
これだけの上昇補正が見込めるなら、今の猫姫さんなら全ステータスの補正が微小な美味しくないぶどうジュースの味を改変してしまえば、例のジュース以上の効果を持つ料理を作れるかもしれませんね。
ただしそれは【『ディオニューソス』】を前提とする場合の話だ。当然、今回のジュースを作ったプレイヤーが、課金者専用であり世界に1つの【
「よっぽど不味い領域から美味しい味に仕上げているということかな?例のぶどうジュースの原液は味が薄いらしいけど……その原液を作る前の工程で――」
そして始まったのはとてつもなく不味いぶどうジュースを作る研究だ。極めて普通の効果を持ったぶどうジュースをいくつか用意し、それらすべてを混ぜ合わせることで全ステータス向上のジュースを作り出す。
そしてこれに様々な液体を混ぜてみることに。担当者は夜露死苦さんだ。まずは毒薬を盛大にぶちこんでみる。料理効果に毒の効果が追加された。次にコーヒーを混ぜてみる。このコーヒーの効果はINT+10%程度なのだけど、この程度の強化値はもはや誤差。これで料理の味が著しく低下していく。
「少なくとも素材の品質としては雑草を大幅に下回っただろうな。ついでにアイテムカテゴリが料理とポーションの複合になっているが……料理とポーションの境目はどこにあるんだ?ジュースもポーションも飲み物だろう?」
矢は撃てる弓があってこそ。家は家具などを配置できてこそ。このゲームに存在するアイテムはカテゴリ分けするための条件があることはわかっている。けれど、たしかにジュースとポーションは曖昧ですね。ポーションにもステータス増強の
一方で料理には
ゆうたさんの疑問に対してありすさんが答えてくれた。
「強いて言うならば……作成者の主観だろうな。料理として作っているという意志があれば料理となる。薬剤として作っているつもりならポーションになる。作っている当人がそのアイテムを食べ物と認識しているか、ということだ」
「……つまり、夜露死苦さんはこの毒薬コーヒーぶどうジュースを食べ物だと認識して作っているということなのかい?僕には難しそうだ……」
「邪念が入って僅かにポーションとしての属性が付いちまったがな。なんとか食いもんだと思いこむことで料理として維持し続けている。だからそこをあまり聞くな。こういうのは自己完結が大事なんだ」
それからも何度か変なものを混ぜていくが、夜露死苦さんの強靭な精神力によってぶどうジュースは食べ物だと認識されていき、やがてポーションのカテゴリすらも消失した純粋な料理として完成する。
食事効果は極小どころかマイナスの領域にまで達しているけれど、ここから美味しく仕上げれば問題ない。
「問題はどうやって美味しく仕上げるか、ということですが……どうします?濾過できますかね?」
「荒罹崇、もしかしたら縛りプレイによって忘却しているのかもしれないが……人類は量子単位の制御ができる。そして〈バタフライタクティクス〉を通して他のオブジェクトに波及させることができる。そうだろう?」
完全に忘却していました。