卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

286 / 541
第278話 天罰(罰ゲーム)

「おめでとう!!!優勝賞品の【願いの石】だよ!!!」

 

「わーい」

 

 もらえるものはもらっておこうってことで受け取っておく。でもとがみんの方が頑張ってたし、とがみんに譲ろうかな。

 

 腑に落ちない謎の優勝ってのも相まって、すでにボクの興味は【願いの石】にない――というより、受け取るのが申し訳ないというか、なんというか。あるいはこれを使って、ボク達主催でイベントなんかを開いてもいいかもね。

 

 今、ボクの頭の中にあるのは神様との戦いだけ。休戦期間である開拓イベントはたった今終了した。それなら、神様の都合がよければすぐにでも戦いを挑めるってこと!

 

 決まっていたのは休戦期間だけで、試合の日時は決まっていない。だから油断せず、準備に準備を重ねることはいくらでもできるけど、それは相手も同じ。常に同じ実力を維持し続けるゲームモンスターじゃなく、相手は人間なんだから当たり前。

 

 それなら早速速攻全力全開で戦っていくべきだ!……もちろん相手の都合がよければね?

 

 チャットを送ってみると、1時間後に【闘技場】で会おうという連絡が届く。今回は野良試合ではなく【闘技場】ルールですか。ゴブ蔵は当然、試合前に出しておけないし、食事効果以外の付与(バフ)も乗せておけない。ちなみに【タクティクスフラッグ】のカウンターもリセットされる。まあ、それでこそ対等と言うべきだけど、先の2戦と比べると相対的には不利な条件になりましたね。

 

 それなら、引き継げる付与(バフ)である食事効果を厳選していく必要があるだろう。安牌なのは【パインサラダ】による食いしばり。あとは最大HPを一時的に引き上げる、猫姫さんのお手製料理あたりが候補になるだろうか。一時的にスキルポイントを増加させて即席スキルを獲得できる料理なんてものもあるけれど、こういうのは相手の戦術がわかっているボス戦前に、状況に合わせてカスタマイズするために使うものだ。神様戦には通じない。

 

 当然だけど全ステータス増加の全能製付与(バフ)アイテムは縛る。その上で、どの料理を選択するかと言えば……。

 

「【たい焼きくん】ですね」

 

 これは与える妨害(デバフ)の出力を底上げするという変わった効果を持つ付与(バフ)アイテムだ。魔族の街で釣り上げたお魚で、カスタードクリーム味。それを両手で頬張ってもぐもぐと食べる。

 

----

>水の中で泳いでいるたい焼きとか絶対食えたもんじゃないぞ

 

>たい焼きの刺し身

 

>おまえらがリアルで食ってるたい焼きもみんなこうやって獲ってるんだが?

 

>マジで??

 

>ひよこはどうなんだよひよこは

 

>アレも養殖だぞ

 

>マジ???

 

>嘘定期

 

>たい焼きの踊り食いしようぜ!

----

 

「うん、美味しいです!前にも話したと思いますけどこの尻尾が特に美味しいんですよ。もぐもぐ」

 

 あっという間に食べ終わり、ステータスを確認すると付与(バフ)が付いていた。試合は1時間後だけど、効果時間的には余裕を持って余りある。

 

「卍さん、がんばってね。応援してるよ♥」

 

「はい、がんばりますよとがみん!試合開始までの時間はイメトレで神様をはっ倒し続けてウォーミングアップします!」

 

 さっきの表彰はとがみんとチームを組んでの優勝だったので、今回はとがみんがいる。しゃがみ込んでひょいっと抱え込み、なでなでしながら精神を落ち着かせていく。

 

「ちなみに灑智ちゃんがこの前言ってたよ。ダンジョンに来てくれないからまたドッキリ仕掛けようかな、だって♥」

 

「うぇっ!?」

 

 とがみんさん、精神統一の邪魔をしないでいただけませんか??……わかりました。神様との戦いが終わったら勝ちであれ負けであれダンジョンに挑みに行きますよ!

 

 お返しに耳をびよーんと引っ張って構ってあげると、やらしい嬌声をあげながら悶え始めるとがみん。うさぎのアバターは耳が弱いんでしょうか。

 

「あ、そうだ。よければこれ使って♥いらないかもしれないけど念のためにね」

 

 ボクの手を、うさみみ帽子で振り払い、【ストレージ】から取り出したのは1本の瓶。なんでしょう。ポーションでしょうか?瓶の上部にはプッシュボタンが付いていて、押すと中の液体が噴射されるようになっているみたい。

 

「ありがとうございますとがみん。で、なんでしょう?これ」

 

「性能を見ればすぐにわかるよ。試合前にでもちらっと見ておいて♥」

 

「はーい」

 

 さてさて。それから試合開始直前まで、コメントを拾いながらとがみんとゆったり雑談していると、ゆうたさんからチャットが届く。どうやら今回の試合を見届けたいのだとか。別に配信でも見ることはできるというのに、ほんと律儀なお人ですよね。

 

 ゆうたさんととがみん、それから神様に【パーティ】申請を送り、【闘技場】に入場する。ボクが一番乗り。ついでボクの出した扉からとがみんがとことこと入ってきて、次にゆうたさん、そして最後に神様が別の位置に現れた扉から入ってくる。

 

 神様なんかは神様らしい入場の仕方にも気を配っているご様子で、1歩ずつどすんどすんと足を踏みしめつつ、圧倒的な威圧感を放出しながらボクのもとへ近づいてくる。〈感受誘導〉ですね。〈魂の言葉(ソウルワード)〉の域には達していないようですが、それでもピリピリとした、説明のつかない偉大な空気を感じ取れます。

 

「我と戦う覚悟は出来たか?荒罹崇よ!」

 

「できましたよ!そちらこそきゅーてくちゃんねる〜神殺し編〜に出演いただく覚悟は大丈夫ですか?」

 

「……フハハハ!!それでこそよ!神に歯向かうのであればそれくらいの気概が無ければ務まらん。しかし、神への反逆を目論むのだ。であれば、それに失敗した時のリスクも受け入れてもらわなくてはなあ?」

 

「ふむ、天罰(罰ゲーム)ですか。いいでしょう。ボクに可能なことであれば賭けに乗りましょう。なんですか?まあ負けませんけどね、ボクは――」

 

 

「――負けたら1ヶ月間、チャンネル名を『神様バンザイ崇め奉りますちゃんねる』に変更しろ。そして、我の布教活動を行うのだ」

 

「――っ!」

 

 なるほど……負けてもまたいずれ次がある。そんなボクの油断を見抜いていましたか。これは絶対に負けられない試合になりましたね。

 

 いいでしょう。それならボクは絶対に神殺しを達成させるだけだ。客観的に見ると、ボクにペナルティを与えているだけに見えますが、これはどうやら塩を送ってくださったようですね?

 

 それなら、追い詰められた窮鼠の実力というモノを見せてやりますよ!

 

----

>ダサすぎて草

 

>これもうわざとだろ

 

>罰ゲームなんだからダサくなきゃ意味ないぞ

 

>まじかよ神様バンザイ崇め奉りますちゃんねるのチャンネル登録外します

 

>これは負けられない戦い

 

>シリアスな顔して冗談みたいなこと抜かすな

----

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。