卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第280話 拮抗する天秤

「フハハハハ!どうしたどうした!我にそのような攻撃は効かんぞ!」

 

 後方に飛び退がるゴブ蔵の下へ《神なる行動(ディバインアクション)》によって移動し、追撃を重ねようとする神様。よほど【フィーニクス】を出されたくないらしい。しかし、ボクを放っておくのは悪手ですよ?

 

職業(クラス)チェンジ、【ナイト】!」

 

 【女神像のネックレス】を用いて【アイテムマスター】を【ナイト】に切り替え、ボクは«疾風迅雷»によって神様に接近する。

 

神様が靴を踏み鳴らすと一瞬で地面が盛り上がり、神様とボクを隔てる土壁が出現する。そしてゴブ蔵もまた地面から迫り出した土壁によって大きく上空に弾き飛ばされる。しかし、攻撃として生み出したものならまだしも、既に単なるオブジェクトと化した壁くらい、〈トンネル避け〉で抜けられる!

 

「【ライフコラプス(ゴブブゴブブブ)】!」

 

 上空に跳ね飛ばされたゴブ蔵は宙を舞いながらも片手で機関銃を構え、スキルを発射する。本来なら投射攻撃ではない【ライフコラプス】だが、【ガンナー】にとっては射撃技も同然だ。

 

【マジカルローディング】

[パッシブ][スイッチ]

効果:[詠唱後]に[スキル]の[効果]を[次]に[発動]する[弾丸]に[付与]する。

 

 やはり無敵のコンボによって油断している節があるのだろう。神様は、ボクなら軽く躱せるような攻撃を無防備に受け止め、最大HPを削り取られる。

 

「何!?」

 

 ――いや、あの分だとゴブ蔵がなんの弾を撃ったのかすらわかっていなかったんだろうね。スキルの発動宣言だってゴブゴブしか言ってないし。

 

 そこにボクが2撃目の【ライフコラプス】を杖で叩き込む! 瞬間、神様の全身から衝撃波が放たれ、ボクは一瞬にして弾き飛ばされ、ゴブ蔵は逆に地面に叩き落とされる。ボクを引き離してゴブ蔵を引き寄せる――なんとしてでもゴブ蔵を始末したいらしい。剣を振りかぶり、今まさに振り下ろそうとしている瞬間――。

 

 しかし、それなら逆になんとしてでもゴブ蔵を守り抜く!

 

「【ホームリターン】!」

 

 ゴブ蔵の頭に装備されている【円盤ハウス】を起点に神様の目の前に瞬間移動し、スキルを全力全開で連発する。

 

 【ストームワンド】の妖精が【ゲールウィンド】と【シルフストーム】を続けざまに発動し、【タクティクスフラッグ】をチャージし、そこから詠唱時間(キャストタイム)を踏み倒して【ファイアエンチャント】を起動させた。

 

 神様は剣を即座に投げ捨てて拳で思い切り殴りかかってくるが、この程度なら受け切れる!

 

 ボクは即座に【ストレージ】から盾を取り出し、«疾風迅雷»の勢いを乗せて家を発射する。ダメージは与えられなかったけれど、神様を大きく弾き飛ばして距離を取ることに成功した。その隙に職業(クラス)を【アイテムマスター】に変更し、【トラップハンター】の発動準備を始める。

 

 強引に全能の力で慣性を弱めて受け止めた神様は、手で振り払うように突風を発生させ、家を弾き飛ばす。ボクの家が突風の物質干渉力を乗せてこちらに戻ってくるけれど、これはもともとボクのアイテムだ。接触と同時に【ストレージ】に収納して無効化した。

 

 そのまま【トラップハンター】によって任意条件で発動できる猛毒(トラップ)を設置した。

 

 しかし神様も、こちらが(トラップ)を仕掛けたのは理解しているはず。そしてその妨害(デバフ)の内容によっては【オートユーザー】を切り替える必要がある以上、踏まないに越したことはない。そう考えるだろう。つまり、ここから始まるのは遠距離戦だ。

 

 神様は瞬時に巨大な水塊を発生させてボク達をめがけて射出する。あれら【サモン・フィーニクス】を使ってやっと受け切れるような物質干渉力の暴力だ。今は【フィーニクス】を呼び出せない以上、同じ方法で受け切ることはできない。

 

「やっちゃってください、ゴブ蔵!」

 

「【ダイダルウェイブ(ゴブブブゴブーブ)】!」

 

 ゴブ蔵の杖――その先にいる妖精がゴブ蔵の宣言に従って大津波を巻き起こす。地面から現れた反り立つ水の壁は神様の放った水塊と正面衝突し、当然のように水塊ごと全てを飲み込んでいく。

 

「スキルは(システム)によって生み出された絶対のルール……ただの水とスキルによって生み出された水であれば、スキルが勝利するのは当然のことっ!」

 

「ふん、我は唯一神、……他に神など存在しないわ!」

 

「〈派手に弾けろ〉【イグニッション】……。実際に存在するんだから仕方ない。それが《神なる行動(ディバインアクション)》のルールですよね?」

 

 唯一絶対にして単一の神がいくつも存在していようが何も問題ない。そんな矛盾はないも同然なのだから。

 

 さて、相手の遠距離からの全能はこれで封殺できる。あとはこちらから相手にダメージを与える条件を満たさなくてはならない。

 

 見せ札として用意しているのは【トラップハンター】による継続ダメージ系の妨害(デバフ)。けれど、それ以外にもいくらでも抜け道はある。

 

 仕掛けた(トラップ)を置き去りにして、ボクは«疾風迅雷»の速度で大地を駆け抜け、神様に迫る。

 

「いきますよー!【【ライフコラプス】】!」

 

 再び【ナイト】に職業(クラス)チェンジを行い、誤差なしに発動を多重宣言することで、【ライフコラプス】を同時に複数回起動させる。ただの〘Multa〙では成し得ない、統制された思考だけが可能にする絶技をこの土壇場で成功させた。

 

 「意思の力で我に勝てると思うなよ!我は――っ!?」

 

 【ライフコラプス】を発動させた杖で迫るボク、迎え撃たんとする神様。その均衡を崩したのは唐突に神様を襲う物質干渉力だった。後方に軽く仰け反るように吹っ飛びかけ、慌てて体勢を整えようとする神様の頭部に、ボクの2連【ライフコラプス】が命中する。

 

 天秤を崩したのはボクの意思でもなく、神様の意思でもなく――。

 

【タイム・カプセル】

[アクティブ][投射][妨害:確定][物理][条件:銃器]

消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:25s 効果時間:45s

効果:[効果時間][終了後]に[ダメージ]を[与える]。

 

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