卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「たとえ私が仕事を放棄しても誰も何も困らない。プレイヤーはそれすらも面白い要素だと好意的に理解を示し、思い思いの方法で強さを磨いていく」
ユーキさんは淡々と、胸の内に秘めていた想いを言葉にしていく。
「あるいはクソゲーだなんだと私を罵る人もいることでしょう。それでもプレイをやめることはない。クソ要素を活用して、利益を享受する側に回ればいいだけの話なんですからね?」
「――じゃあ、誰が作っても神ゲーだからボイコットをしてるんですか?」
「違いますよ。これはあくまで前提の話です」
そんな感情的な理屈で仕事を放棄しているのなら、正直に言って幻滅していた。けれど、ユーキさんは首を振ってきっぱり否定する。
「何をしても許される。それならばすべてのプレイヤーを愚弄するような悍ましい仕様を導入することも可能になる。そして、
「真の目的……?」
「まあ――誰もが確信している通り、あのゲームには裏があるっていうことですよ」
ボクの問いかけに、ユーキさんは言葉を濁す。その目的については話すつもりがないらしい。
「あなたが倒した魔王も、
「もしかして、ボクを狙って公園で待っていたんですか? だからあんなに
「私が担当したプログラムの『スパゲッティコード』を解読できるエンジニアはこの世界にはいません。今後も修正されることはないでしょう。そして最後に1つだけ」
「
「というわけで、『実録!ユーキさんの衝撃告白!』の内容は以上となります! ボクが撮っていたわけではないのですが、わざわざ向こうから端末にデータが送られてきましたので、公開させていただきました」
ユーキさんは話せない秘密を抱えている。そして、それを暴いてほしいからこそボクに声をかけたのだろう。
一体どんな裏があるのか、見当もつかない。悍ましい仕様? デスゲームですか?
そもそも、はじまりの合図があまりに曖昧すぎます! バグの限度って、境界はどこなんですか!? よそのゲームなら、もう限度を超えているような仕様が割と出てきてますよ?
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>やっぱフォッダーってクソだわ
>【悲報】プログラマーがボイコット
>意味深な事言ってクソゲー臭醸しだすのやめろ
>ぜんぜん神ゲーじゃなくて草
>賞金1000億円でもクソゲーにはなりえる。はい論破
>↑でもクソゲーでもプレイしちゃうんでしょ? Q.E.D.
>↑でも神ゲーじゃないじゃん? クソゲーをプレイしてるだけだよ??
>スパゲッティコードを誇らしげに語ってるの笑える
>スパゲッティコードって何?
>↑文字が汚くて書いた人しか読めないみたいな感じ
>【悲報】ユーキちゃん、文字が汚い
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はじまりの合図がわからないのなら、探すしかない。だからこそボクはこの作戦を始動させることにした。
「曖昧すぎて理解不能です。でも、だからこそ気になります! このゲームにはどんな裏が隠されているのか。そこで!! フリップどん!」
「こちらフリップです♥」
「今日からボクたちは『フォッダー不思議探検隊』を発足させます! なにかおかしいなー? と思ったことや、この謎を解明してくれ! といったことがあったらドシドシ送ってください! ただし、コメントはすぐ流れてしまうので、ゲーム内の個宛メッセージやメール、SNSなどでお願いしますね!」
これが視聴者さんたちの圧倒的人海戦術だ!
ボクたちは今まさに、パンドラの匣の蓋をこじ開けようとしているのかもしれない。知らないほうがいいのかもしれない。
でも、知ってしまったから。知らないことがあると知ってしまったからには、解明するしかないでしょ!
ユーキさんもとんでもない毒を仕込んでくれたものです。開発者の目線であんなことを言われたら、興味が湧くに決まっているじゃないですか!
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>フ ォ ッ ダ ー 不 思 議 探 検 隊
>いいね。未開のジャングルの奥地とか行ってきてくれ
>ゆうたさんの持ってる未鑑定装備全部解析してほしい
>↑自分でやれ
>世界の果てには何があるの??
>どうして月は丸いの??
>詠唱時間無しで雷の魔法を連発してくる奴なんなの??
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「うるさーい! 疑問はコメントに書くなって言ってるじゃないですか!」
「雷の魔法はただの〚ライトニングボルト〛ですね♥」
「わざわざわかりきってることを答えなくてもよろしい! ……というわけで、次回からさっそく調査を開始していきますよー!」