卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第296話 無限の可能性

「急募!だれか【モーションアシスト】の仕組み教えてください!」

 

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>知ってたら苦労しないぞ

 

>そもそもどうやって最適解を提供してるんだよ。最強のスーパーコンピュータか?

 

>最強のスーパーコンピュータだろうとプレイヤー全員に最適解教えてたらキリがなさそう

 

>プレイヤーの脳を使って代理演算してるんじゃないか?

 

>プレイヤー10万人集まったからってスーパーコンピュータは超えられないぞ

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「そりゃそうですよね。せっかく《『次元脳』》によって頭が良くなったので推理してみましょうか。うーん……」

 

 何重にも重なった別次元の脳を持つボクの思考速度は最高峰だ。天才的な頭脳で【モーションアシスト】の正体を導き出してみよう。

 

「もしかしたら意志の力が重要なのです? 心が強くないと最適解だけ送られても使えないのかもしれないのです」

 

「〈魂の言葉(ソウルワード)〉の条件を満たせる命令文を送れること自体が、最適解を達成できるようになる条件ってことね?」

 

「ふむふむ、なるほどー」

 

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>めっちゃ頭良くなった卍さんの推理中第一声「ふむふむ、なるほどー」

 

>なんもわかってなさそう

 

>これが天才の思考回路だ。ひれ伏せ

 

>なんなら俺も今は卍さんと同じくらい天才だけどなんもわかんないぞ

 

>次元脳とかいうカタログスペックだけ凄い無駄エボルド

 

>これ絶対脳みそスカスカだろ

 

>脳だけ拡張されて信号流れてなさそう

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「どうやら《『次元脳』》が《『位階上昇(アセンション)』》だからといって急激に頭が良くなるとは限らないようですね」

 

 実際、強い意志を【モーションアシスト】に向けて送り込むことはできるし、複数のことを同時に考えたりもできるんだけど、それを操作する技術力がない。

 

 要は、世界の全てをシミュレートできるようなハイスペックなコンピュータが目の前にあっても、マウスやらタップで手動操作しているうちは低レベルのことしかできないということ。

 

 今までは《『次元脳』》のスペックで2つ3つのことを並行してできていたけど、さすがに100個も200個も回せないんですよね。

 

「さて、話を戻しましょう。【モーションアシスト】ってなんですか?ハルカさんはユーキさんとお知り合いのようでしたけど、ご存知ありませんか?」

 

「……さっきのヒントから推測はできるわよ。恐らくアレは〈魔導〉を利用した『未来観測機』……といったところね。以前にユーキが研究していたのを覚えているから」

 

「『未来観測機』?」

 

「未来を見ることができるってことなのです?でも、〈魔導〉のせいで未来は移り変わるからあんまり意味がないって配信で聞いたのです」

 

 占い師さんが教えてくれた秘奥に関連する話ですね。〈魔導〉という例外的な要素が関わる以上、正確に未来を予知することは不可能、ということでした。

 

「そうね。でも、場合によってはその結果を利用することもできる。未来が移り変わるのであれば――それら全てを観測することで、無限の分岐を捉えられるわ。無限の分岐――すなわち、無限の可能性」

 

「【モーションアシスト】は全ての可能性を観測することができる……?」

 

「右に避ける、左に避ける。あるいは避け方なんてのもある。同じ避けるという手段でも可能性の分岐によって動きは変化し得る。そうして理論上起こりうるアクション全てを観測した上で、意に沿った手をプレイヤーに送り返すだけで、理論としては成立するわ。簡単でしょ?」

 

「……【モーションアシスト】は〈乱数調整〉を実用化したものってことですか」

 

 以前占い師さんが教えてくれた占いの秘奥、〈乱数調整〉。未来のテストの解答を覗き見るくらいにしか使えない。つまり、そのままでは実用性に欠ける手品みたいな代物だと教えてくれたけれど……。仕組みとしては同じだ。

 

 テストで満点の結果が出せるまで未来を延々と観測し直す。

 

 力技にもほどがある話だけど、それがこの世界を左右する最高峰のシステムに用いられている可能性があるというわけですね。

 

 もしかして、あの人も知ってたのかな?

 

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>この理論が本当ならとんでもない力技ってことだよね?

 

>その時点で起こりうる全パターンの未来を見た上で1番良い手を選ぶってことか

 

>最適解の出し方がわからないので全パターン試してみました!!!

 

>効率が最悪すぎて草

 

>最適解の演算(物理)

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「ということは、〈魂の言葉(ソウルワード)〉を再現できないのは……やっぱりその時点では絶対に再現できなかったということなのです?」

 

「でしょうね。けど、可能性を網羅した上で、それでも引き寄せるパターンを見つけられなかった……ということもあるわ。【モーションアシスト】が手繰り寄せる最適解は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 全ての可能性を網羅するというのならば、『意志』によって出力が変わる理屈も理解できる。

 

 絶対に行わないであろうアクションは膨大な分岐の中には登場しない。やる気がなければ、当然あっけなく失敗する分岐ばかりが増え、選び取れる可能性は減ってしまうだろう。

 

 逆に勝ちたいという思いが強ければ強いほど、本気でアクションを成功させるための様々な分岐をプレイヤー自身が発生させる。だからこそ『最適解』はより洗練され、強い効力を得る。

 

 そして今回のメグさんは命令文を達成するための分岐を見つけることができなかった。

 

 これは【マクロ】を経由しているせいもあって、本気で《ロールプレイング》を成功させようとした結果を手繰り寄せることができなかったのか。あるいはメグさんのスペックではあらゆるパターンを確認しても再現することができないのか……あるいは、再現する手順を発見できなかったのか。

 

「一見すると全知であるように思える【モーションアシスト】だけど、その最適解の源泉は自分自身の行動の分岐によって発生している。だからこそ、絶対にやろうとも思わない突拍子もない手順を必要とするテクニックは、可能であっても再現できなかったのかもしれませんね」

 

 ということは――逆に言えば、使い方のきっかけさえ教えてあげれば……。

 

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