卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「別次元の周波数が含まれる発声……どういうことですか?ボク、意識してそんなことをしようとした覚えがないんですけど……」
「【モーションアシスト】が何かをやってるとかです?」
「それ!今の【モーションアシスト】っていう単語にも同じ傾向が見られるわ。周波数は先の2つとはまた違うみたいだけど」
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>別次元の周波数とかなにそれかっこいい
>卍さんとかメグさん以外の人はどうなってんの?
>明後日の方向に話が転がってて草
>作者討伐戦はどうなったんだ
>作者にたどり着く方法が見つからないから後回しだぞ
>横道に逸れすぎィ!
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「【モーションアシスト】、〈ロールプレイング〉、《ロールプレイング》……これらの単語にそれぞれ別の周波数傾向がある……?」
意味がわからない。さっきメグさんに指摘されてようやく気づいた違和感だけど、無意識のうちに言い直していなければ、正直気づかなかったと思う。
ちなみにメグさんはまだ《『次元脳』》をアップデートしていない。なので〈
「〈
ابتسامةさんが発した2つの言葉を読み取ると、ハルカさんは再び解析データをこちらに送り込んでくる。この2つの言葉はどうやら同じ周波数の傾向を持っているらしい。さらに言えば〈ロールプレイング〉とも酷似している。もちろん別次元の周波数とやらの部分においてのみなのだけど。
この場の3人だけではやはり情報が足りない。新しいフォルダさんと『食材の魔術師』さんにも来ていただき、たった今特殊な周波数が確認された単語を発声してもらう――やはりボクらの言葉と寸分違わず同じ結果が出た。
そしてハルカさんも同じように発声し、その結果を確認すると……やはり同じだった。ハルカさんは【フォッダー】の外側にいる方なので、これでこの現象が【フォッダー】内部に限られたものではないとわかる。
「どうしましょう?地味に気になる結果が出ましたけど……横道に逸れてると言われても否定できませんが」
明らかに特異な現象が発生しているのは事実でかなり気になる問題だ。だけど今ボクたちが目指している最終目標……"作者"へと近づくという目的に沿うことができるとは限らない。
ただ、今ボクたちが重要視している『次元』というワードも関わっている。なにか重大なヒントが隠されている可能性も考えられる。
「調べてみよう。俺達も行き詰まってるわけだからな。一応こちらでも手がかりをいくつか……と言ってもいいかどうかはわからないが……とにかく見つけてきたんだ」
「手がかり……です?」
「あぁ、【フォッダー】から【A−YS】に行く方法を覚えているか?」
『食材の魔術師』さんが質問を投げかけてくる。まあ念のための確認だろう。【フォッダー】プレイヤーがその理論を忘れるわけがない。
「知ってますよ。まずID:3の【ストレージ】からID:2の【闘技場】に入り、そこから出る。すると2-2でID:0の【A−YS】に達する……でしたよね。内部データを知らない以上、数字は仮定に過ぎませんが」
「そうだ。【闘技場】から入って出ると通常の【フォッダー】のエリアである1との差分である2が差し引かれるという意味不明な理屈だが……。【A−YS】から【闘技場】へ、そこからさらに【ストレージ】に入ったらどうなると思う?」
「えっ……?」
「結果としては【闘技場】に入っているというデータを維持したまま【ストレージ】に移動できる。そこから【闘技場】の扉を呼び出せば【闘技場】から出る扉が開かれる。【A−YS】に行くための理屈は【闘技場】に入る前のIDである3と1の差分である2を差し引くことで0に達するという理屈だった。【ストレージ】に再び入ったからと言って差し引かれる値はリセットされない。つまり、通常【A−YS】から【闘技場】に入り、出た場合、1との差分である-1が差し引かれ、【フォッダー】世界に戻れるが……この場合、ID:3から-1が差し引かれ、ID:4に達する。ID:4は【グレイブウッド】だったから特殊なエリアではないがな。ここまでの実験の結果としては【グレイブウッド】は普通に訪れることができるエリアであって無意味なものだった。しかし、【グレイブウッド】から【闘技場】に入って出たらどうなる?そう、ID:4である【グレイブウッド】から1との差分である3が差し引かれ、通常の【フォッダー】マップへ行ける。ちなみに【ストレージ】を経由してもID:0である【A−YS】に行けるだけ。だからそこでさらに、【ストレージ】からの緊急脱出機能を利用した。【ストレージ】からの緊急脱出機能は【ストレージ】に閉じ込められてしまったプレイヤーが【フォッダー】に帰還するための特殊なシステムで、【ストレージ】に入っている間のみ解禁される。この機能の存在は【ストレージ】に入れるようになった時点から発見されてはいたな。これはID:3である【ストレージ】からID:1に戻れる機能、つまりID:4である【グレイブウッド】からID:2である【闘技場】へ行き、そこからID:3の【ストレージ】。そして最後に帰還機能でID:1に戻る。そこから【闘技場】の扉を開いたらどうなる?」
「ID:4と1の差分である3が差し引かれて……ID:-2に達する……」
「そうだ。あとはわかるな。ID:-2から【闘技場】に入り、そこから出ればID:1、【ストレージ】を経由すればID:6。ID:6から【闘技場】、【ストレージ】からの緊急脱出でID:-5、この要領で無限にマップIDを掘れる」
「えっと……ちょっと……いえ、かなり複雑怪奇ですけど理屈はわかりました。それ、お二人が発見したんですか?」
「いや、漆黒の翼さんに協力を願った」
「やっぱり」
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>やっぱり
>やべえ……計算が複雑怪奇すぎて何言ってるかわかんねえ……
>漆黒さんの楽しいマップID算
>何が凄いってこれを前提にどんな成果が出てくるか未知数な所
>IDさえあれば開通されてないマップだろうとどこでもいけるからな
>まーたフォッダーが別のVRMMOに繋がってしまったのか
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「その上で、何が見つかったのです?別のマップに行けるとしても、所詮……と言うには語弊があるけれど、まあゲームなのです。別次元に行けるわけじゃないのです」
「確かにそうかもしれない。いろんなゲームやマップはあったが、当然ながらあくまでVR空間の中だ。けれど――そんなVR空間1つ抜け出せないようなら、この世界から出ることもできないだろう?」