卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「お兄ちゃんさんの『ボク』、これで計画は実行できそうなんですか?」
「駄目ですね……。【
「大丈夫なのです!むしろ、まだ私たちが知らない力があるというヒントになっているのです!」
身振り手振りを交えながらお兄ちゃんさんを全力で励ますメグさん。確かにメグさんの言うとおりだ。これまで数々の無茶を押し通してきたボクたちだけど、発見されてきたテクニックには基本的に一定の理屈があった。
しかし、帝王龍さんの時間停止にはそれがない。だからこそ、ボクたちがまだ気づいていない新たな法則があるのかもしれない。そう思わせてくれただけでも、今回の集まりは無駄じゃなかった。
「こんな簡単に時間が止められたら、どんなプレイヤーだろうが仕留められちまうからな……。だからこそ隠していたんだが、こんな異常事態の時にそんなことを言ってる場合じゃなかったよな。……悪かった」
「いやいや、帝王龍さんは悪くないよー!こちらこそごめんね……」
「ちょっと!結局私はなんのために呼ばれたわけ?謝りなさいよ!」
【女神】様はさておき、時間停止の力がどんなものなのか試しに掛けてもらった。詳細を掴もうとしてみたけれど、やはり原理はわからない。1つだけわかっているのは、これは【モーションアシスト】による最適解の恩恵ですらないということだ。
時間逆行の際に記憶を引き継いできたボクたちでさえ逃れられない時間の停止。
全ての道理を無視して結果が引き起こされる……〈魔導〉にも似たようなところはあるけれど、〈魔導〉は魔力というリソースと一定の手順を必要とする。しかし、この力には手順もないしリソースの消費もない。
正真正銘の不思議な力……これまでに判明しているあらゆる法則の外側にある超常現象。あるいはアクタニアの持つ『権能』に匹敵するレベルの力、と言えるかもしれない。
ただひとつわかっているのは……この力もまた、
しかし結局、最後まで正体を掴み取ることはできなかった。"システムログ"を確認しても、タグ付けすら存在しない。今までと別種、あるいは同種のタグが付与されていればそこから推測することもできるはずなのだけど、完全にノーヒント。
ボクたち人類が理論として確立していないからタグ付けが行われていないのか?それとも、今までのテクニックとは完全に違う異質な力であることを示しているのか?
ここまでのボクたちが得てきた情報にヒントがある気がする。もうすぐ手が届きそうな気がするんだ。
それを知ってしまった瞬間、本当にすべてが終わりを迎えてしまうような――最期のテクニックが。
「卍さんだいじょうぶー? ちょっとしんぱいだよー」
ボクがあまりにも真剣に考え込んでいたせいで、心配をかけさせてしまったらしい。」さんに声を掛けられて、ふっと意識が浅層に戻ってくる。
「心配をかけてしまってごめんなさい。」さん。大丈夫ですよ。」
まだヒントが足りないのかもしれませんしね。ここは一旦考えを変えていきましょう。
「そういえばハルカさん、戻ってきていましたね。"システムウインドウ"の解析はどうなったんですか?」
"システムウインドウ"からハッキングできるかもしれない。そう言ってしばらく席を外していたハルカさん。もしかしたら手段を見つけてそれを伝えに来てくれたのかもしれない。淡い期待を込めて問いかけると、
「さすがに次元の壁をぶち破るとまではいかなかったけど、部分的なクラックに成功したわ。
そんなこともあったね、と言わんばかりの軽い調子でとんでもない成果を発表するハルカさん。全ての"システムログ"が見れる?それって、言わば
ボクとしてはかなり驚いたのだけど、ハルカさんにとってはこんなもの実績にもなりえない結果だという。
世界全ての"システムログ"が見れるようになって、片っ端から何か情報を得られないか探ったようなのだけど、得られるのは
しかし、その言葉にボクは天啓とも言うべきひらめきが脳をよぎる。
「知的存在のログデータ……!ハルカさん、とがみんのデータを探せませんか!?どこかにいるはずなんです!」
ロールバックにより肉体が消失し、この世界からいなくなってしまった存在、とがみん。彼女を救うためにボクは作者を殴り飛ばす方法を探していた。
――でも、実際にはとがみんが消えてしまうはずがないんだ。
なぜなら彼女もまた〈
三次元において活動を行うための肉体は消えてしまったかもしれないけれど、〈
「解ったわ、調べてみる!」
ハルカさんが"システムログ"を検索し始める。息を呑むボク。すぐに結果は出ないらしい。膨大なログにはデータの所持者である個体の情報が記されていないらしく、過去の発言や行動から『とがみん』という存在を特定する必要があるためなのだとか。
ボクはとがみんの経歴や過去の行動を思いつくままに話し、情報を提供する。それに合わせてハルカさんは少しずつ条件を絞っていき――。
「――見つけた。該当1件。時間の逆行後にも活動の履歴がある!」