卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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9章 Everyday これがボクらの日常的戦争!
第313話 紙屑


「大会開催ですよみなさん!ついに1000億円を求めて多くのプレイヤーが火花を散らす大会が開かれるんです!!」

 

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>紙束を求めてバトルするとかキチガイかよ

 

>いつになったら試合ルールは公表されるの?

 

>おまえら1000億円を必死に求めていた時の情熱はどこにいったんだ

 

>ガチで終わってる

 

>まさかゲーム性と全く関係ない部分で唐突に終わってしまうとは……

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 いやいや、終わってないですから!確かに、1000億円という賞金の価値は終わってしまったかもしれないですけど、全力でライバルと死闘を繰り広げた末に得られる友情という賞品が残ってますから!

 

 【フォッダー】は神ゲーたらしめていた『利益』という要素が粉微塵に消滅したことで、一気に人気を失ってしまった。とはいえユーキさんは"作者"による世界崩壊事件も解決し、金の暴力による人気獲得という後ろめたい行為からも解放されて、肩の荷が下りたところだろうか。

 

 しかしそれと引き換えに多くのプレイヤーを失ってしまったのが非常に残念だ。ボクとしては【フォッダー】は賞金なんてなくとも神ゲーだと思っているので、配信を通じてこのゲームの面白いところを伝えていき、プレイヤーが増えるように活動していきたいと思う。

 

 それはともかくとして、大会でしたね。出場権として【願いの石】を集める必要があるんですけど、ボクはいくつ持ってましたっけ?まあ、あれだけ手に入れたならもうとっくの昔に揃っているでしょう。もしかしたら余分に持ってるかもしれません。

 

 えっと、出場には【願いの石】が6つ必要みたいですね。それで現在の所持数は――。

 

 5個。

 

 もう1度数えてみた。

 

 5個。

 

 フィルター機能で【願いの石】だけを一覧から抽出して表示してみた。

 

 5個。

 

 1つ1つ取り出して数えてみることにした。

 

 5個。

 

「足りない!!??」

 

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>はいまた来年

 

>来年も1000億円の大会があるってマジ??

 

>毎年1000億円を配れ

 

>いらなすぎる……

 

>1000億円でキャンプファイアーはよ

 

>1000億円が紙切れとかもはや世紀末だろ

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 1000億円がゴミクズみたいに扱われているコメント欄を尻目に、大会の参加条件ページを開く。大丈夫ですよね、今から探せば間に合いますよね!?

 

 詳しい参加条件を見てほっとした。どうやら1ヶ月後までに集められればいいらしい。それまでに【願いの石】を集めて申請を行えばOKだ。

 

「ちゃんとみなさんも参加してくださいね?ボクも一応は参加しますから」

 

「【ダブル杯】の方がゲーム内装備がもらえる分だけ頑張りたくなっちゃうよねー♥」

 

 参加はしますけど、優勝しても何もないんですよね。もやもやの感情表現(エモート)を出して不満を顕にしていると、とがみんがばっさりと切り捨てる。

 

 残念ながら現実(リアル)の1000億より【ダブル杯】の珍しい装備のほうが価値があるというのが実情だ。1億円が1000個もあるんだから【黄金の才(ユニークスキル)】が1000個貰える可能性も?そう考えて問い合わせてみたが、いくらお金があっても1個までらしい。

 

 とりあえず優勝をすれば【黄金の才(ユニークスキル)】を1個は買えるというわけだ。とはいえ通貨の価値が暴落している昨今ではちょっと背伸びをすれば優勝せずとも【黄金の才(ユニークスキル)】くらいは購入できる。

 

 それにボクとしては【黄金の才(ユニークスキル)】にはあまり興味がないので、これもモチベーションにはなりませんね。

 

「やばい……。参加しない理由ばかりが積み重なっていく……。『小数点の果て』はどうしたんですか、ボク!?」

 

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>卍さんは大会に参加しないの?飽きちゃった。もう死んじゃおうかなー

 

>こいつ作者だろ

 

>とっとと死ね作者

 

>待て、これは自分を人質に卍さんに大会参加の動機を与えようとする高度なプレイングだ

 

>やるじゃん

 

>さす作

 

>作者のおかげで宝くじが当たりました

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「うわー"作者"さん死なないでー!大会なんて無くてももっと面白いことありますよ!」

 

「そこは大会に出ると言うべきなのでは?」

 

 ボクがたくさん配信を通じて楽しませてあげますよ!なんて宣言してしまった"作者"さんが早くも死にそうになるくらいのぐだぐだ感。

 

 とはいえ他の人もだいたいこんな調子だろう。先程も考えたように、多くの猛者が集う最高峰の戦いの舞台ならそれはそれで面白い。だけどこのような自己満足の大会に多くの猛者が集ってくれるのか?という最大の問題点が残っている。

 

「あれですね、ボクの知り合いの猛者達は参加するのか、聞いてみましょう。それからでも遅くはないです」

 

 現在位置は【ディスポサル城下町】。とりあえず最寄りの猛者のもとに向かいましょうか。

 

 ……()()を返さなくちゃいけませんしね。

 

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