卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第322話 視聴者案投稿コーナー

「それではいくつか視聴者さんのコメントから抜粋して紹介していきましょうか。まず最初に『光速で動ける椅子を作る』。まあ実現方法には議論の余地がありますが、そうなりますよね」

 

 座ったまま光速で移動できないのがジェット椅子の欠点。それならどうにかして光速で移動できるように改善すれば良いわけだ。極めてシンプルな話だけど、発想としては理想形ですよね。

 

 実現方法はさておき、今回はこういった面白そうなアイディアを取り上げていきましょう。作り方は後で考えれば良いんです。

 

「他には家の拡張案なんかも出てますね。具体的な提案ではないですけど、最近の環境では〈ホームタクティクス〉の地位がやや下降傾向にあるので、アイテムショップの店員である猫ですさんの方針とも一致してそうです」

 

 最近は量子を離れた場所に設置しておいて、そこへ〈テレポート〉したりもできるので、〈ホームタクティクス〉の優位性がやや損なわれてきているきらいがある。

 

 もちろん陣地形成としては優秀ではあるのだけど、家の上に乗って相手より高い位置から【空神の加護】を乗せてスキルを撃ち込むという戦略も、最近は基本みんな飛べるので戦術としては成立しない。さらに言えば【ホームリターン】は転移できる場所が割れている以上、それを逆手に取られる可能性すら出てきている。

 

 今までは一家に一台必須のテクニックと言われるほどだった〈ホームタクティクス〉も、現在ではやや落ち目と言ってもいい状態。キリトさんにも攻撃スキルの物質干渉力で盛大に跳ね飛ばされてしまったし、新しい使い道を作り出すのは有りよりの有りですね。

 

 他にもいくつか案は出てきたけれど、今回着目していくのはやはりこの2つだろう。椅子による光速移動と家の改善。ぜひぜひやっていきましょう。

 

 流れてきたコメントをまとめて猫ですさんに報告すると、彼女も家が使われにくくなっていることを懸念していたらしい。このお店は家の販売や家で使う家具なんかも扱っているので、家の利便性が下がっている現状は猫ですさんにとって頭が痛い状況だ。

 

 というわけで、まずは第一案。光の速さで動ける椅子の開発だ。

 

「まず椅子のメリットとしては自然回復速度が大きくなることですにゃん。この回復量は快適性なんかが高いほどに効力が上がるから、ただ動けるだけで座り心地が悪いと意味が無いですにゃん!」

 

「両立させないといけないわけですね。では、椅子の定義とはなんでしょう?」

 

 アイテムの定義……このゲームでは非常に重要な項目だ。定義を満たしていなければどんなに椅子らしく見えてもカテゴリ上、椅子ではないから自然回復の効果は得られないし、逆に奇想天外な形をしていても定義さえ満たしていればそのアイテムは椅子となる。複数の定義を満たせば複合的な性質を持ったアイテムにもなるし、生産を行ううえで定義の把握は最重要項目と言える。

 

「椅子の定義は……当たり前だけど、座れることにゃん。だからテーブルなんかも椅子として使えるんだにゃん!」

 

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>行儀悪いぞ

 

>座れるからね仕方ないね

 

>じゃあもしかして家も屋根に座れるし椅子なのか?

 

>今確認してみたけどカテゴリは付いてないね。

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「確かに家の屋根は座るには絶好のスポットではありますね。景色も良さそうですし。なぜ椅子にならないんですか?」

 

 アニメ・漫画・小説……色んな所で屋根に座るキャラクターのシーンが描写されることがあります。つまり、家は椅子なのでは?

 

 そんな当たり前の疑問を猫ですさんに問いかけてみる。

 

「一度でも座れば椅子のカテゴリが付くんだにゃん。だから最近の〈ホームタクティクス〉用の家はわざわざ家具の性質を付与しなくても普通に家を建てて座るだけでアイテムになるんだにゃん」

 

「……なるほど」

 

 さすが猫ですさん、この程度の発想に至っていないわけがありませんでしたか。しかしそれはなんというか……またゆるゆるのカテゴリ設定ですね。

 

 ただし『座る』というアクションの方の定義が少し厳しいらしく、例えば細い剣の上にどかんと腰を下ろしても面積の問題で弾かれてしまうらしい。逆に言えば超巨大な両刃斧のような表面積の大きい武器であれば一度座ることで『椅子』のカテゴリを付与できるのだけど。

 

 つまり重要なのは面積だ。極端な話だけど、面積があればトゲトゲのトラップみたいな構造をしていない限りは基本的に座れる。

 

 そうなるとアイテムの自由度は相当高くなってきますね。その条件を満たした上で光の速度で動き回れる椅子を作れればいいわけだ。

 

「灑智は呪いの効果で自由に移動できるベッドを使ってましたけど、あれはどうなんです?」

 

「【呪いのベッド】は【サイキック】の【キネシス】を使わない限りは移動に大幅な制限がかかるにゃん。常時使い続けなければいけない以上、職業(クラス)や装備スキルの自由度は狭まるのが難点だにゃん……」

 

 【呪いのベッド】は要するに呪われた装備に付随した吸引作用を利用して浮遊するテクニックだ。灑智は呪われた装備を活用する(ビルド)にしてうまいこと利用していたが、呪われた装備の本質は吸引性能ではなくデメリットにあるので、ある程度の厳選こそ可能なものの、やはりリスクがある。

 

 その上で【サイキック】のスキルである【キネシス】が必要だというのであれば、確かに限られた(ビルド)……というよりかは【呪いのベッド】を使うためだけの最適化(ビルド)を用いなければならず、制約も大きい。

 

 つまり呪い装備の性質で移動する手段は没になるということだ。

 

「座った状態で全能による飛行や光速移動はできないのかにゃん?それができるならアイテムの方に手を加える必要はないにゃんけど」

 

「試したことはありませんね。やってみましょうか」

 

 というわけで猫ですさん製のふわふわソファーに座って試してみると……できますね。空は飛べます。

 

「ただ、やはりというべきかすこし不安定ですね。基本的に〈バタフライタクティクス〉は間に存在するものが多ければ多いほど操作性が低下しますので」

 

 自分の身体を直接浮かせるのとオブジェクトを経由して自分の身体を浮かせるのでは操作性が段違いだ。できなくはないけれど、最適解を持ってしても不安定なきらいがあり、実用するには厳しそうだ。

 

 光の速度での移動も、直線ならなんとか、といった所。もちろん亜高速程度であれば息をするように操作できるけど、現環境はそういう次元ではない。

 

 うーん、どうしましょうか?

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