卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第325話 お宝採掘始めました

 くじ引きの景品は【ティッシュ】と記された紙だった。話によると、この紙を使えば自動的に景品の【ティッシュ】が出てくるらしいんだけど、わざわざ取り出す価値もないし後回し。紙を【ストレージ】にしまい込み、次なるクエストの候補を選ぶ。

 

 まあ所詮はノーコストで引けるくじ引きですからね。ログインボーナスみたいなもんです。それでぽんぽん【願いの石】が出たら世話ないですよ。

 

 まあこれからも毎日引きにくる予定ではあるけれど、かといってくじ引きで【願いの石】を入手することを前提にはできないですよね。

 

「というわけで確定で【願いの石】が手に入る残り3つからクエストをこなしていくわけですが、それぞれ難易度はどんなもんなんでしょうね?お金で【願いの石】が買えるクエストもあるみたいですが、ボクの所持金で買えるんでしょうか?」

 

 【メニュー】を開き、現在の所持金と攻略サイトに記されている必要金額を照らし合わせてみると……まあ足りませんよね。一応ボクらの【会社】にちょこっと寄り道して収益も確認してみましたけど、それでも足りなそう。こういうのはやはり生産&商売ガチ勢がひたすらお金を貯めて購入することを前提にしているのでしょう。

 

 そうなると生産して納品するクエストもボクには厳しそうだ。一応生産スキルを所持しているボクだけど、片手間でやっているような人が達成できるクエストだとは思えない。もちろんこのゲームにはスキルレベルなんて概念が存在しないので、片手間でやっていようが本職だろうが同じように生産すれば同じ結果を発揮できるし、ランダム生産ガチャも等しく同様の結果をもたらすわけなんだけど……まあ第二候補としておきましょう。

 

「というわけでボクがこれから目指すべきクエストは……【宝の地図】を頼りにお宝を探し出すというクエストです!まあどうせ攻略サイトに書かれているってことは、前任者が宝のありかを見つけているってこと。ちょろいでしょ!」

 

 次の目標をどーんと掲げつつ、慢心しているといつものようにコメント欄からツッコミが怒涛の勢いで流れてくる。

 

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>ちゃんと攻略サイト読めや!

 

>卍さんとかいうぽんこつきゅーと配信者

 

>卍さんかわいい

 

>そんな簡単に見つかれば苦労しないぞ

 

>なに?まだ場所見つかってないの?俺なんかとっくの昔に発掘したぞ

 

>場所は受注時にランダムだぞ

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「へぇ。ランダムなんですか。攻略サイトと同じ場所にあるわけじゃないんですね」

 

 それはそれで面白そうな話だ。早速そのお宝を探しに行こう!

 

 クエスト受注場所は【サッド街】。例の怪しい【邪神】を信仰している闇の深い場所で、ボクとしてはあまり行きたくないところだ。しかしスキル使用時にコストを強制的に天引きしてくる【邪神の加護】には度々お世話になっているので文句も言えない。

 

 

 移動シーンは軽く省略して、【サッド街】にやってきた。移動方法はいつもの感じなので、もはや触れる必要もないだろう。

 

 薄暗い地底洞窟の中に作られた街なわけだけど、地下にあることを除けば他の街とはあまり変わらない印象ですね。などと世間話を交えつつ、クエストの受注場所へ向かう。

 

 立ち並ぶ家々を観察しながら、NPCのゴリラさんが売ってくれたバナナをもぐもぐと頬張りつつ、洞窟の奥へ。

 

 洞窟の奥とは言ってもそれほど奥深くということはなく、10分ほど観光がてら景色を見渡しつつ、とことこと歩みを進めていき、ついにたどり着いた。

 

「この家に住んでるNPCが地図を見せてくれるんでしたね」

 

 重要な人物が住んでいる家などではないらしく、極めて普通の民家。ただし、家の前の表札には『トレジャーハンタータクトの家だ!』などとでかでかと太文字で記されており、NPCの性格がうかがえる。

 

 とにかく外観上は表札を除いて特におかしなところはないのだけど、タクトさんの家の前に妙なNPCがいた。

 

「【宝の地図】はぁいらんかのぉ〜お安くしとくぞい〜」

 

 何枚、何十枚もの紙束を抱えて、そう宣伝をしている老人。NPCでかつ【宝の地図】を持っているのだから普通に考えればタクトさんの筈だ。しかし表札から受けたイメージとは全く違う風貌と言動で、ボクとしては関係のないNPCなのだと推測する。

 

 と言ってもその関係のないNPCが【宝の地図】を売りさばいている理由はわからないんだけど。

 

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>【宝の地図】ってあんなにあんのかよ

 

>俺がクエスト受けに行った時にはいなかったなこの人

 

>一体何者なんだ……

 

>カラーコピーで【宝の地図】を量産できるってマジ??

 

>地図を増やしても宝は増えないぞ

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「すいませーん。なんでそんなに【宝の地図】を持ってるんですか?」

 

「ああ、簡単な話じゃよ。クエストを受注して即破棄してもう1回受けると地図が増えるらしいんじゃ。わしらは社長の指示に従って地図を量産・販売しておる」

 

「増えた【宝の地図】に記された場所にお宝はあるんですか?」

 

「あるぞい」

 

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>【朗報】宝の地図を増やすと宝が増える

 

>因果逆転してやがる……

 

>草

 

>そうはならんやろ

 

>なっとるやろがい定期

 

>人から受け取った地図を横流しするクソ野郎

 

>社長ってことは企業ぐるみの犯行か

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「なるほど。では、2枚くらい貰っておきましょうか。できれば見つけやすそうな地図でお願いしますね」

 

「ランダムじゃからな、いろいろあるぞい。例えばここなんかは見つけやすいと思うんじゃが」

 

「ほうほう、見せてください」

 

 おじいさんから受け取った地図。それはなんというか、写真だった。やや上空から地上を撮影した写真のようで、地図の中央に赤丸の印が付いている。印の隣にはご丁重にも『ココ!』などと補足説明が添えられており、円の部分にお宝があるということがひと目でわかりますね!

 

 つまりこの写真と同じ場所を探せばいいってことだ。写真の特徴からこの丸印の位置がどこにあるかを探り当てればいいわけだけど……。

 

 どうやら【モーションアシスト】によるサーチは封じられているようなので、正攻法で推測していくしかありませんね。検証しましょう。

 

「まず、丸印のすぐ横には家が建っていますね。どこかで見たことがある気がします。しかもつい最近見た気がします」

 

「他に地図に写っている特徴としては2人の人物が写っているところでしょうか。1人はどうやら老人のようで、もう1人は女性プレイヤー。これもやっぱり見覚えがあります」

 

「そして女性プレイヤーはなにやら写真のような紙を両手で持って見つめてますね。一体何を見ているのでしょう?……おっ、今老人がこちら――つまり上空に向けて手を振り始めましたよ?もしかしてこの地図は写真じゃなくて映像なのでしょうか?」

 

 

「うーん、全くわかりませんね。この地図の場所はどこにあるんでしょう?特にこの写真に映っている美少女が気になりますね。一体何者なんでしょうか?」

 

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>おまえじゃい!!

 

>ツッコミ待ちかな??

 

>完全に茶番で駄目だった

 

>宝の地図(庭に植わってる)

 

>これくらい自分で掘れやトレジャーハンター

 

>トレジャーハンターには残念ながら見つけられなかったんだ。仕方ないんだ

 

>トレジャーハンターを名乗るな

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テクニックその120『依頼破棄無限増殖』
このゲームに存在するクエストには分岐や詰みが存在するため、プレイヤーの任意でクエストの受注を破棄してリセットしてやり直すことができます。あるいは普通にクエストをクリアしたあともう1回クエストを受けることもできるのですけど、報酬が良いタイプのクエストは再受注に一定のクールタイムがあったり、報酬が変わってしまったりします。
それはそれとして、一部のクエストは受注時にクエストのクリアに必要なキーアイテムをNPCが提供してくれます。
そんなアイテムはクエストの受注と破棄を繰り返すことによって無限増殖を行うことができるんです。メリットは増殖するアイテム次第ですが、汎用性の高いテクニックですね。
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