卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【アイズ・ファミリア】の集団を無事に撃破して、ボク達の【ストレージ】に素材アイテムが収納される。
「やった、ドロップアイテムは【アイズ・ファミリアのぬいぐるみ】みたいですね。可愛がりましょう」
取り出してみるとふわふわでもっちもちで、触っているだけで幸せな気持ちになる。ぎゅーっと抱きしめながら先を急ぐことにした。
「おっと、そういえば自己紹介を忘れてましたね。ボクは卍荒罹崇卍と申します。あなたは?」
先程から『異形』さん、『異形』さんと呼んでいたけれど、さすがにそれはどうかと思ったので名前を聞いてみる。
実のところプレイヤーネームはわざわざ聞かずとも見ることができるのだけど、こういうのは大事だ。特にこの『異形』さんはまだまだ喋るのが苦手みたいだから、こういうこみゅにけーしょんをとって一緒に練習していきたいですね。
「……ぷにりん」
「かわいい」
連呼したい。何度でも呼んでみたくなるかわいいお名前だ。ابتسامةさんとは違い、普通に日本語のネーミングなんですね。メタリックな風貌からは相反するイメージがするけど、どうなんだろう?
……いや、どうやら違うらしい。よろしく、と握手をしてみるとすぐにわかった。この子、ぷにぷにだ。手越しに成分を軽く解析してみたところ、金属であることは間違いないようなのだけど……恐らくは液体金属の類のようだ。
人の形をしているのもデフォルトの姿ではなく、プレイヤーとして参戦するために意識的にその形を維持しているみたい。その気になれば身体の性質を自在に利用してにゅるりと攻撃を避けたりできるのかも?
左手で【アイズ・ファミリアのぬいぐるみ】を抱え、右手でぷにりんさんをぷにぷにする。失礼かと思ったけど、嫌がってはいないようで、調子に乗ってうにょーんと伸ばしてみたり、ぷにりんを可愛がりながらダンジョンを進んでいく。
ゴーレムはもちろん、【アイズ・ファミリア】も攻略手順さえ見つければ倒すのは簡単だ。次々と嵐のごとき勢いで矢を放つぷにりんをサポートしつつ、とことこと道を歩んでいるわけだけど……。
「いったいどこに行けばいいんでしょうね?」
なにせこのダンジョンはフィールドマップも見紛うほどの広さと自由度を持つエリアだ。例えばこれが迷宮であったならば、よっぽどひねくれた作りでもない限り、道に従って進んでいけばいずれはゴールに辿り着く。
けれどここは通行不可の水晶こそ散乱しているものの、基本的には上下左右どの方向にも自由に進めるので、道に迷ってしまうんですよね。
仕方ないので〈全知のアシスト〉たる【モーションアシスト】に聞いてみる。〈魔導〉の未来予知で導き出した正解のルートに従い、ボクの足が自動的にその方向へ進んでいく。
ぷにりんもボクの後ろをしずしずとついてきながらも、モンスターを発見しては即座に矢を発射して敵を仕留めてくれる。
しかし今までコミュニケーションが不足していたこともあってか、
「DEXを上げれば矢をシステム的に動かせるんですけど、全能で矢の通りやすい道筋をガイドすることでも擬似的に操作できるんですよ。現環境では止まっている敵以外に矢を当てるのは難しいですし、これは習得必須です!」
「……はい」
「【アンプルアロー】をいくつか譲ってあげますね。仲間を回復したりするのに便利ですから、ボクが大変なときは助けてくださいね?」
「……ありがとう」
「【アーチャータクト】を使うのであれば〈フェアリービット〉は便利かもしれませんよ?先程も試してみたんですけど、妖精さんがパンチのモーションをしても通常攻撃を行ったという判定になるみたいです。うちの会社で妖精さんを販売してますから、後で譲ってあげますね」
「〜♪」
「……かわいい」
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>卍さんぷにりん可愛がりすぎて草
>ابتسامةさんもぷにりんも普通にきゅーと
>こんな奴らが人類の敵として創造されたってマジ?作者センスないな
>センス無くてごめんね
>久々の後輩分だからな。先輩風を吹かせたいんだろ
>明日香さん見捨てられてかわいそう
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ボクが教えたテクニックをぎゅんぎゅん吸収して、どんどん強くなっていくぷにりんさん。見ていてすごく楽しい。コメント欄で先輩風を吹かせてる、なんて言われてるけど……否定できませんね。
そうして手取り足取り【マインドハック】も使っていろいろ教えてあげた結果……。
「【【ピアースショット】】【【ダブルショット】】」
当たり前のようにスキルの多重起動を繰り返して無数の矢を同時に連射する。こっそり遠くから様子を見ていた【アイズ・ファミリア】へ、矢が乱れ飛ぶ。急いでぴょんぴょん跳ねながら逃げようとするアイズ・ファミリアだけど、それに対してたった1つの
「――〈
ぷにりんさんがそう宣言した瞬間、矢が一瞬にして突き刺さり、アイズ・ファミリアが爆散する。一見するとボクがサポートして速度を超越したときと同じような結果に見えるけれど、過程は全く違う。
神は遍在する。遍くすべての場所に存在し、かつ世界中を探してもどこにもいない。そんな矛盾の塊のような存在を
要するに【アイズ・ファミリア】は世界のどこにでもいるので、どこに矢を撃っても距離に関係なく当たる。それだけの簡単な理屈です。