卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「や、やばいですよ!壁の向こうでサイコロが増えまくってます!」
からからころころとダイスが振られ、6が出るたびにサイコロが4つ増える。そしてさらに追加のダイスロールが発生し、ついにボク達の目の前に魔法陣が現れる。
「……はみ出した……」
おそらく壁の向こうの空間に、ダイスが存在できる余地がなくなったのだろう。12個の魔法陣が現れ、そこからサイコロが顔を出す。
「【ピアースショット】……」
即座に【ピアースショット】を発射し、既に滞空しているもう1本の矢と合わせて、計2本の矢がサイコロ達を次々と突き刺していく。
ボクも【フェアリーブレス】からの【イグニッション】【シルフストーム】で広範囲を巻き込んで一掃していくけど、次の瞬間には新たなサイコロの魔法陣が現れる。
壁の向こうにいるであろうサイコロがモンスターの供給を続けている以上、ボク達の目の前にいるサイコロをいくら撃破しても話が進まない……。壁の向こうでサイコロと戦っているであろうプレイヤーが死亡すれば連鎖は終わるはずなのだけど、サイコロの音が止む気配はない。
それならそれで向こう側の人がサイコロを始末してくれればいいのに!
「こんなところでサイコロに構っていても仕方ありません。駆け抜けますよ!」
「……うん……!」
«自動戦闘»の【マクロ】を解除し、魔法陣から現れ出るサイコロを殲滅した瞬間、ボクらは光の速度で迷宮を駆け抜ける。
迷宮はボク達の最大機動力と比較すれば遥かに規模が小さい。ほんの一瞬にも満たない僅かな時間で通路を走り抜け、角を曲がり――無数に蠢くサイコロのひしめく大部屋を目の当たりにした。
ここまで第2層にはこのような大部屋は存在せず、ただ通路が延々と続くだけだった。しかしここにはまさにサイコロ達が集うのにお誂え向きなだだっ広い空間が用意されていて……。
部屋の中央には1本の『かかし』が地面に突き刺さっている。
「ダミーのプレイヤー……!」
サイコロが敵と見做すように設定された、オブジェクト型のギミックだ。ここまで近づかなければ問題ない。サイコロを振らせなければ安全という攻略法を学習させておいて……まさかその学習パターンをひっくり返してくるとは思わなかった。
ボクがその部屋に入り、ダイス達が新たなターゲットを認識した瞬間、かかしは粒子になって消滅していく。かかしが残っていればターゲットは分散されたはずなのだけど、やはりそんな片手落ちの展開は用意していないらしい。
「悪辣ですね……流石です灑智さん!」
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>マジかよ灑智ちゃん最低だな以下略
>外します定期
>このダンジョンってゴーレム以外はひねくれたモンスターばっかりだしな
>でも俺もこのダンジョン攻略したけどこのエリア無かったな。アップデートかな?
>この手の迷路型ダンジョンってある程度ランダム性持たせて再構成できるし定期的に変わっててもおかしくない
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さて、ぷにりんさんはその部屋を見据えた瞬間に2本の【ピアースショット】……それから追加で【ピアースショット】を撃ち込み、計3本の矢を別方向に突き進ませることでサイコロ達を田楽刺しに仕留めていく。ひしめくサイコロは足の踏み場もないほどに密集している以上、貫通攻撃のいいカモだ。
……いいカモではあるのだけど、それで全てのサイコロを倒せるかどうかと言えば話は別だ。1列分のサイコロを盛大に突き刺したところで、残ったサイコロ達がスキルを発動させる。ルーレットのお時間だ。
『6』の目が出れば彼らが増殖することは既にわかっている。今倒したサイコロもこの部屋にいるサイコロの総数からすれば氷山の一角。おそらく、よほど今日の運勢が良くない限り、期待値的には撃破したダイス分すべて復活して余りあるレベルの『6』が出るはずだ。
逆に『6』しか出ないのであればサイコロさんが増えるだけなのである意味で被害はゼロなのだけど――そんなわけがない。問題は『6』以外の出目がもたらす効果にある。
相手にダメージを与えるスキルや
ボクは集中砲火を喰らうことを覚悟の上で宙に浮き、サイコロ達の密集する大部屋の中央へ飛ぶ。
「【フルバーニング】!」
宣言と同時にボクを中心にしてミサイルでも落ちてきたかのような盛大な大爆発が巻き起こり、熱風が部屋中に伝搬する。
サイコロ達は1匹残らず文字通り絶大な火力のダメージを受けてHPが全損するが、先程の例の通り、たとえとどめを刺したとしてもダイスロールは止まらない。
粒子になって全てのサイコロが消滅していくが、同時にダイスの目が確定したことでスキルが発動した。
まず、1匹残らず全滅したはずのサイコロ軍団は死に際に6の目を出したサイコロによって即座に補充され、『5』『4』『3』『2』『1』のスキルによる嵐が襲いかかる。
『5』のスキル効果は至って単純な全体
そして『4』のスキルは雷撃。サイコロ達が投射攻撃でボクを集中砲火してくる。とはいえ所詮は光の速度。ボクと同じ速度の攻撃であれば
しかしそうは問屋が降ろさない。ボクが回避しようとした瞬間、『1』の目のダイスが黒々とした輝きを放つ。その途端にボクのステータスに多大な
光の速度がデフォルトになったこのゲームだが、それでもやはりAGIという数値は戦闘において一定のウェイトを占める。無数の
思考だけは光速の域であるものの、これでは避けられ――っ!
「……【アトラクト】!」
全損を覚悟したその時……誰かがスキルの発動を宣言した。瞬間、雷撃や他の目で生み出された全ての攻撃がくるりと向きを転換し、大部屋の奥の方に集約されていく。
大部屋の奥には通路が繋がっていて、どうやらそこからやって来たプレイヤーが援護してくれたらしい。
「めりぃさん!?」
「卍さん、がんばってー!」
最強の