卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第340話 チェイン・バタフライ

 ボクはまず【サイキック】に職業(クラス)チェンジし、【キネシス】を発動させる。

 

 あの狼が吐き出しているのは鉄球……つまりアイテムに該当する可能性がある。この予想が正しければ、【サイキック】のスキルであれば……!

 

 思念波でアイテムを自由に動かせるスキル、【キネシス】。最近は全能でこんなものを使わなくても離れたアイテムを引っ張ってきたり、投げつけたりするのも簡単だけれど、それでもやはりスキルの存在価値はなくならない。

 

【キネシス】

[アクティブ][アイテム][補助]

効果:[アイテム]を[任意]に[移動]させる。

 

 ()()()()()()()()()()。物理法則に従って動く全能では相手の投げたアイテムの質量と衝撃が制御範囲を超えている場合は抑え込むことができないけれど――【キネシス】ならできる。()()()()()()()()()()()()()。これは絶対だ。

 

 狼さんが発射した鉄球1つをこの世界における絶対のルールによって干渉・支配して、他の鉄球を明後日の方向に弾き飛ばしていく。

 

 そのままくるりと軌道を旋回させて狼さんの方に投げ飛ばした。

 

 ――命中とともに【グラットンイーター】のHPゲージが減少していく。

 

 しかし【イグニッション】による大打撃によって増加してしまったHPがあまりに膨大で、この程度の攻撃はかすり傷にしかならない。元のゲージ量から考えれば致命傷とも言えるダメージをぶち込んだはずなのにもかかわらず、まだピンピンしている。

 

 鉄球は命中と同時に粉々に壊れ、再び狼は先程と同じように大口を開けて鉄球を乱射する。

 

 同じ行動パターンなら同じ手順で凌げる。しかし鉄球だけがダメージソースというわけにもいかないし、この先も鉄球だけで攻撃してくれる可能性に賭けるのは希望的観測にも程がある。

 

 それを察してまず動いたのはああああさん。左腕を高々と掲げた瞬間、狼をめがけて四方八方から雷が放たれる。〚ライトニングボルト〛……オーソドックスな攻撃の〈魔導〉だ。王道的な〈魔導〉ではあるが、齎した結果は異様の一言に尽きる。

 

 放たれた雷は空間を歪ませながら光の速度でジグザグに複雑怪奇な軌道を描く。本来の〚ライトニングボルト〛であれば一直線に進ませることも可能であり、距離だけを見れば無意味な動作だ。

 

 けれど〚ライトニングボルト〛がベクトルを変えるたび、その地点から青白い炎の弾が出現し、狼をめがけてまっすぐ突き進む。さらに雷の挙動によって歪んだ空間から光のレーザーが唐突に放出される。放たれた一条の光は絶大なる衝撃波を生じさせながら突き進み、幾多もの〚ライトニングボルト〛と炎弾と共に狼に絨毯爆撃を仕掛ける。

 

 それも1度きりではない。光のレーザーが放出され始めた頃には次なる〚ライトニングボルト〛が〘Code:Rods from God〙から起動し、絶え間ない爆撃を繰り広げる。狼は干渉力に関して優れた性能を持つようでノックバックこそしていないようだが……それでも雨のように降り注ぐ物量による暴力をその身に受けたことでゲージを下降に転じさせた。

 

 効いてる……か。ぷにりんさんの撃ち込んだ矢は回復に転化されたにもかかわらず、ああああさんの〈魔導〉や狼自身が放った鉄球ではダメージが与えられる。

 

 この2つの違いはスキルであるか否かといったところか。【キネシス】自体はスキルだけれど、それを投げて当てたことによるダメージはあくまで投擲攻撃やオブジェクトと接触したことによる地形ダメージとなる以上、スキルとしては扱われない。まだ情報は足りていないけれどスキル攻撃がまずいということはわかった。

 

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>ああああさんやべーな。ライトニングボルト経由で全能を使ってんのか

 

>で、全能経由で魔導も起動させてるわけね

 

>そんなイカれた動きできんの?

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 コメント欄でも既に察している人がいる通り、ああああさんは派手な動きこそしているもののあくまで既存のテクニックに則った動きを極めただけで特に目新しいことはしていない。

 

 指を鳴らして衝撃波を放ったりするのと同じ理屈だ。〚ライトニングボルト〛の動作を経由することで〈バタフライタクティクス〉を利用して別の〈魔導〉である〚ファイアボール〛を起動し、そこから炎の燃焼効果によって〈バタフライタクティクス〉を利用して光を一点集中させることによるレーザーを顕現させた。

 

 〈魔導〉と〈バタフライタクティクス〉……両方の攻撃手段を同時に検証することで狼に通用する攻撃パターンを確かめたかったのだろう。結果としてはどちらも通用したので継続的に爆撃を続けているようだけど、ほんの一瞬で状況を判断して行動に移れる熟練度(プレイヤースキル)はさすがとしか言いようがない。

 

 それにボクはあそこまで〈バタフライタクティクス〉を上手に操れる自信がないのだけど……。そこは〈魔導〉の使い手でもあるああああさんとの経験の差かな。

 

 その攻防の間にボクは再び鉄球を弾き返そうとして……それよりも先に彼女が動く。めりぃさんだ。

 

 めりぃさんは【ナイト】のスキルによって召喚した馬に乗りながら鉄球に向かって勢いよく直進する。

 

 さすがにめりぃさんなら耐えられるだろうけれど、安全に処理できるのにわざわざ突っ込むの!?

 

 しかし心配は杞憂だったらしい。お馬さんが勢いよく鉄球と接触すると、物質干渉力の暴力によって盛大に弾き飛ばした。弾き飛ばされた鉄球は狼にぶち当たり、粉々に砕け散る。それに合わせてボクも【キネシス】を操作し、めりぃさんが跳ね飛ばした鉄球とは別の鉄球を狼に投げ飛ばす!

 

 ぶんっと投げ返した鉄球はめりぃさんの走る直線上を通り、そのままめりぃさんに弾かれて、物質干渉力による補正が上乗せされる。

 

 狼さんが鉄球を吐き出していたそのタイミングで、めりぃさんが跳ね飛ばした鉄球が向かってきたものだからさあ大変。吐き出した瞬間、ビリヤードみたいに全てが弾き返され、狼さんは自身が放ったはずの攻撃、その全てをその身で受け止めた。

 

 3発目は来ないと思ってたのに意外ですね。HPの減少量で行動パターンが変わるタイプなんでしょうか?

 

 今のところは【キネシス】だけで完封できる鉄球を連射するだけなので、余裕が生まれた。このまま初撃で増えてしまった分のHPを削り切ってやりましょう!

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