卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第357話 幸運招来

「リーチが、出た……?みなさん!みてください!リーチになりましたよ!」

 

 【ジュエルラビット】の絵柄が2つまで揃い、リーチの演出が流れ始める。画面の中では、まるですでに大当たりでも出たかのように花火が打ち上がり、デフォルメ化された【フェイク・ゴッド】がラッパを吹き鳴らしていた。

 

 しばらく眺めているとアリンドさんと魔王が現れ、激しい戦いを繰り広げ始める。アリンドさんが剣を振るうたびに画面が大きく揺れ、リールの絵柄に【ジュエルラビット】が増えていく。

 

 逆に魔王の魔法がアリンドさんに命中すると、【ジュエルラビット】の絵柄が消え、魔王の絵柄へと変わっていく。

 

 どうやら戦いの決着をつけるのはボクの役目らしい。ボクは意を決し、アリンドさんの鋭い剣戟が魔王に命中するその瞬間を狙ってリールの停止ボタンを押す。

 

 リールは緩やかに動きを止め、絵柄は――【ジュエルラビット】の位置で停止する。

 

 『当たり』だ。

 

「やったー!当たりだよ、卍さーんー!」

 

「凄い凄いっ!お姉様!おめでとうございますっ!」

 

----

>マジで?????

 

>【朗報】スロットさん、当たりが存在していた

 

>これは幻覚だな、間違いない

 

>うおおおおおおおおおおおお!卍さん最強!卍さん最強!

 

>不正定期

 

>当たっただけで不正呼ばわりされるカジノで草

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「よかったね、荒罹崇。これはわたしのおかげかも♥」

 

「本当ですよー!とがみんは()()()幸運を呼ぶ招きうさぎさんですね!……ん?」

 

 今ボクは()()()――つまりたとえ話として『幸運を呼ぶ招きうさぎ』だと表現した。

 

 しかしそもそもの話だ。とがみんのアバターである【ジュエルラビット】は元々、幸運を呼ぶうさぎであるという触れ込みではなかっただろうか。

 

【幸運招来】

[パッシブ]

効果:[自身]の[形成]した[エリア]にいる[味方]が受ける[支援]の[効果]を[増加]させる。

 

 【ジュエルラビット】の職業スキルには幸運を呼び寄せるスキル、【幸運招来】がある。効果説明を見る限り、【カジノ】で勝てるなどという内容ではないが、もしかすると――。

 

 そこで、隣の台から声がした。

 

「おぉ!俺もリーチが出たぞ!」

「こっちの台もだ!」

 

 ボクの周囲――正確にはとがみんの周囲にある台で次々とリーチの報告が入る。それを聞いたとがみんはボクの腕からするりと飛び出し、周囲をちょこちょこと歩き回る。すると彼女の周囲の台で次々とリーチが発生していく。

 

「特定の種族またはスキルの影響範囲でないと当たりが出ない、という事ですか」

 

 プレイヤーの中には【ジュエルラビット】のアバターを持っている人が他にもいたのか、いつのまにか周囲を闊歩するうさぎさんが増えていた。挙げ句の果てにはモンスターの【ジュエルラビット】を放逐し始めるプレイヤーまで現れた。

 

 リーチが出るようになったのでボクもスロットを全力で回していくが、必ずリーチになったり当たりが出たりするわけではない。あくまで適正な排出率になっただけらしい。

 

 それでも先ほどまでの状況と比べれば希望は見えている。あとは天運に任せつつ、目押しを続けていくだけだ!

 

「よーし、あたしはあっちのディーラーさんとカード勝負してくるよー!とがみん一緒に来てー!」

 

「だめですっ!とがみんは私の妹なんですからっ!あっちのルーレットが先ですっ!」

 

「わわっ、カラダを引っ張らないでよー♥お耳もだめー♥」

 

 とがみんも嬉しそうでなによりです。

 

「よーし、この調子でコインを集めて【天国米】をゲットしますよ!」

 

 

 

 

「あ、あれ?おかしいな……。コインがいつの間にか無くなっちゃいました」

 

「卍さーん!あたしは大勝利して【天国米】を交換できたよー!」

 

「私も手に入れたコインで新しい呪われた装備を仕入れる事ができましたっ!」

 

 コインを飲まれてしまったのはボクだけだったようで、いつの間にかめりぃさんは当初の目標を達成してくれていた。灑智も景品で新しい装備を手に入れたようで、嬉しそうにどす黒い斧を自慢してくる。

 

「な、なにはともあれ、これで【カジノ】は攻略完了しましたね!」

 

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>めりぃさんから貰ったコインを全部溶かしたってマジ??

 

>マジかよ最低だな卍さんのチャンネル登録外します

 

>とがみんに愛されなかった女

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「ちゃんととがみんには愛されてますー!ちょっと運が悪かっただけですー!」

 

 憂さ晴らしにとがみんの耳をひよーんと引っ張ると、「やめてよー♥」と言いながら、されるがままに身体を預けてくれる。ほら、見てくださいよ!とアピールすると、『動物虐待だ』とか『炎上させるぞ』とか言われだしたのでやめた。

 

「そういえば【天国米】を見てませんでしたね。どういうお米なんですか?」

 

「これだよー!真っ白で綺麗なんだー!」

 

 めりぃさんに袋から取り出して見せてもらうと、確かに真っ白だ。お米の周囲にはきらきらと輝くようなエフェクトが散っている。

 

「なんだか神々しいというか、崇めたくなりますねっ」

 

「ですね。まるで宝石みたいです。逆に本当に食べられるのか心配になるくらい」

 

 いったいどんな味がするのか。【天使のオムライス】が楽しみになってきましたね!

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