卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
猫姫さんに連れられてやってきたのは【ロジング砂漠】。広大な砂漠にオアシスが点在するマップで、以前ボクが妖精さんを採取に来た場所だ。
「他にもマップ候補はあるのですが、ここが一番やりやすいと思いますわよ」
「神竜が出現する場所は複数あるってことー?」
「まあ間違っていませんが……正確には『ドラゴン系』が出現するマップならどこでもOKですわよ」
「今調べましたっ。【ロジング砂漠】には【砂もぐら】が出現するみたいですっ」
果たして『もぐら』が『ドラゴン系』に該当するかは議論の余地があるが、猫姫さんが問題ないと判断しているなら大丈夫なのだろう。
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>砂もぐら好き
>かわいいよね
>砂もぐらとかゴミだろ、ナーフしろ
>負けたんだね……
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「みなさん【砂もぐら】のイメージだけできゅーとだなんて言ってませんか? あれのことですよ」
ボクが指を差した先にいたのは立派な『ドラゴン』だった。身体の大半を砂に埋め、ひょっこりと凶悪そうな顔だけを地上に出している。砂色の体躯は保護色の役目もあるのかもしれないが、気づかず近づくようなモンスターはいないだろう。
周囲のモンスター達も【砂もぐら】には近づかず、避けるように動き回っている。
「気づかれてないと思ってそうな所とか、すっごくきゅーとじゃん♥」
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>近づかなければアクティブにならないけど、迂闊に近づくと死ぬ
>フォッダーってその辺にいるモンスターがボス級の能力を持ってる事多いよな
>餌を投げると喜んで食べてくれる所とかきゅーとだよ
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「餌ですか?試しに投げてみますねっ」
コメントを拾った灑智が【ストレージ】から真っ赤なりんごを取り出した。そして異次元の可動域による腕のフルスイングで【砂もぐら】に向かって投げつける。
勢いよく投げたわりにはりんごは比較的手前に落ち、それでもころころと転がって【砂もぐら】の顔の前までたどり着く。
すると【砂もぐら】は顔を動かしてりんごを口の中に入れ、ごくりと飲み込んだ。
「体格比で見ればかなり小さめの食べ物だと思いますけど、ちゃんと食べてくれましたね。なるほど、きゅーとかもしれません」
「そんな感じでいっぱい餌を与えるのですわ!」
猫姫さんの指示に従って、ボク達は【ストレージ】からいろんな食料アイテムを投げてみる。
そのたびに【砂もぐら】は喜んで頬張り、それが何度か続くと一瞬だけ白く発光した。
「なにか変化があったみたいですね」
「レベルアップですわ。フィールドのモンスターは食事をしたり、プレイヤーを倒したりすることで経験値が増加しますの。それを繰り返すことで、同じ見た目でも強さの違うモンスターが現れたり、あるいは【ネームド】になったりしますのよ」
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>ネームドってそういう仕組みだったんか
>基本はノンアクティブなモンスターなのにネームドはアクティブだったりする事が良くあるけど、そういう事か
>ネームドの仕様も知らなかった情弱がこんなにおるんか(裏で秘匿しながら)
>秘匿すんな、もっと教えろ
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なかなかに興味深い仕組みですね。という事はこのままレベルアップを繰り返していけば――。
「いずれは神竜になる、という事ですね!」
「その通りですわ!【砂もぐら】は近づかなければ無害だから、ドラゴン系の中でも餌を与えやすいモンスターなんですの。他にも周囲のモンスターを
「なるほどー!
そして
【砂もぐら】はやってきたモンスター達を顔の動きだけで薙ぎ払い、経験値へと変えていった。
「確かにこのマップはやりやすそうだね♥動き回るタイプのドラゴンだったらこんな事できないし」
とがみんの言う通り、ドラゴンを育てるならこのマップが最適解だろう。他のモンスターと敵対しない
そうして20分ほどかけて、ようやく【砂もぐら】が【ネームド】になった。
NAME:『不死身』の砂もぐら
「『不死身』はHPが高くて
「ダメですわ。【ネームド】ならなんでも良いという訳ではありませんの」
「えっ、つまり――【ネームド】の厳選をしなければならないって事ですか?」
「そういう事ですの!狙うはただ1つ、『神なる』だけですわよ!」