卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第359話 神竜の卵

 猫姫さんに連れられてやってきたのは【ロジング砂漠】。広大な砂漠にオアシスが点在するマップで、以前ボクが妖精さんを採取に来た場所だ。

 

「他にもマップ候補はあるのですが、ここが一番やりやすいと思いますわよ」

 

「神竜が出現する場所は複数あるってことー?」

 

「まあ間違っていませんが……正確には『ドラゴン系』が出現するマップならどこでもOKですわよ」

 

「今調べましたっ。【ロジング砂漠】には【砂もぐら】が出現するみたいですっ」

 

 果たして『もぐら』が『ドラゴン系』に該当するかは議論の余地があるが、猫姫さんが問題ないと判断しているなら大丈夫なのだろう。

 

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>砂もぐら好き

 

>かわいいよね

 

>砂もぐらとかゴミだろ、ナーフしろ

 

>負けたんだね……

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「みなさん【砂もぐら】のイメージだけできゅーとだなんて言ってませんか? あれのことですよ」

 

 ボクが指を差した先にいたのは立派な『ドラゴン』だった。身体の大半を砂に埋め、ひょっこりと凶悪そうな顔だけを地上に出している。砂色の体躯は保護色の役目もあるのかもしれないが、気づかず近づくようなモンスターはいないだろう。

 

 周囲のモンスター達も【砂もぐら】には近づかず、避けるように動き回っている。

 

「気づかれてないと思ってそうな所とか、すっごくきゅーとじゃん♥」

 

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>近づかなければアクティブにならないけど、迂闊に近づくと死ぬ

 

>フォッダーってその辺にいるモンスターがボス級の能力を持ってる事多いよな

 

>餌を投げると喜んで食べてくれる所とかきゅーとだよ

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「餌ですか?試しに投げてみますねっ」

 

 コメントを拾った灑智が【ストレージ】から真っ赤なりんごを取り出した。そして異次元の可動域による腕のフルスイングで【砂もぐら】に向かって投げつける。

 

 勢いよく投げたわりにはりんごは比較的手前に落ち、それでもころころと転がって【砂もぐら】の顔の前までたどり着く。

 

 すると【砂もぐら】は顔を動かしてりんごを口の中に入れ、ごくりと飲み込んだ。

 

「体格比で見ればかなり小さめの食べ物だと思いますけど、ちゃんと食べてくれましたね。なるほど、きゅーとかもしれません」

 

「そんな感じでいっぱい餌を与えるのですわ!」

 

 猫姫さんの指示に従って、ボク達は【ストレージ】からいろんな食料アイテムを投げてみる。

 

 そのたびに【砂もぐら】は喜んで頬張り、それが何度か続くと一瞬だけ白く発光した。

 

「なにか変化があったみたいですね」

 

「レベルアップですわ。フィールドのモンスターは食事をしたり、プレイヤーを倒したりすることで経験値が増加しますの。それを繰り返すことで、同じ見た目でも強さの違うモンスターが現れたり、あるいは【ネームド】になったりしますのよ」

 

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>ネームドってそういう仕組みだったんか

 

>基本はノンアクティブなモンスターなのにネームドはアクティブだったりする事が良くあるけど、そういう事か

 

>ネームドの仕様も知らなかった情弱がこんなにおるんか(裏で秘匿しながら)

 

>秘匿すんな、もっと教えろ

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 なかなかに興味深い仕組みですね。という事はこのままレベルアップを繰り返していけば――。

 

「いずれは神竜になる、という事ですね!」

 

「その通りですわ!【砂もぐら】は近づかなければ無害だから、ドラゴン系の中でも餌を与えやすいモンスターなんですの。他にも周囲のモンスターを後退(ノックバック)させて押し込むことでも経験値を与えられますのよ」

 

「なるほどー!後退(ノックバック)ならあたしの仕事だねー!」

 

 そして後退(ノックバック)の専門家で、物質干渉力に特化した(ビルド)であるめりぃさんは周囲のモンスターに近づくと、片っ端から【砂もぐら】の下へ弾き飛ばしていく。

 

 【砂もぐら】はやってきたモンスター達を顔の動きだけで薙ぎ払い、経験値へと変えていった。

 

「確かにこのマップはやりやすそうだね♥動き回るタイプのドラゴンだったらこんな事できないし」

 

 とがみんの言う通り、ドラゴンを育てるならこのマップが最適解だろう。他のモンスターと敵対しない受動(パッシブ)のモンスターだと食事アイテムはともかく、周囲のモンスターを経験値として与えることはできない。かといって能動(アクティブ)のモンスターなら、今度はプレイヤーを経験値にしようと襲いかかってくる。

 

 受動(パッシブ)ではないが、近づかなければ無害なタイプの能動(アクティブ)。そういうモンスターこそが人工的に【ネームド】を作り出す上で重要なのだ。

 

 そうして20分ほどかけて、ようやく【砂もぐら】が【ネームド】になった。

 

NAME:『不死身』の砂もぐら

 

「『不死身』はHPが高くて継続回復(リジェネ)効果を持ってる【ネームド】だねー。それじゃあ倒すー?」

 

「ダメですわ。【ネームド】ならなんでも良いという訳ではありませんの」

 

「えっ、つまり――【ネームド】の厳選をしなければならないって事ですか?」

 

「そういう事ですの!狙うはただ1つ、『神なる』だけですわよ!」

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