卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第363話 ガイア、終幕

 【砂もぐら】の【カタパルト】による猛攻を受け切り、【ディジーズブラスト】を撃ち込む灑智だが、やはりHPゲージに影響が出るほどのダメージは与えられていない。【ガイア】がダメージの大半を肩代わりしているからだ。

 

 そして【ガイア】についてもHPゲージに揺らぎは無い。元々15秒+αしか顕現できない召喚モンスターだし、倒されることは想定していないのだろう。

 

 しかしここで戦況は大きくボク達へ傾く。【ガイア】が時間経過によって消失したのだ。

 

 また連続で召喚されたらたまったもんじゃない。ここで削りきらなければ!

 

 遅れて前線へと到着したボクとゴブ蔵は、再び出せる最大火力を叩き込む。ボクは【オートユーザー】による回復を組み合わせた【アブソーブ】を発動させ、ゴブ蔵は【ダイダルウェイブ】を込めた弾丸を撃ち放った。

 

 赤色のエネルギーが【砂もぐら】からボクの元へと飛んでくる。その演出の終了と同時にHPは『1』まで削り取られ、そこに水玉の弾丸が命中した。『食いしばり』があったようですが、これで――!

 

 勝利を確信したその瞬間、瞬く間に【砂もぐら】のHPゲージが満タンまで跳ね上がる。回復?いや、違う。これは――。

 

「2本目のゲージだね♥」

 

「ゲージが複数あるならUIでわかりやすくプレイヤーに表記してくださいよ!!」

 

 2本目のゲージが表示されると同時に【ガイア】が魔法陣のエフェクトと共に後方へ出現し、再び防戦を強いられる。

 

 けれど今までも【カタパルト】の猛攻には耐えられていたし、大丈夫――。

 

「火力が上がってるよー!ゲージが切り替わった事で支援(バフ)が掛かってるみたい!」

 

 砲撃をその身に受けためりぃさんのHPは、一撃で全損直前に追い込まれる。【パインサラダ】の効果によって辛うじて生存したところに再びとがみんが回復を行うが、どのみち一撃ならあまり意味はない。

 

 灑智が迎撃に作戦を切り替えて槍を投げ込むが、【カタパルト】の物質干渉力は先程とは桁違い。僅かに方向を逸らすことすら叶わず一直線にこちらへ飛んでくる。

 

 何か手立てはないか。《『心眼』》で射出される砲弾を観察して――気がついた。【砂もぐら】の砲弾は先程よりも速いが、【ガイア】の砲弾は今までと同じだ。つまり、撃ち落とせる!

 

「灑智は【ガイア】の射出する【カタパルト】を狙ってください!そちらは先程までと同じのはずです!」

 

 そして嵐のように乱れ飛ぶ【カタパルト】を回避しつつ撃ち落としていく。今までと同じなら【砂もぐら】の行使する【サモン・ガイア】の効果は20秒。それを凌げば――!

 

「おまたせしましたの!面目躍如ですわよ――【夜のトロイメライ】!」

 

【夜のトロイメライ】

[アクティブ][聴覚][詠唱中][闇属性][支援][妨害:確定][魔法][演奏]

消費MP:6 詠唱時間:20s 再詠唱時間:30s

効果:

[詠唱中]:[アクティブ]の[出力]を[増加]させる。

[詠唱後]:[全て]の[支援]を[解除]する。

 

 猫姫さんの演奏魔法が周囲に響き渡る。先程は【カタパルト】の解除を狙って失敗した支援(バフ)解除の魔法だ。しかし今なら、その価値は値千金!

 

 きらきらとした光に包まれる【砂もぐら】。その後に射出された【カタパルト】は明らかに先程までより速度が遅い。これなら凌ぎ切れる。

 

 そして三度(みたび)【ガイア】が消失したその瞬間を狙って、スキルを発動させる。

 

「これで終わりですよ――【メテオ】!」

 

 宇宙からの落とし物が、【砂もぐら】を貫いた――。

 

 粒子になって消失しゆく【砂もぐら】。同時にドロップアイテムが各自の【ストレージ】に収納される。

 

「やったー!勝てたよー!」

 

「楽勝でしたねっ!」

 

「いや、控えめに言っても辛勝ですわよ……」

 

 ここまでの戦いを『楽勝』の一言で片付ける灑智に、猫姫さんが突っ込みを入れる。まあ一般モンスターにしては強敵でしたが、【女神】とかを比較対象にするなら、楽勝という言葉も間違いではない。

 

「ちゃんと【神竜の卵】もドロップしたよ♥」

 

 ボクの【ストレージ】には入っていなかったが、とがみんの方では入手できたらしい。彼女はサッカーボールくらいの大きさの巨大な卵を砂の上に置いた。

 

 きらきらとした輝きに一瞬だけ目が眩む。食材というより、宝石めいた印象を抱かせる。

 

 なんにせよ、これで目標は達成ですね。

 

「そういえば猫姫さん、あの『テレポート』って原理はなんだったんですか?」

 

 【フォッダー】で戦闘中に瞬間移動を行う方法はいくつか存在する。スキルによる【テレポート】と〈魔導〉による〚テレポート〛、それから全能による〈テレポート〉だ。

 

 ただ、スキルによる【テレポート】は再使用時間(リキャストタイム)の制限があるし、全能による〈テレポート〉はその仕組み上、アバターの速度を超えた形での転移はできない。移動先の座標にプレイヤーの量子を先行して飛ばし、位置を入れ替える手法だからだ。一方、〈魔導〉による〚テレポート〛は魔力という才能が必要なので難易度が非常に高く、連続発動は難しい。

 

 猫姫さんの『テレポート』はその中のどれにも当てはまらない。まったく新しい移動方法だった。その仕組みは一体……。

 

「簡単な話ですの。あれは【マクロ】による«テレポート»ですのよ」

 

「――そういうことですか!?じゃあ記録したのは……」

 

「【ホームリターン】を記録しましたのよ。【ホームリターン】は自分の家に転移するシステムですが、【マクロ】で記録すると()()()()で記録されますの」

 

 自分の家に転移するという動作を記録したとして、普通はその【マクロ】を行使しても【ホームリターン】と同じ効果しか発揮しないと考えるかもしれない。

 

 しかし実際に記録されたのは、家に瞬間移動したという結果ではない。その過程で生じた瞬間的な移動の()()()()()なのだ。

 

 つまり事前に【マクロ】で記録した距離と方向にしか飛べない代わりにコストを消費せずに好きなだけ『テレポート』を行える。

 

 なんて恐ろしい【マクロ】なんでしょう。これは環境が変わりますよ!




マクロその14 『テレポート』
【ホームリターン】を記録する事により、瞬間移動を行う【マクロ】です。
事前に記録した方向と距離にしか転移できませんが、コスト不要で好きなだけ連発できます、
もしかして普通の【テレポート】ってオワコンですか?
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