卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「残念ながら、【天使のオムライス】の材料は揃いそうにないですね……。【勇気の旗】が難しそうです」
「旗なしのオムライスじゃダメかなー?」
ご要望の料理を出せないのは心苦しいのだけど……。ボクの説明にめりぃさんがひと言つけ足す。うるうる涙の
「え?【勇気の旗】が手に入らないの?それって勝てなかったってこと?」
しかし、レジーナさんはまさかそのアイテムが障害になってるとは言いたげに小首をかしげる。
「猫姫さん、【勇気の旗】って入手のためにボスを倒す必要があるんですか?」
「いえ、そんなことはなかったはずですけど……」
なにやらお互いの認識に違いがあるらしい。灑智が確認のために、ボク達の知る【勇気の旗】の入手方法を説明した。
「【勇気の旗】は【権能】持ちじゃないと手に入らないんですよねっ?そう聞きましたけど……」
「うん、お父さんに聞いたんだよね?それを解決する方法は教えてくれなかったの?ケチだなぁ……」
どうやらアリンドさんがなんらかの情報を隠しているらしい。とはいえ、NPCは自分のシナリオ上の役割を超えるゲームの深い仕様を知っている筈だから、役割に応じて情報を隠すのは当たり前のことなのだけど。
「非公開情報じゃないの、それ♥」
「関係ないよ!娘が欲しがってる料理の食材なら教えなきゃでしょ!」
「ゲーム上の役割とシナリオ上の役割をごっちゃにしないでください……」
間違いなく聞いてはいけない類の情報な気がするが、ここで聞かない選択肢はない。どうせこのゲームはほとんど全てが仕様なのだ。本来なら得られない情報がNPCとの交流の中でぽろっと飛び出したとしても、それも立派な仕様だろう。
「あのね、確かに【勇気の旗】は【権能】がないと手に入らないよ。私もまだお父さんから【権能】を受け継いでないし、【勇気の旗】の取得権はない。でもね――」
「――お父さんを倒して、お父さんの【カード】を手に入れて、お父さんに【転生】したプレイヤーなら、【権能】を手に入れられるし、【勇気の旗】の所有権が得られるの」
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>草
>最低の発想で草
>暗殺依頼やめろ
>お父さんかわいそう
>マジかよアリンドさん100回ぶち転がしてくるわ
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「天才ですか……!」
天才であると同時に、自分のお父さんを倒させようとする末恐ろしい少女だ。メインシナリオで闇堕ちしただけのことはある。【魔王】の【カード】があるとは聞いたことがある気もするが、【勇者】の【カード】もあるのか……!
「アリンドさんって強かったよねー?【カード】が得られるのなら欲しい人もたくさんいそうだよねー」
「これからアリンドさんが虐殺され続けることは想像に難くないですね……」
「アリンドさんの【職業】だけでなく、【勇気の旗】も手に入るしね♥」
既に【勇気の旗】を入手している猫姫さんが2つ目も入手できるのか、とか気になる仕様はたくさんあるが、今回の本題はそこではない。問題はアリンドさんに勝てるかどうか、それだけだ。
「まあ当時の【魔王】に1人で勝てなかった程度の強さですし、囲んで殴れば余裕でしょうね」
「よーし、それならみんなでアリンドさんをボコりにいくよー!」
「おー!」
「というわけでアリンドさん、あなたを倒しに来ました……あれ?」
アリンドさんの買い取り所に向かったボク達だが、そこではすでに壮絶な戦いが繰り広げられていた。
「お姉様の配信から情報を得た人達がアリンドさんを狩りにきたんでしょうか……」
50人を超えるプレイヤー達がアリンドさんに容赦なく攻撃を浴びせている。【アクアスプリンクラー】が一帯に配置され、水弾の嵐が飛び交う。そして『全能』の力でアリンドさんの身体を縛りつけようとする複数人のプレイヤーが上空にふわふわと浮いている。
しかし『全能』の力は実際には言葉通りの効力を持たない。対するアリンドさんも、微かな身体の振動で『全能』を起動し、拘束を打ち破り、スキルによって生成した巨大な剣を横薙ぎに振るう。それだけで辺りのプレイヤーはホウキで払われる塵屑のように吹き飛ばされていった。
「ふう、これでしばらくは大丈夫だな」
「アリンドさんっ、あなたの【カード】をください!」
「また我が愛娘から刺客が送られてきやがったか」
「どうやら事情はご存知のようですね」
「まぁな。だが言っておくが、俺の【カード】はドロップ率が低いぜ?一度ならともかく、そう何度もやられる気はない。俺だって成長するからな!」
「やや後ろ向きの発言ですね……。それはともかく、この場でやり合うんですか?」
「こういう野良試合も戦いの醍醐味だろ?本業の【パインサラダ】買い取りは他の