卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【ディスポサル城下町】――プレイヤーとNPCが行き交う街中で勇者と、その命をつけ狙う不届き者との戦いが始まる。事前に
「その様子だと、
アリンドさんはそう言うや否や、剣を大きく振りかぶる。めりぃさんが【ストレージ】から盾を取り出し、迎え撃つ。
「さぁ、掛かってこ――」
振り下ろされた剣の一撃をいつも通り受け止めた。めりぃさんは――その一撃でHPを全損させられた。
「なっ……!?」
「おっと……。【パインサラダ】の保険があったようだが、残念だったな。今の俺は4回攻撃なんだ」
【レジェンドヴァリアント】
[パッシブ][スイッチ]
効果:[キャラクター]の[通常][攻撃]を[習得済み][物理][攻撃][スキル][1つ]に[変更]する。
【クワトロアタック】
[アクティブ][4回][近接][攻撃][物理]
消費MP:6 詠唱時間:0s 再詠唱時間:45s
効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。
いくら4回攻撃でも、それだけでめりぃさんを確殺できるんですか……!?しかも物質干渉力で上回った?
そしてアリンドさんは剣を振り下ろした姿勢のまま疾駆する。次の目標は――ボクだ。
「【ゲールウィンド】!」
【フェアリーストームワンド】から緑色の突風が放たれ、アリンドさんを牽制するが、所詮は威力の低い風魔法。めりぃさんに勝つほどの物質干渉力を持つアリンドさんを吹き飛ばすことはできない。
しかし【ゲールウィンド】が炸裂すると同時に【シルフストーム】の嵐が巻き起こり、アリンドさんと
これで【煈颷の刻印】の発動条件が満たされる!
【シルフストーム】
[アクティブ][6回][特殊][エリア][風属性][攻撃][魔法]
消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:15s
効果:[自身]が[発動]した[投射][魔法]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。
【煈颷の刻印】
[パッシブ][オート][スイッチ] 再詠唱時間:0s 効果時間:30s
効果:[風属性]を[受けた][場合]は[炎属性][ELM]を[増加]させる。
[炎属性]を[受けた][場合]は[風属性][ELM]を[増加]させる。
それぞれ[1回]まで[適用]され、[発動]の[度]に[効果時間]は[リセット]される。
「【フルバーニング】!」
続けざまにボクを中心とした激しい爆発が生ずる。ダメージも物質干渉力も最高峰を誇るこの魔法。これでなんとかアリンドさんを吹き飛ばし、仕切り直しができれば――。
「悪いな、対策済みだ」
「……耐性装備」
NPCが特定のプレイヤーに対してメタを張らないでください!そう叫ぶことすらできずに
ふと気がつくと、ボクは【ディスポサル城下町】の噴水前にいた。めりぃさんの姿は見当たらない。恐らく、再び戦地に向かったのだろうが……この戦力差では何度繰り返しても勝ち目がないだろう。
それでも向かわないわけにはいかない。そう考えていると、猫姫さんととがみんが転送されてくる。……現地に誰かが残っているならまだしも、これでは戻る意味もなくなりましたね。
「いや、おかしいでしょ!【魔王】と戦っていた頃のアリンドさんよりも強いんですけど!」
「イベント戦の時のほうが弱いというのは新しいですわね……。きっと【カード】を入手する難易度を上げるための調整ですわ」
「じゃあリセットしてクエスト中のアリンドさんを襲撃する?♥」
「試してみる価値はありますが、そんな逃げの姿勢で挑みたくないですね……」
このゲームは変なところで隙が多いゲームだが、そういう逃げ道だけは塞いでいる、という信頼感がある。それにどうせ世界で最初の【カード】取得を目指しているわけでもないのだ。そういう面倒な検証は他のプレイヤーに任せておこう。
そんな話をしているとめりぃさんが噴水の前に現れた。そしてその直後に灑智もやってきた。
「きっとあの攻撃は防御力貫通も入ってるねー。4回攻撃で防御力貫通って酷くないー?」
「逃げ回りながら引き撃ちを試みたのですが、駄目でした……」
ふと【ストレージ】を見ると【吸血悪鬼の機関銃】が入っているので、ゴブ蔵もやられてしまったみたいだ。
「今のところ、希望すら見えませんわね……。勝ち目がありませんわ。でも――」
「――でも、1回で諦めていちゃ駄目ですよね!しっかり対策をして再挑戦しますよ!」
1回目からいきなり勝てるなんて、このゲームではなかなかあることじゃない。【魔王】にも【女神】にも我々は敗北を喫してきた。諦めるのは100回負けてからだ。
「まだ試せることはいっぱいあるしね、【アンカー】で速度を下げちゃうとか♥」
「遠距離から〈ホームストライク〉で狙撃するのはどうかしら?」
「ゴブ蔵さんを増やして軍で攻めましょうっ!」
試合形式ならともかく――野良での戦いならなんでもありですからね。