卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【
「ありがとうございます、めりぃさん!」
「大丈夫だよー!でも、アリンドさんもとんでもないことをして来たねー」
【
[アクティブ][キャラクター][聖属性][攻撃][妨害][魔法]
消費MP:16 詠唱時間:5s 再詠唱時間:30s 効果時間:3s
効果:[自身]が[形成]する[エリア]に[存在]する[任意]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[命中時][支援]を[全て][解除]する。[麻痺][状態]にする。
【
そしてアリンドさんは【ディスポサル王国】の全域にエリアを張り巡らせている。つまり、超射程のスキルで離れたところから狙撃できるのだ。
「【モーションアシスト】でアリンドさんの位置はわかります。恐らくは【アンネサリーの街】にいますね」
「現地に向かってもまた【ホームリターン】で逃げられるかもだよね、どうしよっか♥」
恐らくゲームのキャラクターがひたすら逃げ回るだけの遅延行為を選ぶことはない……と信じたいが、このゲームはNPCの自由裁量によって難易度が変化することも少なくない。
「私に手がありますっ。相手が遠距離から攻撃してくるなら、こちらも遠距離から攻めましょう!」
そう言って灑智は【ストレージ】からアイテムを取り出す。どす黒い血を思わせる巨大な盾だ。彼女はそれを天に掲げる。
そして文字通り避雷針に呼び寄せられるかの如く、盾を目掛けて雷が落ちる。その瞬間、黒い稲妻がすさまじい勢いで天に帰っていった。
「カウンター付きの装備ー?しかも『吸引』効果付きなんだー!」
「聖属性に限定されますけどねっ。これがあればアリンドさんの遠距離狙撃は大丈夫ですっ!」
「でもそれだけじゃアリンドさんを倒せないですの。こちらから攻撃を加えなければ――」
離れた位置から攻撃する。バトルでは当たり前の選択だけど、街と街の間で攻防が成立するのは面白い話だ。
ボクはどうにかして近付いて攻撃することばかり考えていたけれど、そういうことなら手はまだある。
ボクはゆっくりと目を瞑り、《『心眼』》によって世界を視認する。そのまま【アンネサリーの街】の方角を見て、意識を集中させる。
すると
「うおっ!?」
観測の力はアリンドさんの心臓に風穴を空ける。ダメージはそこまで大きくないが、〈観察破壊〉の力でキャラクターのアバターに損傷を与えられることはこれまでの前例からわかっている。
マクロな世界を巻き込むようにして振るう通常の物理攻撃や、システムによって効果を及ぼすスキルによる攻撃とは違い、ミクロの世界にある量子そのものを撃ち落とす攻撃方法であるからだ。
「ボクに時間を与えるのは悪手ですよ、アリンドさん?通常の殴り合いで1つ1つの量子を撃ち落とすのは難しいですが、これだけの猶予があれば視聴者さんの手を捻るよりも簡単なことです」
----
>【悲報】視聴者さん、見下されてしまう
>卍さん最低ですね、チャンネル登録外します
>卍さんに手を捻られたい部
----
ボクが虚空にそう声を掛けると、数瞬を待たずしてアリンドさんが正面に現れる。どうやら極小の【ホーム】をその場に残していたようだ。不意を突く機を伺っていたのかもしれない。
「普通の敵ならこれだけで仕留められるんだが――」
出現したアリンドさんを目掛けて、とがみんと明日香さんが疾駆する。会話を挟む余地すら許さぬ速攻戦術だ。光を超える速度で迫る2人に対し、彼は剣を横薙ぎに振るう。
地を這うような剣撃を明日香さんは軽く飛び越え、とがみんは流体のように身体を凹ませて回避する。一度に2人を狙う軌跡だったが、二羽を追ってしまったが故に一羽も仕留められなかったのだろう。
本来ならAIが犯すようなミスではないが――想像以上に《SANチェック》が効いている。
懐に飛び込むように跳ねたとがみんを明日香さんが掌で突き飛ばすと、そのままアリンドさんと衝突する。
【サイキック】お得意の物質干渉力操作で生み出された運動エネルギーは、アリンドさんのHPを大きく削り取った。
後方に大きく弾かれるアリンドさんだが、【マクロ】による瞬間的な姿勢制御で踏みとどまり、その瞬間、『第六感』が大技の予兆を察知した。
「めりぃさん!」
「【ガードジャスト】!」
割り込むようにしてめりぃさんが前に躍り出たかと思うと、アリンドさんの眼光から蒼色の光が放たれる。光は光を超えた速度で突き進み、めりぃさんへと命中するが【ガードジャスト】によって無効化された。
「おいおい、予備動作無しだぞ?今のを止めるか?」
そう自嘲気味に呟くアリンドさんだが――次の行動が〈ロールプレイング〉によってボクの脳内でシミュレートされる。
「
「了解ですわっ【夜のトロイメライ】!」
演奏系の
「【アームズスイッチ】だ!」
そしてアリンドさんは【アームズスイッチ】によって装備を換装する。
――次の瞬間には白銀色に輝く炎の落とし物が、アリンドさんの全身を貫いていた。