卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第374話 ドレスドオムライス

 猫姫さんが【勇気の旗】を引き抜くと、周囲のプレイヤーさん達が近寄ってきて、彼女に旗の使い方を尋ね始める。

 

 猫姫さんは【黄金の才(ユニークスキル)】の特権で以前にも【勇気の旗】を扱ったことがありますからね。アリンドさんを討伐するべきか、どんな使い方ができるのか。その情報を収集しに来たのでしょう。

 

「【勇気の旗】は使用することでアバターに追加ステータスを付与することができますの。たとえばELMを増やしたり、HPを増やしたりできますわ。これによって仮に同じ装備と職業を付けていても【勇気の旗】の使用者とそれ以外ではステータスに差が生じますの」

 

「どの程度の上昇量なんだ?」

 

「わたくしはHPを増加させているのですけど……。だいたい20%くらいですわね」

 

「かなりの増加量だね……。参考になったよ」

 

 20%ですか。ボクにとっては誤差ですね。恐らく、【ソウルフレア】で一撃圏内であることに変わりはないでしょう。とはいえ、それはボクが過剰に火力を追求しているからであって、一般的には戦況を左右し得る上昇量ですね。

 

 プレイヤーさん達からの質問に一通り回答してから、ボク達は【ディスポサル城下町】に帰還する。そしてレジーナさんの家まで急いでやってきた。

 

「レジーナさん!材料、揃いましたよ!」

 

「本当!?さすがお姉ちゃん達だ!じゃあ早速オムライスを作って!」

 

「猫姫ちゃん、また出番だよー。美味しいオムライスを作ってねー!」

 

「え、いやいや。わたくしにはオムライスを作るほどの腕前はないですの!」

 

 めりぃさんの言葉に猫姫さんは全力で首を横に振る。いやいや、【モーションアシスト】があるんだからオムライスくらい作れるでしょ。

 

 と、ボクはそう思ったのだが、やはり猫姫さんはこれまでも簡単な料理ばかり作っていたことからもわかるように、料理に全く自信が無いらしい。

 

 ここまで自信が無いとなると、【モーションアシスト】に最適解を引き出してもらうことも難しいかもしれない。むしろ失敗する方向に誘導されてしまう可能性がありますね。

 

「せっかく料理を作るんだから、猫姫さんの【権能】の力を借りたいと思ったのですが……それならボクが作りましょうか」

 

 材料は【四ツ葉のクローバー】と【勇気の旗】、【神竜の卵】と【天国米】だ。それぞれのアイテムを取り出してまじまじと眺めてみる。確かに、仮に普通のオムライスが作れるとしても、二の足を踏んでしまうかもしれませんね。どれも最高クラスの高級食材ですから。

 

 とはいえ、【モーションアシスト】に任せておけば間違いないと確信しているボクに失敗はない。アシストに身を任せ、完璧な手際で料理を進めていく。

 

「この【勇気の旗】は、やはり最後に突き刺すんでしょうか?オムライスのサイズに比してかなり大きいような気がするんですけど」

 

「心配ありませんわ。このゲームの料理システムなら最後に調整(アジャスト)されるはずですの」

 

 自分で料理をしなくて済んで安心したのか、猫姫さんはボクの後ろから料理に口出ししてくる。明らかに経験豊富な料理プレイヤー然とした知識が飛び出してきて、思わず苦笑する。

 

「あ、お姉様っ。ドレスドオムライスにしてくださいねっ」

 

「はいはい、わかってますよ」

 

「ケチャップでハートマークも書いてね♥」

 

「美味しくなる魔法の言葉も欲しいです。萌え萌えキュン♥」

 

「ちょっと、ここはメイド喫茶じゃないんですけど!?」

 

 外野の要望に応えながら料理を進め、最後には完璧なドレスドオムライスが完成した。

 

 最後に【勇気の旗】をオムライスの中心に突き刺すと、旗はみるみる小さくなり、お子様ランチ相応のサイズに着地する。

 

 とはいえかなり大きめのオムライスだ。サッカーボールほどのサイズ感を持つ【神竜の卵】を使用したこともあり、ここにいる全員で突いても差し支えはないだろう。

 

「やったー!【天使のオムライス】だ!お姉ちゃん達、ありがとう!卍さんもありがとね!」

 

 ぴょんぴょんと跳ねながら全身で喜びを表現するレジーナさん。これだけ喜んでくれるなら、頑張った甲斐がありましたね。

 

----

>相変わらず卍さん呼びされてるの草

 

>せめて卍お姉ちゃんとか呼んでやれよ!

 

>美味しそう

 

>で、効果は?

 

>↑レジーナちゃんの笑顔だぞ

----

 

 確かに効果は気になりますね。元々見返りを求めてるわけではないですが、貴重な素材をふんだんに使いましたし。そう思って一度【ストレージ】に格納して効果を確認してみる。

 

「ふむふむ、恒久的にHPを+30%、妨害(デバフ)の抵抗率を+20%ですか。【勇気の旗】を使っているだけのことはありますね。後は――【帝神の加護】の選択数を増加……!?」

 

【帝神の加護】

[アクティブ]詠唱時間:5s 再詠唱時間:24h

[スキル][1つ]を[選択]する。

[パッシブ][パーミッション][ブレッシング]

効果:[選択]した[スキル]の[効果]を[カスタマイズ]する。 

 

 任意のスキルをカスタマイズすることができる【帝神の加護】。切り札となる必殺スキルを作ったり、逆に常用しやすい低コストのスキルを作ったりと、現段階でも利便性の高い能力だけど……。さらにもう1つ、カスタマイズできるスキルが増えるとなると、話が変わってくる。

 

「これってみんなで食べるとどうなるのかなー?ラーメンとかは食べた量で効果量も変わって、表記上の効果は100%を完食した時のものなんだけどー」

 

「恒久的に効果がある料理がただでさえ貴重ですし、わたくしもわかりませんわね……」

 

「ま、効果が無いなら無いで良いんじゃない?元から見返りを求めていた訳じゃないし♥」

 

「それもそうですね。さっそくみんなでいただくとしましょうか!」

 

 今回の件は、クエストでもなんでもないお願いから始まったのだから、見返りなんてなくて当たり前。そんなことよりも、高級食材で作ったオムライスを堪能しましょうか!

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