卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第375話 お食事会

 最初にオムライスへ手を伸ばすのはレジーナさんだ。スプーンで端を軽くすくい、口へ運ぶ。

 

「うん!すっごく美味しいよ!みんなも食べてみて!」

 

 表情を緩め、にこにこと促すレジーナさん。その様子にボクらも思わず笑みを浮かべてしまう。

 

「じゃあ次はあたしねー!」

 

 次にオムライスを食べたのはめりぃさん。大きく抉るようにスプーンを入れ、山盛りの米を頬張る。その様子を見ながらボクもオムライスを口に入れた。

 

「うーまーいーぞー!!」

 

「良い感じですね!半熟の卵がお米としっかり調和しています!卵にはほのかな甘みがあるのですが、チキンライスと合わさって理想の甘じょっぱさになっていますね!」

 

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>美味しそう

 

>マジかよアリンドさんぶち殺してくる

 

>神竜の卵ってどのネームドから落としても同じ味なんかな?ちょっと気になる

 

>炎系のネームドなら辛いとか、このゲームならありそう

 

>高評価入れました

 

>チャンネル登録しました

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「さすがお姉様っ!これだけの料理が作れるなら、今日の晩御飯もお姉様にお願いしますねっ!」

 

「えー?灑智の作るご飯、いっつも楽しみにしてるんですけどー?」

 

 他の面々もオムライスの出来に満足してくれたようだ。【モーションアシスト】だから当たり前とはいえ、貴重な食材を無事に扱えて内心ほっと一息つく。確かに猫姫さんが料理を拒否した気持ちもわかる気がしますね。

 

「もぐもぐ♥」

 

 とがみんはうさぎの姿なので、オムライスを切り分けて別の皿に移してあげた。本当は人間のアバターも使えるはずなのだけど、意地でもうさぎのままでいるつもりらしい。きゅーとだからいいけどね。

 

「口の中で卵が蕩けますわね♥」

 

 明日香さんはそんなとがみんを片手で撫でながら、ゆったりとしたペースで食事を続けている。仲良さそうでなによりです。ちょっと妬けちゃいますね。

 

 そうしてみんなでオムライスをつつきながら楽しい時間を過ごし、最後にはお子様ランチの旗と皿だけが残った。

 

「再利用は……できませんわね。あくまで【天使のオムライス】に付随する旗という扱いのようですわ。〈毒を食らわば皿まで〉の理論に則ればこの旗と皿も食べたほうが良いかもしれませんの」

 

「でも楽しい食事の最後に旗とお皿を食べるのはちょっとねー。レジーナちゃん、食べる?」

 

「うーん、私はいいかなー。食事効果もあるし、お姉ちゃん達で食べてよ」

 

 そうしてお皿と旗の押しつけ合いが始まり、最終的にボクが食べることになった。

 

「こうなるなら、お皿はクッキーとかで作っておけばよかったですね。もぐもぐ……んん?」

 

 恐る恐るお皿を囓ると、それはクッキーのようにぽろりと崩れた。まさにクッキーのような甘い味わいが口いっぱいに広がる。

 

「このお皿、美味しいです!なんででしょう?普通のお皿のはずなんですけど……」

 

「きっと高級食材を載せたからですよっ!」

 

 上に乗った食材だけでそう簡単にお皿の味は変わらないと思うんですけど……実際に美味しいので、否定できる材料はない。結局、興味を持ったみんなでお皿を崩して食べることになった。

 

「食後のおやつも完備してるなんて、完璧だね♥」

 

「この分だと、旗も美味しいんじゃないー?」

 

 試しに旗をちぎって食べてみると、チョコレートのような味わいが広がる。食後に食べるなら理想のデザートだが、オムライスに刺さっていた事を考えるとなんだか面白い。

 

 そうしてあっという間に旗とお皿を食べ尽くして、最後には何も残らなかった。

 

 ふと思い出して、【帝神の加護】のスキルを確認してみると、カスタマイズ可能なスキルの数も増えている。他のみんなにも確認したが、食べた量の違いに関わらず同じ変化が起きているようだ。米を一粒食べただけでも恩恵を得られるのか、といった気になる点はあるけれど、それは後に続く人達が検証してくれるだろう。

 

「はっはっはー!どうやら食事は終わったようだな!俺の分は残してくれて無いのか?」

 

「だってお父さんってば、お姉ちゃん達と本気で戦ったんでしょ?わざと負けてくれれば良かったのに」

 

「そりゃ本気で戦うに決まってるだろ。【勇者】を暗殺するなんて重罪だぞ?」

 

 食事を終えたタイミングを見計らっていたのか、アリンドさんが帰ってくるなり嫌味を飛ばす。どうやら戦闘中らしく、後から入ってきたプレイヤーが背後から彼を殴り飛ばした。

 

「落ち着いていられなくなっちゃいましたね。解散にしますか?」

 

 嵐のように乱れ飛ぶ魔法の弾丸を躱しながら、みんなに問いかける。少なくともこの家はこれから戦場になりそうだ。

 

「そうだねー。目標も無事に達成できたし、お開きにしよー!」

 

「ちょっとお兄ちゃん達!この家で戦っちゃダメだよ!」

 

 レジーナさんは戦いを止めに、剣を【ストレージ】から取り出して駆け出す。会の主役も抜けちゃったので、是非も無いですね。

 

「それでは急ですが、今日の配信はこれで終わりにしたいと思います!みなさんもアリンドさんを倒してみてくださいね!その際はレジーナさんにご迷惑をお掛けしないように!」

 

 そんな注意喚起をしている間にも、アリンドさんに挑んでいたプレイヤー達はレジーナさんの圧倒的な戦闘力の前に全損していた。もしかして、レジーナさんの方が現役の【勇者】よりも強い……?

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