卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
【フォッダー】についてSNSで情報を確認すると、やはりサーバーがダウンしているらしい。ゲームから落とされたプレイヤー達の阿鼻叫喚の声が響き渡る。
アネモ@unfair9999
これでログインしなくて済むな
ついにフォッダーから開放されたぜー!!
【祝】あるかでぃあ【福】@tanaka_yamato_015
【朗報】フォッダーサーピス終了
てとりみの@a_y_s_s_y_a
フォッダーのプレイヤーは今すぐOA-YSに集まろう!!!れ!!
終わる世界の滅びの音色@End99999999999
話は聞かせてもらった!人類は滅亡する!!!#フォッダー
もうむりつらたん@kawaii_777_666
フ ォ ッ ダ ー 終 わ っ た な
フォッダーの神@canon_fodder_tensai
競馬で5000兆円すったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「……うん、阿鼻叫喚ですね!」
【フォッダー】なんて誰も興味がない。そう言わんばかりのタイムラインを眺めながら、ボクはそう結論づけた。実際には純粋に心配する書き込みもあるのだが、クソ運営なら鯖落ちくらい普通だろうと楽観視する声が大きい。
ボクとしては、
「【フォッダー】は"作者"に対抗するために用意された国際的なプロジェクトの筈ですからね。そんな軟なサービス運営はしていない筈……」
「でも、お姉様。それが目的だとしたら……今はもうそんなに真面目にサービス運営をする必要が無いんじゃないですか?」
「……確かに」
「【フォッダー】による人類の進化も、今じゃ必須ってわけじゃないしねー♥」
〈
とはいえ、ボクは【フォッダー】をまだまだ辞める気はない。むしろ、ここからが始まりなんだ。『異形』との交流や『AI』との闘いなど、【フォッダー】では様々な出来事が起こっていたが、ゲーマーとしての本題はあくまで1つ。
――公式大会の優勝、ただそれだけだ。
まあ……このままサーバーが復活しないなんてことは心配していない。せいぜい長くて3日。止まるのはそのくらいだろう。いくら公的な目的を果たしたからと言って、ユーキさんがゲームの運営を放り投げる筈が無いからね。
ボクはユーキさんのアドレスに『早く復活してください。あと詫び石ください』とメールを送って、のんびり復旧を待つことにした。
「さて、今日で1週間なんですけど……サーバーは……」
「治ってないね♥」
「早く復旧してください!」
ユーキさん目掛けて全自動メールボムプログラムを発射し続けながら、ボクは叫ぶ。「そんな嫌がらせしてるから復旧が遅れてるんじゃないのー♥」ととがみんは言うが、こういうのは理屈じゃない。
既に何度か対策されてメールを送信できなくなったが、そのたびにプログラムを改良し、今では全世界のサーバーを踏み台にして、あらゆる催促メールを連打できるよう最適化している。
「せっかく卍さんと試合の練習ができるかと思った矢先に……出鼻をくじかれたのです」
メグさんがソファーに寝転がったまま言葉をこぼす。あんまり長く続くようなら、大会の日取りも延期してもらいたいですね。
復旧した【フォッダー】の公式サイトには『サーバー障害のお知らせ』というテキストが掲載されており、復旧予定日には『今年度中』と記載されている。そんなにヤバい障害なんですか……?
「相変わらず、ユーキさんからの返信も来ないですしねー。この状況を認識していることは確かみたいですけど」
「噂によると、スパゲッティコードのせいで、自分もコードが理解できなくて苦戦しているらしいですよっ」
あくまで噂話ではあるが、いかにもありそうな話だ。読みづらいコードを書いた本人なら読み解ける、なんて保証はどこにもない。当然ながら他のプログラマーに読み解ける代物でもないので、その場合は孤軍奮闘していることだろう。
「仕方ありませんね。メグさん、今日も適当な別のゲームで暇つぶしでもしましょうか」
「……そういえば、【A-YS】はどうなのです?」
「あれって同じサーバーで運営されてるゲームですよね?あっちも落ちてるのでは……」
そう言いながら検索してみたところ、驚くべきことに平常運転中らしい。【フォッダー】の世界には行けないものの、一部のプレイヤーが避難先として選んでおり、比較的盛況なのだとか。
「さすがに【フォッダー】のアカウントでログインはできないみたいですけど、操作感も似ていますしね。試しにログインしてみましょうか」
というわけで、今日は【A-YS】にログインしてみることになった。
ちなみに今の【A-YS】は【OA-YS】という名前に改題されているらしい。ダンジョンを攻略していくことでゲームが発展し、名前も変化していくんですって。面白いですよね。