卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

394 / 542
第385話 再攻略2

 爆炎の全能によって階層全体に炎が広がり、ただの一撃であらゆるモンスターを吹き飛ばす。流石に全損させることは叶わなかったが、周囲を取り囲むモンスター達との距離は大きく開けられた。

 

 それと同時にメグさんが斧を振るうと、斬撃が中空を駆け抜けてモンスターのHPを全損させていく。

 

「『それは斬撃を飛ばす』のエンチャント……なかなかの使い勝手なのです!」

 

「全能よりは物理攻撃の方がダメージ効率が良いですからね。この調子で薙ぎ払ってください!」

 

 遠距離攻撃を持たないモンスターはボクが爆炎で弾き飛ばすだけで封殺できる。メグさんは射撃を行うモンスターを優先して仕留めていく。

 

 軍勢の中には巨大な体躯を持つ【ダイゴブリン】も混じっているが、それすらも力技で強引に弾き飛ばしていく。

 

 あっという間にモンスターの群れを片付けて、しばしの静寂が訪れた。

 

「第二陣がすぐに来ますよ。油断しないでくださいね」

 

「骸骨のモンスターが強力だったことは覚えているのです」

 

 そうメグさんが呟くのと同時に、部屋の中央に魔法陣が現れる。そして陣の上には多数のアンデッドが姿を現した。

 

 しかしそんな有象無象はもはや相手にする必要性すら感じない。優先的に仕留めるべきは軍勢の後方に隠れ潜む、黒いローブを身に纏ったアンデッド――!

 

 ボクがその存在を認識した瞬間、全てを終わらせた。一瞬にして身体をズタズタに引き裂かれ、全損していくかつての強敵、黒いローブのアンデッド。認識の力で相手を破壊する、〈観察破壊〉の力だ。

 

「流石なのです!それじゃあ私は――」

 

 メグさんは掌を前に突き出し、光を集約してレーザーを撃ち放つ。【マクロ】の恩恵こそ無いが、光を利用する全能はシンプルかつ強力だ。横に薙ぎ払うだけでモンスター達が次々と破壊されていく。

 

 恐らくはアンデッド系のモンスターが多いことも、レーザー攻撃が有効な理由になっているのだろう。どうやら光を弱点としているらしく、ゾンビやスケルトンは一瞬にして消滅していく。

 

 最後には十数体のゴーレムだけが残ったが、彼らは移動速度が低い。近づかれる前に飛ぶ斬撃で、余裕を持って仕留めきった。

 

 直後、地面に魔法陣が現れる。やがて陣の上に現れたのは、緑色の巨大なスライムと、空を飛ぶ2枚の円盤だった。

 

「今度は接近戦を披露しましょうか!」

 

 ボクは飛翔する円盤――【空飛ぶスパゲッティ・モンスター】をめがけて跳躍すると、炎を纏った剣を振るう。

 

 相手はスパゲッティの触手でボクを絡めとろうとしてくるが、その触手は炎の熱量に耐えきれず近づく前に燃え落ちてしまった。そして【空飛ぶスパゲッティ・モンスター】に剣の切っ先が触れると、全身を激しく発火させながら部屋の端まで吹き飛んでいく。

 

「回り込んでも無駄ですよ」

 

 返す刀で振り返りざまに後方へ剣を振るうと、2枚目の【空飛ぶスパゲッティ・モンスター】に命中し、同じように炎上しながら部屋の壁まで叩きつけられた。

 

 その間もメグさんはスライムを相手取っていた。ふれただけで即死級の猛毒を持つ敵に接近戦を挑み、斧の手数で圧倒し続けている。

 

 一方でボクを狙うのを諦めたのか、メグさんの下へと迫る【空飛ぶスパゲッティ・モンスター】だが……スライムへの攻撃の余波のように飛び交う『飛ぶ斬撃』に撃ち落とされ、あっけなく沈んでいった。恐らくは狙っていたでしょうね。

 

 最終的に二人掛かりでスライムを押さえ込み、第三陣は終了。

 

 次が最後だ。部屋の中央に一際大きな魔法陣が浮かび上がったかと思うと、極彩色の翼を持つ天使が姿を現す。

 

 その姿を視界に収めただけで対象を即死させてくる、恐るべきモンスターだけど……《『心眼』》を持つ今のプレイヤーにとっては脅威たり得ない。

 

 ボクをめがけて無音で飛翔する、極彩色の天使。視界で観測することもできず、聴覚で認識することもできない。かつては強敵でしたね。

 

 首を刈り取らんと迫りくる天使に対して、ボクは光速で剣を振るう。ただそれだけで、一撃の下に彼女を斬り伏せた。

 

「これにてミッション完了!五十層を突破です!」

 

----

>なんか楽勝だったな

 

>楽勝というか、なんかモンスターが脆くないか?前はみんなで袋叩きにしても倒せないくらいの耐久だったよな

----

 

「確かにやけに圧勝できましたね。もしかすると、挑戦人数に応じてステータスに支援(バフ)が掛かるのかもしれません」

 

「確かにそうかもなのです。当時の天使を倒した時に必要なダメージ量を考えたら、一撃で倒せるような火力があれば、あらゆるプレイヤーを一撃で倒せる筈なのです」

 

 かつて【レギオン】で挑んだ難関のステージを、たった二人で超えた。そう自慢しようと思ったのですが……思ったほどの偉業ではないのかもしれませんね。

 

「だとしても大規模な人数で挑むことで得られるメリットは大きかったですしね。単純な比較はできませんが、当時より強くなったことは実感できるのです!!」

 

----

>すまん、全能って強くね?

 

>スキルいらない定期

 

>炎の剣の火力がやけに高いのも、全能で温度をコントロールしてるんかな

 

>すまん、まだスキル使ってる奴おるる

----

 

「いやいや、スキルがあればもっと楽勝でしたよ!くそっ、まだ【フォッダー】は落ちてるんですか?窮屈で仕方ないですよ!」

 

 怒りの感情表現(エモート)を使用して遺憾の意を表明するボクをメグさんが優しく宥める。

 

「まあまあ。私も【マクロ】無しで戦うのは久しぶりなのです。たまにはこういうのも良いんじゃないです?」

 

「とは言ってもねえ。ゲーマーってのは、ログインの周期が絶たれるとゲームに飽きちゃうものなんですよ。早く復旧してくれないと、大会が盛り上がらなくなってしまいます」

 

 既に【フォッダー】の大会は開催時期もあまり周知されておらず、注目度が低いという事実はあるが。

 

「じゃあ、ユーキさんに直接会いに行ってみるです?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。