卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「すいません。異世界からの侵略者を処理してて、あまり手が離せなそうです!ごめんなさいっ」
「えっと……ゲームの話ですか?それとも実際にそういう存在が?」
「
その言葉と共に、一方的に通話を切られてしまった。
「……ユーキさん、異世界ってあるんですか?」
「異世界は間違いなくありますよ。我々がかつて暮らしていた電脳世界の存在も、順次引っ越し作業を進めているところです。……世界間を跨ぐ程の技術力を持つ世界は1つしか知りませんけどね。関係も友好的ですし」
「それは私が作ったコンピュータの中の世界の話だよね?みんなはその世界から私が暮らしている世界に《『
「他にいるという事か、原住民が」
この世界は退屈という病の果てに"作者"さんを除いて全てが滅んでしまった。けれど異世界を見れば、他にも生命体が存在しているという事なのだろう。
「基本的には私達の世界に劣る技術力しか無かった筈だけどね。異世界に面白いものがあったら、みんな退屈しないでしょ。」
「目的はなんなのです?灑智さんに聞ければ早いのですけど……」
「いつもの灑智なら説明くらいしてくれる筈ですからね。よっぽど忙しいんでしょう。その侵略者を視認できれば、〈ロールプレイング〉で読み取れるかもしれませんが……」
「なるほど。でしたら灑智さんの現在座標へカメラを回しましょうか」
そう言うとユーキさんは掌を正面に向け、
「居たな、この座標は――台湾か」
画面の右上に表示された座標から、ゆうたさんが現在位置を割り出す。
高層ビルの建ち並ぶ都市の路地裏で、灑智と『敵対者』が対峙していた。
「……カメラに映っていませんね。僅かに空間が歪んでいるように見えますが」
「《『第六感』》で何となくわかるのです。これは――私達よりも上位の次元に到達した生命体!」
その『敵対者』は、この次元の存在では無かった。ボク達がいる次元には肉体が無い。より上位の次元から干渉している。
視認はできなかったけれど、ボクの〈ロールプレイング〉は『敵対者』の思考を導き出す。
「これは単純な理屈ですね。ゲームの世界から上位の次元に上がってきた我々を危険視しています。【フォッダー】へ攻撃してきたのも彼らです。あのゲームは《『
「なるほど、対話は出来そうですか?」
「灑智と敵対している存在は厳密には機械のようなものですね。その製作者であれば対話はできるでしょうが……機械自身に対話能力はありません」
「機械から製作者の思考を再現したのか……」
画面の中で、僅かな揺らぎ――機械が動く。刹那にも満たない速度で灑智へと突進する。しかし、灑智に触れるか否かのその瞬間、機械は大きく弾き飛ばされる。
「あれは〚エデン〛ですね。上位次元に対しても有効なのでしょう」
弾き飛ばされた機械に対して、灑智は掌を向けて魔力弾を連射する。周囲の地形に影響を与えないように圧縮して放たれたその一撃は、機械の身体を貫通――否、すり抜けた。
「お互いに攻め手が無いようだな」
「ですね。灑智は〚エデン〛を使っている限りは負けないけれど、機械に通じる攻撃手段が無い。機械側も本気で灑智を倒そうとはしていない。この世界の最高戦力を足止めしているのでしょう」
灑智は膨大な魔力を持っているが、意外と普通の人間だ。徹夜した後はすやすやときゅーとに眠っているし、ごはんもたくさん食べる。このまま千日手が続けば、活動時間に長ける機械が勝ってしまう。
「きっと《『
メグさんの提案にユーキさんが首を振る。
「【モーションアシスト】は【フォッダー】が攻撃されている限りは動かせません……。それに他のゲームのアシストでは次元の上昇には足りないでしょう」
「万事休す、という事か……」
「全能だって、今は【モーションアシスト】無しで使えるんです。なんとか補助無しで《『
低次元に位置したまま上位次元の存在を打倒するか、【フォッダー】へのハッキングを防いで【モーションアシスト】を使用する。
選ばなければならないのは3つの選択肢。ただ、そのどれを選ぶべきかがわからない。
今のところ、手立てが無い。
それに灑智と戦っているのは尖兵として送り込まれた、ただの機械だ。あれが何十、何百と送り込まれたら。さらに高い性能の機械が送り込まれたら――どうやって対応する?