卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第405話 装備持ち込み

 さも当然のように装備を整えたところで、次元が捻じ曲がるような圧力がのしかかる。しかしダメージはない。〈魔導〉に対する耐性だけを追求したコーディネイトだからだ。

 

「今ので無対策のプレイヤーは脱落したはずですが……終わらないみたいですね。ボクと同じように対策をしていたプレイヤーが100人以上いるのでしょう」

 

 今回のテクニックである〈装備持ち込み〉はかなり単純な仕組みですからね。同じように気づいた上で秘匿している人も少なくないはずだし、他の方法で《『魔眼』》の力を切り抜けている人もいるかも。

 

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>で、どうやって装備を持ち込んだの?

 

>サバイバルの仕組みそのものに喧嘩を売ってて草

 

>ゲームの開発者に謝れ!!

 

>むしろゲームの開発者が謝罪しろ定期

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「解説が必要でしたね。通常は【サバイバル】が始まると装備を没収されて、【ストレージ】の中も一時的に空っぽになりますよね?実は――【アイテムマスター】のスキルである【パーティストレージ】は没収の対象外なんですよ」

 

 なんで今まで気づかなかったのかと思うくらい単純な理屈だ。しかし意外な落とし穴として、【パーティストレージ】は【パーティ】を結成していなければ有効化されない。

 

 【サバイバル】は基本的に自分以外すべてが敵なので、試合開始と同時に既存の【パーティ】は解体される。その後、改めて【パーティ】を結成し直さなければならないのだ。このとき、結成した【パーティ】に所属するのは自分だけでいいので、気づいてしまえばハードルは低い。

 

「さて、これで対策は完璧ですし……次は落としに行きますか!【イグニッション】!」

 

 これだけ広範囲に《『魔眼』》の力を解き放っているのだから、震源地はすぐにわかる。ゼプテンさんは【ノーグッド】にいるらしい。

 

 【ディスポサル城下町】から【ノーグッド】まではそこそこ距離があるが、ワールドマップ全域を網羅できる«テレポート»の範囲内だ。刹那にも満たない時間でゼプテンさんの背後に転移し、【ソウルフレア】を叩き込む。

 

「なっ――」

 

 炎属性のELMを強化していない状態とはいえ、HPを大きく支払い、接近戦まで強いられる【ソウルフレア】は、その対価として圧倒的な火力を誇っている。強化魔法である【イグニッション】を複合させればまともな耐性装備もない通常の【サバイバル】参加者程度なら一撃だ。

 

 《『魔眼』》頼りで受動(パッシブ)スキルも揃えていないプレイヤーなら、言うまでもない。ほぼすべての参加者を葬り去った圧倒的最強プレイヤー、ゼプテンさんは呆気なく脱落した。

 

 撃破報酬として得られた【エリクサー】を【オートユーザー】で即座に起動し、HPを回復して周囲を警戒する。遅れてボクの隣にメグさんが転移してきた。

 

「おや、メグさん。同じ組でしたか。奇遇ですね」

 

「当然なのです!卍さんと私は運命の糸で結ばれてるのです!」

 

 ここまで場を荒らしてきた次元の圧力も消えたので、ボクはいつもの炎属性強化装備に切り替える。

 

「やっぱりボクと言えばこのビキニですよねー。さっきまでの装備は全くきゅーとじゃ無かったですし、最近は肌を露出させていないと、なんだかそわそわしちゃいます」

 

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>完全に痴女で草

 

>親の顔より見た卍さんが帰ってきた

 

>卍さんがビキニじゃなかったせいで体調を崩した

 

>ゼプテンを仕留めるまであっという間だったな

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「さて、メグさん。準備はOKですか?」

 

「バッチリなのです!」

 

 メグさんの返事を聞いて、ボクは【パーティストレージ】から【ホーム】を引き抜く。すると、地面を押し上げるように二階建ての家が出現した。

 

 白いペンキで塗られた壁には大量の〚ライトニングボルト〛射出装置が取り付けられており、近づいたプレイヤーには一斉に弾幕が放たれる。

 

「〚ライトニングボルト〛如きなら楽勝と甘く見るプレイヤーさんもいるかもしれませんが、この家の秘密はそれだけじゃないですよ?」

 

「そうなのです!私が夜なべして作った対空機雷が張り巡らされているのです!」

 

 この前プレイしていた【OA-YS】からのお土産、完全不可視の(トラップ)だ。ダンジョンの床に埋まっていた(トラップ)を回収し、家の周囲に散らしている。五十一層のものを持ってきたので、発動すれば大ダメージは必至、下手をすればそれだけでも全損しかねない。

 

 しかも【ホーム】は『不壊』だ。つまり家と連結している(トラップ)もまた『不壊』。一度発動しても故障せず、接触しているだけで起動し続ける最悪の布陣。

 

「これを突破できるプレイヤーは掛かってきなさいなのです!」

 

 そう宣言して、メグさんは仁王立ちでプレイヤーさんがやってくるのを待ち続ける。ボクも真似して仁王立ちになる。そうして三十分くらい待ったころ、システムメッセージが表示された。

 

【一回戦通過:卍荒罹崇卍】

 

 その表示とともに景色が切り替わり、通常のマップへ戻ってくる。

 

「……結局誰も攻めてきませんでしたね」

 

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>当たり前だろ

 

>卍さん達を倒さなくても他のプレイヤーを倒してれば試合が終わるからね仕方ないね

 

>こんなに自信満々の奴に挑む訳無いだろ馬鹿か

 

>卍さんとメグさんおめ

 

>せっかくの本戦なのに盛り上がってなくて草

 

>まあ一回戦なんて予選みたいなもんだからな

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テクニックその126『装備持ち込み』
通常はアイテムを持ち込むことができない特殊な試合形式、それが【サバイバル】です。しかしそんな戦いの場にアイテムを持ち込む方法がこのテクニックです。仕組みは簡単、【パーティストレージ】にアイテムを入れておくだけ。【サバイバル】の開始と同時に【パーティ】は解体されてしまいますが、再結成する事で普通にアイテムを取り出せます。……ゲームのコンセプトが根本から揺らいでいますね。

テクニックその127『不壊罠』
(トラップ)は基本的に使い捨て、地雷だったら爆発した後に二回目の爆発は出来ませんよね。しかし【ホーム】と連結して『不壊』にしておけば、何度だって爆発できるのです!
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