卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第420話 マイクロダム

 この場に残ったのはもう一人の【メイジ】/【アサシン】。メグさんが続けざまに«ソーラーレイ»を撃ち込むが、相手は«テレポート»で回避し、大きく横に移動した。

 

 性懲りもなく【アクアスプリンクラー】を設置し続ける隙に【〈パウダーホーム〉】を周囲に散布する。

 

 砲台から大量の水弾が射出されるが、今度は逸らすまでもない。【〈パウダーホーム〉】を散布した領域に触れた水弾は瞬く間に相殺されていく。

 

「くそっ……!」

 

「これこそが〈パウダーキネシス〉を利用した新戦術、〈マイクロダム〉です!」

 

 いわば〈流水誘導〉の対となる戦術といったところだろう。通りやすい道筋を作り出す〈流水誘導〉に対し、〈マイクロダム〉はその逆だ。通りにくい道筋を作り出し、投射攻撃を急激に減衰・霧散させる。

 

 通常なら〈流水誘導〉を阻害する方向に全能を発動させても、その流れを完全にせき止めることはできない。お互いの空間に対する支配権は互角だからだ。

 

 しかし【キネシス】によって制御された【〈パウダーホーム〉】であれば、先に制御している側が一方的に支配権を持つ。妨害されることなく好きに水路を形成できるのであれば、投射による攻撃など通用するはずがない。

 

「それなら!」

 

 【アクアスプリンクラー】が無効化されたことを受け、敵は長尺の詠唱を始めた。予想するに【サモン・フィーニクス】や【サモン・ガイア】と同等レベルの召喚魔法――【サモン・ナイアース】を起動するつもりだ。

 

【サモン・ナイアース】

[アクティブ][自身][エリア][召喚][魔法]

消費MP:28 詠唱時間:1m 再詠唱時間:10m 効果時間:15s

効果:一定時間、[ナイアース]を[召喚]する。

[ナイアース]は[自身]を[起点]として形成した[エリア]内でのみ活動を行う。

 

[ナイアース]は以下の能力を持つ。

【ナイアースレイン】

[アクティブ]詠唱時間:5s 効果時間:5s

効果:[自身]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[敵][キャラクター]に[継続的]に[ダメージ]を与える。[キャラクター]の[水属性][耐性]を[無視]する。

【ナイアースエセフセリア】

[アクティブ]詠唱時間:0s 効果時間:15s 再使用時間:15s

効果:[以下]の[パッシブ][スキル]から[5つ]まで選択して[獲得]する。

・【支配領域】[自身]を[起点]として[エリア]を形成する。

・【降臨延長】[サモン・ナイアース]の[効果時間]を[増加]させる。

・【再託宣】[ナイアースエセフセリア]の[効果時間]と[再使用時間]を[下降]させる。

・【自由の秘跡】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]は[妨害]を受けない。

・【自由の呪縛】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[敵]は[抗体]を[獲得]できない。

・【領域の秘跡】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[エリア]を[拡大]させる。

・【領域の呪縛】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[敵]は[エリア]を[形成]できない。

・【水流の秘跡】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]の[スキル]を[水属性]にする。

・【水流の呪縛】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[敵]の[水属性][ELM]を[下降]させる。

・【絆の秘跡】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]は[エリア]を[形成]する。[自身]以外の[味方]の[エリア内]に[任意]で[移動]できる。

・【絆の呪縛】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[敵]は[エリア]を[形成]する。[敵]は[自身]以外の[敵]の[エリア内]に[移動]できない。

・【液体の秘跡】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[味方]が[使用]する[ポーション]の[効果]が[増加]する。

・【液体の呪縛】[自身]の[発動]した[エリア]にいる[敵]は[ポーション]を[使用]できない。

 

 しかしそんな隙を晒したまま、詠唱時間を確保できるはずもないでしょう!

 

「«テレポート»なのです!」

 

 メグさんが一瞬のうちに«テレポート»でプレイヤーとの距離を詰め、斧を振り下ろす。対する相手も即座に«テレポート»で距離を取ろうとするが――発動しない。

 

【アブソリュート】

[アクティブ][近接][攻撃][物理]

消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:45s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。この[スキル]に[キャラクター]の[モーションアシスト]は[反応]できない。

 

 斧の一撃を頭部に受けて、地面に叩きつけられそうになりながらも再び«テレポート»を起動する。今度は成功し、メグさんからもボクからも距離を大きく空けるが――。

 

「【ソウルフレア】!」

 

 転移先にはボクの妖精さんが待ち構えていた。白銀の炎に身体を焼かれ、全損しかける相手プレイヤー。【ディヴィジョン】を反射的に発動し、ダメージを無効化しようとするが――続けざまに妖精さんから放たれた二本の【アンプルアロー】が残りHPを刈り取った。

 

「よし、今のうちに環境を整備しますよ!」

 

 周囲に敵がいないことを確認して、ボクは【パーティストレージ】から巨大な【ホーム】を取り出す。壁に〚ライトニングボルト〛の発射機構を備え付けた要塞とも呼ぶべき施設だ。

 

 その間にメグさんは【クレヤボヤンス】で周囲を見渡し、他のプレイヤーの姿を確認していく。

 

「どうやら各地で同じように【ホーム】を建てて布陣を整えているようなのです。先の【ダイダルウェイブ】で弾き飛ばされた人たちも、それぞれ分散して別々の場所にいるのです」

 

「全く。それぞれが布陣し始めたらいつまで経っても戦いが始まらないじゃないですか。正々堂々と戦いましょうよ」

 

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>おまえじゃい!

 

>エリアを縮小されてもダメージのペナルティを受けきれる見込みなら、本格的に動く意味が無くなるよな……

 

>ホームタクティクスとかいう最強戦術

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テクニックその131『マイクロダム』
〈流水誘導〉とは逆に、道筋をせき止めるような干渉で投射攻撃を打ち消すのがこのテクニックです。相手が〈流水誘導〉を使っていなければほぼ確実に攻撃を霧散させる事ができますが、そうならないのが現環境。そこで【キネシス】の影響を受けたアイテムを利用して水流をせき止める事で、空間の支配権において優位に立つ事を狙いましょう。
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