卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「プレイヤーネーム『卍さん』『メグ』、今度はこちらから攻めますよ」
そう宣言すると同時に、AWPさんの隣にもう一人のAWPさんが出現する。【アサシン】の人権スキルである【ユビキタス】が生み出した分身だ。
分身は全てのステータスを本体と共有しており、攻撃の手数を増やせる。
二人のAWPさんが次々と嵐の如く矢を撃ち放つ。AIの得意技であるスキルの同時発動だ。その多くは先程と同じ【ピアースショット】だが、分身が放つのは【ボウフウ】だ。無制限に矢を高速射出するスキルを多重起動することでそれぞれの矢が重なり合い、まるで1体の生き物であるかのように身体を捩りながら迫ってくる。
【ボウフウ】
[アクティブ][数字:x回][投射][攻撃][物理][条件:弓][矢]
消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:25s
効果:[数字:x]を指定する。[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[任意]の[タイミング]で[キャンセル]が[できる]。
【〈パウダーホーム〉】だけでは受けきれない。あれだけの数の矢を、それぞれの軌道に合わせて〈マイクロダム〉で受け止めようとしても、いくつかは正に〈トンネル避け〉のようにすり抜けていくだろう。
「【ピアースショット】の防御は頼みます!」
「って言っても、色んな角度からの攻撃を鉄板一枚で受けきれる訳が無いのですー!?」
メグさんの泣き言を無視して、ボク達の陣地である【ホーム】に魔力を送り込む。すると、家の周りに備え付けられた銃砲が角度を変えて〚ライトニングボルト〛を撃ち放つ!
〚ライトニングボルト〛は確かに威力が低いけれど、手数で攻める【ボウフウ】の単体威力はそれよりも低い。雷が矢の嵐を薙ぎ払うのを確かめ、ボクは詠唱を始める。
「〈夜空に輝く神の一欠片、大いなる炎の源よ――灼熱の業火を身に纏い、天空より顕現せん〉――」
「何かと思えば【メテオ】ですか!その程度は避けることなど容易で――」
「【メテオ】!」
次の瞬間、AWPさんの
「【パインサラダ】を補給するような暇は与えませんよ!」
「〈リバーススキル〉ですか……眼球を反転させましたね?」
【メテオ】は空から落ちるスキルであり、カテゴリで言うと『落下』に属する。基本的に、普通に使う限りその現象は変わらないのだが、寝転びながら使ったり逆立ちしながら使ったりすると、その体勢に合わせて隕石の落ちる向きが変化する。
厳密に言えば隕石の落下方向に関わっているのはプレイヤーの眼球だ。180度反転させて視界を逆さまにすれば、逆立ちせずとも隕石を下から上に落下させることができる。
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>キモすぎて草
>これもう人間じゃないだろ
>やろうとしてないだけでおまえらにも簡単に使えるぞ
>まず視界の向き依存で落下方向が変わるシステムがおかしいよね???
>ユーキちゃん「仕様です」
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一方でメグさんはどうしているかというと、【アトラクト】で投射攻撃の向きを変えながら、強引に鉄板で全ての矢を受けきっていた。やればできるじゃないですか。
「【クリティカライズ】――【コンセントレイト】――【オールレンジド】――《
【クリティカライズ】
[アクティブ][自身][支援]
消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s 効果時間:30s
効果:[キャラクター]が[命中]させた[投射]を[クリティカル]に[変更]する。
【コンセントレイト】
[アクティブ][キャラクター][支援]
消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s 効果時間:30s
効果:[キャラクター]が[発生]させた[クリティカル]の[効果]を[増加]させる。
【オールレンジド】
[アクティブ][自身][支援]
消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s 効果時間:30s
効果:[キャラクター]が[発動]する[近接]を[投射]に[変更]する。
【パインサラダ】を食べる暇などないと、AWPさんもわかっている。しかし、本来なら重複発動できる筈の
「――そして《運命変転》!これが最後です!受けきってみせろ!プレイヤーネーム『卍荒罹崇卍』!」
「良いでしょう!軽く捌いてやりますよ!」
「【アブソリュート】!」
発動と同時にAWPさんのHPは0になり、《
そしてボクを支えていた【モーションアシスト】が無効化される。ここからは自身の
メグさんは鉄板を構えたまま後方に下がる。ボクに委ねるつもりなのだろう。
【アブソリュート】により【モーションアシスト】を封じられた今、【〈パウダーホーム〉】を制御して受け切るのは難しい。《運命変転》で感情を引き上げたAWPさんの制御では、針で糸を縫うように躱されてしまうことだろう。
ならば避けるか?そんなのとんでもない!正面から受けきってこそのボク、プレイヤーネーム『卍荒罹崇卍』でしょう!
「〈派手に弾けろ〉――【《イグニッション》】!」
HPを消費して次に発動するスキルの威力を引き上げる魔法――その力を、アバター自体の出力にまで適用させる。
そして手を素早く前に伸ばし――
「掴んだ……スキルによる攻撃を!?」
「お返しですよ!」
掴んだ矢を反対に向けて、全力で投擲する。放たれた矢は光の速度を超えて空間を切り裂きながら突き進み――AWPさんの胸を貫いた。
HPが0のままで強引に踏みとどまっていただけのプレイヤーがその一撃に耐えられる筈もない。今度こそ真の意味で全損し、粒子になって消えていく。
「凄いのです!確か……スキルを〈
「そういう事ですね。好きなスキルがあればみなさんもこれくらいできますよ」
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>ねーよ
>ディバインアクションに比べれば遥かにマシだぞ
>ロールプレイングよりは現実的定期
>そんな定期は無い
>確かにディバインアクションと比べたら普通だな
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コメント欄では文句を言われている《
「よし。築陣戦術の有効性はわかりましたし、次は他のプレイヤーの拠点に攻め込んでみましょうか!」
テクニックその132『リバーススキル』
メテオなどの落下スキルは逆立ちしながら使えば地面から空へ落ちていきます。もちろん逆立ちしなくても眼球を反転させれば同じ現象を再現可能です。簡単でしょ?