卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「んー、【クレヤボヤンス】で探ってみたのですけど、他のプレイヤーの陣地は壊滅状態みたいなのです。今も攻め込まれている陣地があるのです」
「やはり陣地に攻め込もうと考える人は他にも居るんですね。どうです?その陣地も潰されそうですか?」
「いや――その場所は防衛側のプレイヤーが優勢みたいなのです。家に備え付けられた大量の銃器で弾幕を張っている……?どうやら防衛側は寿美礼さん……?」
寿美礼さんですか。確か大会の開催前には『下見のその先』に行き着いていると豪語していたけど、聞いた限りでは普通の築陣戦術のようだ。
彼女の
なんにせよ【ボウフウ】レベルの弾幕でなければ、【〈パウダーホーム〉】である程度は受け切ることができる。
「今も戦いは続いているんですよね?乱入しましょう!」
「了解なのです!」
戦場の座標を確認すると、ボクは即座に«テレポート»を発動させる。弾幕の嵐の中に転移したボクは――
「【フルバーニング】!」
瞬間――広範囲に壊滅的な威力の爆発が広がる。先の戦いで発動させていた【イグニッション】の効果が上乗せされ、ただでさえ『
周囲に撒かれていた弾幕は一瞬にして消し飛び、本来ならエリア範囲外のはずだった弾さえも余波だけで消し飛ぶ。
「急に乱入してくるな!」
寿美礼さんと戦っていたプレイヤーがHP1で苦言を呈するが、背後に転移したメグさんの斧で殴り飛ばされ、そのまま全損する。
「腐ってもこの戦場は【サバイバル】ですよ、乱入なんて上等でしょう?」
----
>腐ってるのは認めるのか……
>まあ装備を持ち込める時点で存在意義の9割くらいは腐ってるな
>もしかしてこのゲームってクソゲーなんじゃ……
----
さて、これで仕切り直しだ。まずは【〈パウダーホーム〉】を展開して――そう考えた直後、地面から飛び出した銃弾がボクの身体を掠めた。
「危なっ!〈リバーススキル〉ですか?」
「勘が良いのね、《『第六感』》って奴かしら?AIはそういう直感的な概念には向いてないのよねー」
〈トンネル避け〉が間に合ったのは本当に偶然だ。当たっても即死とまではいかなかっただろうが、致命的なダメージにつながるのは間違いなかった。
それにしても――【ガンナー】のスキルに『落下』型のスキルはなかったはずだ。装備限定スキルも含めれば話は違うのかもしれないが、いずれにせよメジャーなスキルではない。
そう考察を広げながらボクはちらりと地面を見て――思わず二度見した。
「銃器が埋まっている……?」
改めて《『心眼』》で見てみれば一目瞭然だ。この辺りの地面にはまるで畑のように銃器が所狭しと埋め込まれている。〈リバーススキル〉ではない。この銃器から弾が撃ち出されたんだ。
しかしどうやって地面に銃器を埋め込んだ?【ホーム】に備え付けられた銃器ならまだしも、【サバイバル】開始後にこれだけの準備を行う時間はないはずだ。そもそも先の【フルバーニング】の火力であれば、地中の埋設物すら粉々に砕け散ってもおかしくはなかった。この銃器が『不壊』なら話は別だが、地面に【ホーム】が埋まっている様子はない。
そんな思考を遮るように地面から銃弾が放たれる。ボクは«テレポート»で上空に転移してから【〈パウダーホーム〉】をばら撒いて牽制する。遅れてメグさんも展開した領域の中に避難した。
「やっぱり邪魔ね、そのアイテム。『投射』が主体の
などと自嘲する寿美礼さんだが、【ガンナー】にはこれを打開するスキルがあることを知っている。【ポップガン】は発射した投射攻撃を弾けさせ、エリア系のスキルとして再発動できるスキルだ。ボクが【シルフストーム】の範囲攻撃でダメージを与えた時と同じように、領域の外側からエリアを展開すればダメージを与えられる。
【ポップガン】
[アクティブ][投射][エリア][補助][条件:銃器][弾丸]
消費MP:4 詠唱時間:0s 再詠唱時間:60s
効果:[自身]の発動している[投射]の[ターゲット]を[エリア]として[再発動]する。
大地からせり上がるように噴き上がる銃の弾幕。幸いにしてそれらの攻撃は単なる通常攻撃だ。【フルバーニング】で吹き飛ばすのは簡単だし、今のボクにはあのスキルがある。
「【エレウテリア】!」
ボクが視線を向けながらスキルを発動させると、全ての弾が一瞬で弾き飛ばされる。『炎属性』と『視界』の性質を加えた風の魔法は、ただ視界に捉えるだけでダメージを発生させる最速の一撃と化す。
【エレウテリア】
[アクティブ][風属性][任意][任意][攻撃][魔法]
消費MP:28 詠唱時間:5s 再詠唱時間:15s
効果:[発動時][キーワード]を[2つ]まで[指定]する。[ダメージ]を[与える]。
銃弾に加えて視界の隅に捉えた寿美礼さんにまでダメージは及び、HPを大きく削るが――すぐに全回復されてしまう。
「プレイヤー撃破時のボーナスアイテム……。さすがの効力ね?」
【オートユーザー】に【エリクサー】を仕込んでいたのか!それでも【エリクサー】の数には限りがある。これを繰り返して削っていけば――。
「あっ、あの弾丸はなんなのです!?」
寿美礼さんが銃を構え、撃ち放った弾丸――それはあまりにも巨大だった。ミサイルとすら見紛うほどの巨大さを誇る銀色の塊――それが光を超える速度で迫りくる。
「あれを【ポップガン】で弾けさせるつもりですか!?」
【エレウテリア】は
「メグさん!」
「«絶対防壁»!」
メグさんは鉄板を取り出して、【マクロ】を発動させながら超速度で前進する。どんなに質量が大きくても、速度が速くても、【マクロ】の優先度には敵わない!貫通不可の鉄板で銃弾を受け止めて、強引に押し返す。
押し返された弾が向かう先にいるのは寿美礼さんだが――。
「――使わせてもらうわよ。NPCの〈特権行為〉を!」
「と、〈特権行為〉!!??」
次の瞬間、弾丸がばらばらに砕け散り――無数の小さな弾丸となって再びメグさんへと迫る!
ボクは【〈パウダーホーム〉】を引き連れてメグさんを守るべく前に出た。
「さぁ、AIと人間の演算力勝負――どちらが勝利を掴むのかしら?」