卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
それから1ヶ月後――。
「まだ終わらないんですか!【サバイバル】は!」
「まだ2500人も残ってるのですー……」
----
>1ヶ月も試合継続すな
>クソゲーすぎてわろた
>用事で離脱している人もいそう
>離脱を差し引いても2500人も残ってるのは凄い
----
ペナルティなんて
時間の経過とともにペナルティの威力が上昇している気配はあるが、少なくともこれまでの1ヶ月分の加算は微々たるものだ。問題なく受け切れてしまう。
基本的に【サバイバル】においてバトルは常にリスクと隣り合わせだ。積極的に仕留めに行こうとするボク達のようなプレイヤーもいるとは思うが、攻撃された側はその気になれば«テレポート»でいつでもマップの果てまで逃げられる。今も生き残っているプレイヤーの多くはそうした遅延戦術によって選ばれし最後の100人に残るつもりらしい。
«テレポート»で逃げられても、〈ロールプレイング〉で思考を再現していれば逃走先の予測もつく。ボク達はそうしてプレイヤー達を狩り続けているが、それでも1日に10人狩れれば上出来なほうだ。
今も生き残っているプレイヤーの多くが、ボク達と同じく対人向けにチーミングを組んでいるのも、対人のハードルを大きく引き上げる要因だろう。
「こうなってくると、ゼプテンさんのようにマップ全域に攻撃を仕掛ける方がマシに思えてきますね……」
そう愚痴っていた次の瞬間、状況がひっくり返った。
――世界が止まったのだ。
サーバーの処理落ちなどでは決してない。世界が灰色に染まり、全く身動きができなくなるこの現象――間違いない、【『クロノス』】だ。
「帝王龍さんが参加していましたか……!」
ここに至るまで一度も時間停止は行われていなかったが……ついに起動したところを見るに、状況の膠着に辟易しているのだろう。
「どうするです?恐らく乱戦が始まっているのです。参加するです?」
「ちょっと様子を見に行ってみましょうか。帝王龍さんの思考だと――【インカパタ雪原】の辺りにいるようですね」
「よし、それじゃあ行ってみるのです!«テレポート»!」
メグさんが先んじて«テレポート»したので、ボクもそれに追従して転移する。移動した先には一面真っ白の雪原が広がっていて――。
「オラオラァ!どうしたどうしたァ!?抵抗してみろやァ!」
「【
帝王龍さんは二人のプレイヤーを相手取り、孤軍奮闘していた。その口ぶりから察するに、女性プレイヤーの方は【
「【オフセット】ォ!」
【オフセット】
[アクティブ][近接][攻撃][物理][ガード][条件:盾]
消費MP:6 詠唱時間:0s 再詠唱時間:45s
効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[スキル][相殺判定時]に[出力]を[増加]させる。
帝王龍さんは弓を振るい、【エアーマシンガン】の弾を弾こうとするも、逆に腕ごと弾かれてダメージを負ってしまう。ダメージ的には大したことはないようだが。
【エアーマシンガン】は手数で勝負する風属性の特性を象徴するようなスキルだ。本来なら物質干渉力も低く、単体なら通常攻撃で軽くいなせるはずだ。そんなスキルに対してわざわざ【オフセット】を切ったにもかかわらず、判定負けする?
「物質干渉力を底上げする――ってわけではなさそうだなァ」
「あなたと違ってわたくしは自分の力を曝け出すような真似はしませんので」
女性――Eternal Angelさんはあくまで【エアーマシンガン】の発射に専念しており、攻撃の役割を担うのは後方に控える男性――x終焉を告げる悪鬼xさんのようだ。【バード】として様々な音楽系魔法を起動し、相手を狙い定めることなく広範囲への攻撃を繰り返している。その影響で戦いに参戦しているわけではないボク達のHPまで瞬く間に削られていく。
「ボク達に攻撃をしたってことは――参戦しても良いということですよねぇ?」
彼らに攻撃を行う意図がなかったのは明らかだ。野次馬に来たボク達が勝手に攻撃を受けただけ。でもそんな事情は関係ない。実際にダメージを受けたのだから、ちょっとくらい仕返しをしたって良いでしょう?
「«ソーラーレイ»なのです!」
そんな理論武装をしている間にメグさんが動いていた。周囲の光を一点に集め、光線を射出する。このエリアは吹雪の影響で太陽が隠れているが、洞窟の中ですら十分な威力で放てるのだから悪条件とすら言えない。
Eternal Angelさんが【エアーマシンガン】を光線に向けるが、あくまで単発攻撃を連続で放つだけのそれに対し、«ソーラーレイ»は途切れない連続攻撃だ。一瞬ごとに見れば相殺されようとも、継続力で強引に押し切れる。彼女は【エアーマシンガン】を中断し、サイドステップで直撃を避けた。
「厄介ですわね――あなた!」
「了解――【『デュスノミア』】――【誘いのレクイエム】!」
その瞬間だった。メグさんの放つ光が一瞬にしてかき消える。
「そちらも【
「まずいのです、【マクロ】を封じられたのです!」
メグさんの話を受けて自分もステータスを確認すると、『マクロ封印』という聞いたこともない効果の
他にも気になる点がある。本来なら付与されるはずの【誘いのレクイエム】の
【誘いのレクイエム】
[アクティブ][聴覚][詠唱中][闇属性][支援][妨害:確定][魔法][演奏]
消費MP:12 詠唱時間:20s 再詠唱時間:30s 効果時間:5m
効果:
[詠唱中]:[ダメージ]が[遅延]する。
[詠唱後]:[蘇生]した[キャラクター]を[死亡]させ、[蘇生][スキル]を[封印]する。
普通なら蘇生スキルの発動を封印するという効果のはずだが、本来の
つまり【『デュスノミア』】の『権能』は、既存のスキルに対する効果の改竄だ。
【『デュスノミア』】
[アクティブ][自身][支援][オーソリティ]
消費MP:2 詠唱時間:0s 再詠唱時間:30s
効果:[次]に[発動]する[スキル]の[効果]の[単語]を[1つ]まで[改竄]する。ただし[オーソリティ]には[適用]されない。
既存のスキルを別の効果に書き換える【
全く異なる効果に書き換えるという事は出来ず、単語を1つ書き換えるのが限界のようです。低コストのスキルに強力な効果を付与する事もできますが、どちらかと言えば元々の効果テキストに独自性があるスキルに使用する方が有効性が高いかもしれません。