卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第428話 サモン・アネモイ

 【フィーニクス】、【アネモイ】、【ナイアース】、【ガイア】。四属性の頂点に君臨する召喚モンスターが、自在に各々の力を組み合わせながら攻め立ててくる。

 

 【ガイア】の恐ろしさはつい先日の戦いで身にしみている。味方に特別製の【カタパルト】を補給する【グランドローディング】の存在だ。

 

【グランドローディング】

[アクティブ]

再詠唱時間:5s

効果:[自身]が[形成]した[エリア]にいる[味方]に[カタパルト]を[発動]させる。この[効果]で[発動]した[スキル]は[キャラクター]の[土属性][耐性]を無視する。

 

 これにより、プレイヤーだけではなく同時に召喚したすべてのキャラクターが【カタパルト】を装填し、思い思いに乱射し始める。

 

 投射攻撃が乱れ飛ぶこの状況に、あまりにも適合した能力を持つのが【アネモイ】だ。

 

【アネモイストーム】

[アクティブ]

効果:[味方]が[発動]した[投射][魔法]を[起点]として[エリア]を[形成]し、[範囲]の[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。[キャラクター]の[風属性][耐性]を無視する。

 

 【シルフストーム】の完全上位互換スキルで、乱れ飛ぶ【カタパルト】のすべてを起点に範囲攻撃をばらまける。範囲は【〈パウダーホーム〉】で【カタパルト】を防げる領域よりもはるかに広く、エリア攻撃であるために〈トンネル避け〉などの小細工も通用しない。

 

「【フルバーニング】!」

 

 迫りくる【カタパルト】を吹き飛ばした。だがその直後には次の岩弾が射出される。このままじゃ召喚モンスターが帰還するまで抑えきれない! そう思ったところで、時間が停止した。

 

「世話が焼けるなァ!卍さん!」

 

 止まった世界の中で帝王龍さんが矢を撃ち込み、岩弾を次々と破壊していく。Eternal Angelさんが発射した【カタパルト】だけは破壊できなかったが、それ以外の岩弾は瞬く間に排除された。

 

「〈大いなる水の暴威をその身に受けよ〉――」

 

 Eternal Angelさんは【ダイダルウェイブ】の詠唱を始めている。抵抗できないこの状況でそんな大技を撃ち込まれたら――そう考えた矢先、時間の停止が解除される。しかし、岩弾はすでにボクの前まで迫ってきていた。

 

「《ガゼルフット》!」

 

 次の瞬間にはボクの身体に〈魂の言葉(ソウルワード)〉の力が行き渡り、回避に限定した最適解を導き出す。わざわざ〈呪い〉の力を使うまでもなかった。後ろに下がればいいのだ。

 

 «テレポート»で後方に転移し【カタパルト】から距離を取ると、【アネモイストーム】が弾け飛ぶ。回避が遅れたメグさんが巻き込まれるが、彼女の耐久力ならそこまで心配はいらない。この一撃さえさばき切れれば十分だ。

 

 直後にEternal Angelさんが召喚した四体のモンスターは時間の経過により消滅していく。【『クロノス』】により時間が停止していた間にも召喚時間が経過していたのだ。

 

 本来なら【『クロノス』】によって時間が停止している間、時間が経過することはないのだと思われるが、モンスターの召喚時間は召喚者であるEternal Angelさんに紐付けられている。彼女が止まった時間の中を動くことができる故に生まれた隙だった。

 

「【ダイダルウェイブ】!」

 

 続けて水属性の大魔法が放たれるが、時間を止められているならまだしも、自由に動けるのならその程度の魔法に屈することはない。

 

 メグさんの後方に転移すると、彼女は鉄板を取り出して正面から津波を受け止めて逸らす。やっぱりだ、【『ニーケー』】は【マクロ】の絶対性や『不壊』のルールを打ち破るほどのスキルではない!

 

「【エレウテリア】!」

 

 ボクはメグさんの壁の横からひょっこりと顔を出し、炎の性質を帯びた魔眼の力で相手を凝視する。視界による攻撃を回避する方法は非常に限られている。【ガードジャスト】や【ディヴィジョン】を切らなければ受け止められず、瞬く間にHPを大きく削り取った。

 

「【神聖のオラトリオ】!」

 

 ここまで長々と演奏を続けていたx終焉を告げる悪鬼xさんがスキルを発動させ、周囲のプレイヤーが持つスキルの再詠唱時間(リキャストタイム)を大きく増加させる。すでに唱え終えたスキルですら、例外なく次に発動できるまでの時間が延長されるが、そこまで致命的なものではない。問題は、彼が次にどんな演奏を始めるかだ。

 

「【『デュスノミア』】――!」

 

 そして次に奏でるのは【追撃のカノン】――その出だしを聞くや否や、メグさんが動く。

 

「【シャラップ】!」

「ぐっ!?」

 

 x終焉を告げる悪鬼xさんの【黄金の才(ユニークスキル)】が不発に終わった。この隙を見逃すはずもない。

 

「〚テレポート〛!」

 

 ボクは〚テレポート〛で【〈パウダーホーム〉】の領域内、x終焉を告げる悪鬼xさんの後方に転移し、杖を叩き込む!

 

「【ソウルフレア】!」

 

 白銀色の炎が杖先から放たれ、x終焉を告げる悪鬼xさんを包み込む。無効化されなかった以上、ボクの炎属性魔法は相手のHPを確実に燃やし尽くす! 【パインサラダ】でHPが1だけ残ったが、次の瞬間には【サバイバル杯】のエリア外ペナルティが適用され、即座に全損した。

 

 まったく同じタイミングで帝王龍さんがEternal Angelさんに弓の一撃を叩き込み、全損させていた。ボクはすかさず【ゲールウィンド】を撃ち放つ。

 

 帝王龍さんはボクの放った【ゲールウィンド】を瞬間移動ですり抜けながら文句を垂れる。

 

「おいおい、さっきの戦いで助けてやっただろうが」

 

「だから【ゲールウィンド】に留めたんじゃないですか。ガチなら【フルバーニング】に巻き込んでいましたよ」

 

 今は【サバイバル】の場だ。一時的に共闘することもあれば、即座に決裂することもまた自由だ。むしろ帝王龍さんについては速攻で仕留めておきたい気持ちもある。

 

 先の戦いではスキルの相性が悪かったようだが、本来なら【黄金の才(ユニークスキル)】を持たない相手に対しては【『クロノス』】の方が圧倒的に脅威だ。

 

 ここまでの発動実績を見るに、おそらく10秒は止められる。10秒もあれば悠長に詠唱することもできるし、攻撃の回避も自由自在だ。岩弾を破壊していたことから察するに、停止中に打撃を与えることも可能と見える。

 

 ボクの前へ転移してきたメグさんが、帝王龍さんを見据えて斧を構える。一触即発の空気だが――。

 

「【『クロノス』】!」

 

 そして、決戦の火蓋が切られた――!

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