卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第431話 障壁

 最大HPを大量に確保し、準備が完了したところでابتسامةさんが動く。

 

 「〈その名は『ヒュマデサタン』、混沌たる化身の名の下に、今ここに契約を交わさん〉【コントラクトカード】!」

 

【コントラクトカード】

[アクティブ][自身][支援][魔法][専用]

消費MP:6 詠唱時間:10s 再詠唱時間:1m 効果時間:1m

効果:[カード]に[記載]された[モンスター]の[限定][スキル]を[1つ][選択]して[獲得]する。[選択]できない[スキル]も[存在]する。

 

 【カード】を利用してモンスターのスキルを取得する【シャーマン】のスキルだ。【魔王】のカードが出回っていることは前々から噂に聞いていたが、ここで出てくるか……!

 

 何のスキルを獲得したのかはわからないが、魔法の攻撃回数を増やす【トリプル】や怒涛の連続攻撃で最大HPを刈り取る【サミダレ】などの強力なスキルがあったと記憶している。支援(バフ)を剥がすか、最速で潰さなければならない。

 

「【アームズスイッチ】【剥奪】――」

 

 武器を装備していないときにのみ使用できる支援(バフ)の解除スキル、【剥奪】を起動する。その隙にぷにりんさんが【ラピッドショット】と【ダブルショット】を撃ち込んできたが、所詮はただの投射スキルだ。

 

 メグさんが【〈パウダーホーム〉】をばらまき、【キネシス】によって次々と矢を撃ち落としていく。

 

「【アブソーブ】!」

 

 『投射』ではなく、『座標』でもない。『キャラクター』そのものをターゲットに選ぶこのスキルは、射程内であれば確実に命中する。

 

 HPを吸収する通常の効果に加え、【剥奪】によって追加された支援(バフ)を剥がす効果を確実に適用するのが狙いだったが――。

 

「効いていない、無効化された?」

 

 【ガードジャスト】ではダメージを無効化できても支援(バフ)は剥がせるはずだ。【ディヴィジョン】は攻撃が命中してからなかったことにするので、一瞬だけHPゲージが減少するのを観測できる。

 

 それらのパターンとは異なる事象が生じた。ダメージは与えられ、HPもまともな量を吸収できている。にもかかわらず、HPゲージが全く動いていない。

 

 状況を分析する暇もなく、ابتسامةさんが目の前まで迫ってくる。

 

「【剥奪】【連撃】【圧倒】【浸透】――」

 

 【モンク】の支援(バフ)スキルを次々と起動させながらボクに向かって勢いよく体当たりを仕掛けてくる。【剥奪】が適用されてしまうと、【ライフバッファー】が解除されてしまう!

 

 即座にメグさんが割り込もうとして、

 

「《『動かないで』》」

 

「――ッ!」

 

 ぷにりんさんの『権能』により一瞬だけ足を止められる。

 

「«テレポート»!」

 

「«テレポート»だよー」

 

 大きく後方へ«テレポート»で退避するが完全に動きを読まれていた。ابتسامةさんは合わせるようにボクの正面へ«テレポート»し、そのまま勢いよく衝突してくる。

 

「くっ……」

 

 苦し紛れに【タブレット】を噛んで支援(バフ)を追加したが、解除されたのは【ライフバッファー】だった。先に最大HPが削り取られ、その後のダメージ判定でHPが『1』に減少する。【パインサラダ】を切らされたか……!

 

 即座に【オートユーザー】を起動してHPを最大まで回復させるが、この火力であればどちらにせよ一撃で削り取られる。

 

 ボクは再び【アームズスイッチ】を発動させて杖を呼び戻し、ابتسامةさんを見据えながら【エレウテリア】を発動させる。しかしやはりHPの減少はない。そこで彼が【魔王】から取得したスキルに気づく。

 

「『障壁』のスキルを取得しましたね!」

 

 【魔王】が戦いの開始時点から展開し続けている、ダメージを無効化する『障壁』だ。一定のダメージを与えると壊すことができるのだが、それまでは全くダメージが通らなかったことを記憶している。

 

 結果的には【剥奪】を使わずに【フルバーニング】で弾き飛ばしたほうがマシだった。完全な戦術ミスだ。

 

 メグさんはなんとか身体を動かし、ぷにりんさんに接近戦を仕掛けているようだが、動きはまだ鈍い。完全には解除されていないようだ。

 

 メグさんと合流するか、ここでابتسامةさんと相対するか――ほんの一瞬の逡巡の後に、

 

「【フルバーニング】!」

 

 ابتسامةさんを焼き払うことを選択した。瞬間的に大爆発が生じ、並のプレイヤーなら一撃のダメージを与えたはずだが、やはり無傷。おそらくは『障壁』すら破れていない。

 

「【ヒーリングエリア】〈癒やしの領域にて、長きに渡る祝福を〉」

 

 ابتسامةさんは追撃よりもまず先に布陣を整えることを優先した。『結界(エリア)支配者(ドミネーター)』としての堅実な立ち回りを見るに、【ビショップ】。先程まで発動していたスキルも踏まえれば【モンク】/【ビショップ】か。【コントラクトカード】は装備スキルによって獲得したらしい。

 

 『エリア』によって向上したステータスも踏まえれば、【ソウルフレア】や【フルバーニング】だけでは『障壁』を割ることはできない。【イグニッション】による強化が必要だ。

 

 そうなると、わざわざ勝負に付き合って『障壁』をぶち壊すより、【コントラクトカード】の効果時間(エフェクトタイム)である1分の経過を待つ選択肢も視野に入る。

 

 ただし【コントラクトカード】は再詠唱時間(リキャストタイム)も1分だ。解除されたときに隙を突かなければ、『障壁』を再展開されてしまう。なんらかの受動(パッシブ)再詠唱時間(リキャストタイム)を縮めていれば、効果時間(エフェクトタイム)中に再発動もできるだろう。

 

 ここまで思考を巡らせ、答えは決まった。最大火力でぶち破る。それが最適解であり、ボクの流儀だ。

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