卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
「こんな状況じゃジリ貧ですね……」
スキルによる打開も難しく、じわじわとHPを削られていく。ここまでに倒してきたプレイヤーからは、【エリクサー】を山のように入手しており、耐え切ることは可能だが――当然ながら相手もこのまま持久戦に臨むはずもない。
ابتسامةさんは『障壁』が割られたことで、見に徹しているが、再び【コントラクトカード】が使えるようになれば『障壁』を展開して大胆に攻めてくるだろう。しかもそのとき【スロウアイ】はまだ
やはりこの状況では、
「メグさん!」
「了解なのです――«ソーラーレイ»!」
絶大なAGIが生む速度で光を一点に収束させ、照射する強力な【マクロ】«ソーラーレイ»。普通に当てるだけでも多大なダメージが見込めるが、今回はさらにひと工夫加える。
メグさん一人が集められる光量には限界がある。そこで隣のボクが全能で光を送り込み、出力をさらに引き上げる。
刹那にも満たないチャージを終え、光線が射出される。人を容易に飲み込みかねないほどの極太の光線が伸び、周囲の矢を蹴散らして突き進む。
凄まじい速度――そして密度を持つこの攻撃を〈トンネル避け〉で避け切るのは容易ではない。ぷにりんさんに命中し、HPが一撃で全損し得るほどの継続ダメージを与えるが――。
「【アルティマヒーリング】〈癒やしの神に希う……〉」
ابتسامةさんが【先取りの奇跡】によって最高クラスの回復魔法を発動させる。【ビショップ】の特性によって最大HPを超える回復を行い、強引に光線を受け止めた。
とはいえ【アルティマヒーリング】の
「シャラ――」
「《SANチェック》です!」
【シャラップ】の発動直前に恐怖の根源を撃ち込み、ぷにりんさんの動きを止める。本来なら恐怖の力は『異形』の十八番だが、〈
そのわずかな隙にメグさんが光を超越する速度で駆け抜け――斧を突き出す。
「«五月雨突き»!」
現環境の最大AGIを記録した最速の突き技は、時間の最小単位すら打ち破り、寸分の狂いもなく六つの刺突を同時に放つ。その
この場に残ったのは、20秒の
二人のプレイヤーを撃破し、メグさんはすぐさま【ライフバッファー】の詠唱を始める。再び漁夫の利を狙う他のプレイヤーがいるかもしれないからだ。だが、さらなる襲撃はなく、ボクの最大HPが大きく増加する。
これでようやく一息つける。【パインサラダ】を取り出してもぐもぐと頬張りながら、ボクは警戒を解いた。
「やはり【ライフバッファー】は重要ですね。あるのとないのとじゃ安定感が違います」
メグさんもここまでの長期戦に緊張していたらしく、ほっと息をつく。
「それはよかったのです。今回みたいに
これまでボクの生命線は【パインサラダ】だけでしたからね。連続攻撃で簡単に刈り取られてしまうことを考えると、全面的には信頼しきれませんし、今回に限ってはペナルティダメージもある。こういうときは【パーティ】編成のありがたさを感じますよ。
ごくんと最後の一欠片を飲み込むと、料理の
それからボクは【メニュー】から残り参加者数を確認する。
「まだ2490人……先は長いですね」
「残り100人で終了でしたっけ?とんでもないのです……」
エリア外にいることによるペナルティを実質的に踏み倒してしまったせいで、戦いはすでに膠着状態となっている。このままでは、ボクたちが2390人を倒し切るまで終わらないかもしれない。
「まあ――のんびりやってきましょう。倒せば倒すほどにリソースが増えますからね」
いつの間にか受けていたペナルティのダメージをポーションで回復しながら、ボクは大きく伸びをした。メグさんには【ファストリカバー】を掛けてアイテムを節約しておく。そうしていると、またもやボクのHPが減っていた。追加のポーションを発動させて――。
「……ペナルティのダメージがさらに大きくなってきているような……」
今まではポーション1つで回復できていたペナルティのダメージが、今回は2つ必要になってしまった。時間経過でダメージが増えていく傾向はこれまでにも見られたが、その速度がだんだんと上がっているようだ。
そろそろ【サバイバル杯】も終わりが近いかもしれませんね。