卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる! 作:hikoyuki
一回戦である【サバイバル】が終わり、お友達と戯れたボク達は、ひとまず解散することにした。
第二回戦の【ダブル】は二ヶ月後に開催予定だ。これからさらに入念な準備を重ねていくつもりだが、今日くらいは終わりにしてもいいだろう。
「それではお疲れ様でした!メグさん、また今度打ち上げ会をやりましょうね!」
「了解なのです!お疲れ様ーなのです!」
「視聴者の皆さんもお疲れ様でした!長い戦いでしたが、最後までご視聴頂きありがとうございます!それじゃあまたねー」
----
>最後まで見てる訳ねーだろ。どれだけ長かったと思ってんだ
>おつかれー
>よし、無事に試合が終わったと聞いて最後だけ見に来ていた事はバレてないな
>普通に最後まで画面に張り付いて見てたんだよなぁ
>俺も無事に勝ち残れた!次の試合で卍さんと戦えるかな
----
配信に流れるコメントを眺めながら、ボクは【フォッダー】からログアウトする。視界が暗転し、ようやく戻ってこれた。一ヶ月ぶりの我が家だ。
「おつかれさまでしたー!お二人はどんな感じですか?」
『VRステーション2』を開け、そう声を掛けると、灑智はこちらを振り返って笑顔を向けてくれる。
「おかえりなさい、お姉様!私も無事に【サバイバル】を切り抜けましたよ!」
「わたしの所は半月前には終わってたんだけどねー♥」
どうやらボク達が参加していた組以外では、もっと早く決着がついた所もあるらしい。ペナルティのダメージで強引に勝敗が決したのではなく、普通にプレイヤー同士の戦いで人数が減っていったのだろうか。
「そんなに早く終わったんですか?どんな感じだったんです?」
「ワールド全体に作用する【
「なるほど、【『クロノス』】みたいなタイプですか。いや、【『クロノス』】の場合は時間停止の影響はあっても実質的には使い手と戦っている相手にしか関係ないですし、また別のパターンかな?」
「世界全体にルールを設定するタイプなのかな?【『テミス』】っていうスキルでね、発動と同時にシステムメッセージでルールが通達されるんだよ♥」
それからとがみんは実際に設定されたルールの内容を教えてくれた。一定時間以内にキャラクターを全損させなければペナルティによって死刑が執行されるらしい。
「実際にその【
「恐るべきスキルですね。制定したルールは自分自身にも適用されるのだと思いますが、それでも強力無比です」
相手に使われたら厄介な戦術を封じたり、対戦環境を自分の基準で好き勝手に捻じ曲げたりできる。
「【『クロノス』】と同じか、それ以上にはた迷惑なスキルですねっ。逆にこれまで知られていなかったという事は、自重していたのでしょうか?」
「そうとも限りませんよ。【
【『クロノス』】は連発されても他のプレイヤーにとっては面倒なだけだ。けれどルールを自由に決められる【
つまりそんなスキルを持ってるとしたら、自重なんて出来ない。逆に言えば、自重をしていたわけではなく最近【
「もしかしたら今後は大会以外でも発動を確認できるかも知れませんね。ちなみにスキル名とかはわかってるんですか?」
「えっとね、ルールが制定される時にはシステムメッセージが流れるんだけど、その時に書いてあったよ♥【『テミス』】だって」
【『テミス』】……。どうやら掟を司る女神のようですね。今後はその効果が適用された状態で戦うこともあるかもしれません。覚えておきましょう。
「とがみんの方はわかりました。灑智の方はどんな感じだったんですか?」
「私の方は普通ですよ。ペナルティのダメージが増えるまで試合も長引きましたし。あんまり長かったものだから、〚ノア・イース〛で押し流したいなーって思いながら戦ってました」
「まあ灑智は『VRステーション2』でログインさえ出来れば、どこぞの《『魔眼』》と同等レベルの影響を与えられますからね……」
「残念ながら電脳世界へのログインは基本的に禁止されているんです。この前の戦いは本当に例外だったんですよ?」
「自主的な縛りっていう訳でも無かったんだね♥どうして禁止されてるの?」
「あまり長々とログインしていると、世界中のインフラに影響が出るんですよね……。下手をすると、不可逆的な損傷を引き起こす可能性もあります」
「そんなレベルなんですか!?逆にこの前はよくログインを許して貰えましたね……」
「まあ、私レベルともなるとお願いをすれば忖度してもらえるんですよっ」
「自慢げに言う事じゃないですよ……」
世界全体に所持者が考えたルールを制定する【ユニークスキル】です。
詳細は不明ですが、ルールに違反したプレイヤーにペナルティを与える事ができるのだとか。