卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第439話 フォールダウン

 さっそくルールもわからないカードゲームの対戦をしてみることになったボクたち。そもそもどうやって対戦を開始するのかな、とヘルプを見てみると、どうやら合言葉があるらしい。

 

「よし、【フォールダウン】――『スタート』!」

 

「【フォールダウン】――『スタート』です♥」

 

 次の瞬間、ボクと明日香さんとの間に無数のマス目が描かれたフィールドが出現する。それと同時にカードを置く場所らしきプレートが目の前に現れ、デッキが自動的にセットされた。

 

 そしてデッキから5枚のカードがめくれ、紙吹雪のように弧を描いてボクの前へ舞い降りた。カードはふよふよと浮かびながら、選ばれるのを待ち望んでいるようだった。

 

「さて――どちらのターンからですかね?」

 

 再びヘルプを確認しようと【メニュー】を開くと、それよりも先にシステムメッセージが響き渡る。

 

『使用する【カード】を選択してください。【フォールダウン】ではお互いのプレイヤーが同時にアクションを行い、フェイズを進行させます』

 

「なるほど、交代制ではないのですか!」

 

 多くのカードゲームではゲームの開始時に先攻と後攻を決めて、ターンプレイヤー(カードを主導的に使用できる側)が交代しながら勝負が進むことが多い。

 

「とはいえ、今は何もできませんわね……♥」

 

「そうですね……。おや、このカードは……」

 

 手札に加わった【カード】は基本的にボクが持つ40枚の中から選ばれるものだと思っていたのだが、どうやら違うらしい。

 

【マナキャスト】

COST:0

効果:[自身]の[マナ]を[1][ポイント][回復]させる。この[効果]は[1][フェイズ]に[1][回]まで[発動]できる。この[カード]は[消費]しない。

 

 ボクは【マナキャスト】を選択する。明日香さんも同じ選択を行ったようだ。視界の隅で蒼い宝石が瞬き、液体のような光が内部を巡る。そしてデッキから追加の【カード】が手札に加わった。

 

『卍荒罹崇卍 ライフ:30 マナ:0→1』

『屠神 明日香 ライフ:30 マナ:0→1』

 

 現在の【マナ】は1だ。【カード】に記された『COST』の数字は、【マナ】を消費して召喚あるいは効果を発動するための制約だと思われる。そしてボクの手札に『COST』が1の【カード】は存在しない。というわけで再び【マナキャスト】を選択したのだが……。

 

「【マナキャスト】して【ダイナモファング】を召喚です♥」

 

『卍荒罹崇卍 ライフ:30 マナ:1→2』

『屠神 明日香 ライフ:30 マナ:1→2→1』

 

「先に召喚されましたか!」

 

【ダイナモファング】

COST:1 HP:1 AT:2

効果:[自身]の[攻撃]が[成功]した[時]、[任意]の[キャラクター]に[1][ダメージ]を[与える]。

 

 再びデッキから【カード】が手札に加わるが、やはり何もできない。選べるのは【マナキャスト】だけだ。

 

「【マナキャスト】をして【ダイナモファング】で攻撃です♥」

 

『卍荒罹崇卍 ライフ:30→28→27 マナ:2→3』

『屠神 明日香 ライフ:30 マナ:1→2』

 

 フィールドに召喚された【ダイナモファング】が金属を擦るような雄叫びを上げると、ボクに向かって勢いよく突進する。衝撃はないが、ダメージを受けてHPが減少し、追加効果でさらに1ポイントのダメージを受けた。

 

「えぇっと……【マナキャスト】して……あっ、召喚できる!【煌めきのゴースト】を召喚!」

 

【煌めきのゴースト】

COST:2 HP:2 AT:3

効果:[トランスポーター]を[持つ]。

 

「【マナキャスト】して【弾丸うさぎ】を召喚、総攻撃♥」

 

【弾丸うさぎ】

COST:2 HP:1 AT:3

効果:[ファストムーブ]を[持つ]。

 

『卍荒罹崇卍 ライフ:27→25→24→21 マナ:3→4→2』

『屠神 明日香 ライフ:30 マナ:2→3→1』

 

 明日香さんの指示に従い、【ダイナモファング】と【弾丸うさぎ】が同時にボクへ突進する。なるほど、【ファストムーブ】は着地の硬直なしで殴れる能力ですか――なぜそれを明日香さんが知っている?

 

「ま、まさかッ……予習してましたね!」

 

「ふふっ、私がお姉様に御教示して差し上げますわ♥」

 

 そして次のフェイズ、ボクに取れる選択肢は3つある。【マナキャスト】をしても召喚できる【カード】はない。だから残るのは【煌めきのゴースト】の攻撃先だけだ。

 

 【弾丸うさぎ】に攻撃するか、【ダイナモファング】に攻撃するか、あるいは明日香さんに攻撃するか。

 

 このゲームのルールはいまだに理解していないが、おそらくお互いが同時にフェイズを行うシステム上、こちらから攻撃しただけで対象のモンスターから反撃を受ける仕組みではないと思う。

 

 ただし相手から攻撃対象に選ばれれば話は別だ。間違いなく今回のフェイズでは、どちらかのモンスターに攻撃されて【煌めきのゴースト】を破壊される。

 

 ここは盤面を重視して、モンスターを攻撃すべきだ。

 

「【マナキャスト】して【ダイナモファング】を攻撃!」

 

「【マナキャスト】して【ダイナモファング】で【煌めきのゴースト】を攻撃、【弾丸うさぎ】でお姉様に攻撃です♥」

 

『卍荒罹崇卍 ライフ:21→18 マナ:2→3』

『屠神 明日香 ライフ:30 マナ:1→2』

 

 案の定、明日香さんも【煌めきのゴースト】を攻撃し、お互いの攻撃で相打ちになる。そして【弾丸うさぎ】の攻撃を受けて着々とライフを削られていく。攻撃されるたびに減り続ける視界の数値を見るに、プレイヤーのライフは30で、今は12点を削られて残りは18点か。

 

 ライフでも負けて盤面でも不利、ありものの【カード】で組んだ適当な紙束とはいえ、できれば一矢報いたい。何か逆転の一手はないか……?

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