卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!   作:hikoyuki

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第444話 ランクマッチ

 【メニュー】から【闘技場】に入ると、そこには多くのプレイヤーたちが集まっていた。

 

「おお!結構賑わっていますね。これは当然【フォールダウン】のプレイヤーたちで――」

 

 と言葉を口にしようとしてすぐに閉じる。そんなわけがなかった。この【闘技場】は【シングル】や【ダブル】、【パーティ】、【サバイバル】まで含めたPvPに関するすべての競技を内包する受付所だ。

 

 競技エリアで戦っているプレイヤーもいれば、冷静に戦闘を分析するプレイヤーなどもおり、そこそこ盛り上がっているようだが、それはあくまで【フォッダー】の主軸であるバトルシステムにおける競技の話。

 

 見渡す限りでは【フォールダウン】について語り合っているようなプレイヤーはいないし、【フォールダウン】の競技も特に行われていない。

 

「おや、ゆうたさんが戦ってますね」

 

 ゆうたさんは【フォッダー】の【シングル】ランクマッチにおける最上位に位置するプレイヤーだ。この手のランクマッチで上位になるには単純に勝率が良いだけではダメで、ある程度は戦闘回数も積み上げていく必要がある。上位を維持するためにこうして日常的に対人戦を重ねているのでしょう。

 

「おっと、今回の本題はこっちじゃありませんでしたね。さすがにカードゲームのプレイヤーがいないということは考えられないと思うのですけど……」

 

 【ヒュマデサタン】を出すためにマナを貯め続けるという戦術がユーザー間で確立している以上、まったくプレイヤーがいないはずがない。どこかで【カード】の強さや戦術の優劣が定まる程度には環境が回っているのだと思うのだけど……。

 

 そう考えながら周囲を見回すと、見つけた。【闘技場】の隅で小さなフィールドを展開し、戦っているプレイヤーたちを。

 

「なんだか野良試合みたいな光景ですけど……」

 

「あれはランクマッチですね♥」

 

「え?」

 

 たとえばゆうたさんはきちんとした競技エリアの中で1 on 1の対戦をしている。観客席もあり、その戦闘を分析しているプレイヤーもいる。ランクマッチというからには最低限、形式的な競技エリアで行うものだろう。

 

 しかし、眼の前のランクマッチはそんなイメージとはまるで違う。おしゃべりできそうなくらいの距離で向かい合った二人のプレイヤーが、将棋盤をちょっと大きくしたくらいのフィールドでモンスターを召喚して戦っている。

 あまりの接近戦に、二人の吐息すら聞こえてきそうだ。

 

「ボクと明日香さんが戦っていたフィールドよりもさらに小さく見えますが……」

 

「フィールドのサイズはプレイヤー同士の距離に応じて変わるのです♥」

 

 なるほど。距離を取れば、その分だけ派手なフィールドが確保できるわけですね。目の前で行われているランクマッチは、単に距離が近いだけということですか。

 

「【マナキャスト】、【ヒュマデサタン】を召喚して【クラスチェンジ:アーチャー】を付与してプレイヤーに2回攻撃だ!」

「【マナキャスト】して【ヒュマデサタン】を召喚して【クラスチェンジ:アーチャー】を付与してプレイヤーに2回攻撃よ!」

 

【ヒュマデサタン】

COST:8 HP:11 AT:6

効果:[ファストムーブ][ダブルアタック][カウンター][エンシェント]を[持つ]。[自身]が[ダメージ]を[受けた][時]、[任意]の[モンスター]の[HP]を[2][ポイント][回復]する。[自身]の[攻撃]が[成功]した[時]、[任意]の[モンスター]を[1][体]まで[消滅]させる。[自身]が[場]に[存在]する[限り]、[相手][モンスター]の[AT]を[2][ポイント][減少]させる。[相手]が[勇者]の[召喚]に[成功]した[時]、この[カード]を[デッキ]から[手札]に[加える]。

 

【クラスチェンジ:アーチャー】

COST:2

効果:[任意]の[モンスター]に[カウンターブレイク][トランスポーター]を[付与]する。

 

 まるで鏡写しのように同じ【カード】を使い、同じ【クラスチェンジ】を付与している。どうやら【ヒュマデサタン】を使うという同じ戦術の中でもプレイヤーによって個性があるらしい。彼らの場合、コスト8が溜まってもすぐには【ヒュマデサタン】を召喚せず、召喚と同時に【クラスチェンジ】を付与できるコスト10まで待っていたようだ。

 

「【マナキャスト】、相手の【ヒュマデサタン】に2回攻撃!」

「【マナキャスト】して相手の【ヒュマデサタン】に2回攻撃!」

 

 お互いに【ヒュマデサタン】の効果で攻撃力が2ポイント下がっており、さらに攻撃を受けるたびにHPを2ポイント回復する効果まで持っているため、しばらくは泥沼の戦況が続く。

 

「【マナキャスト】、【クラスチェンジ:ビショップ】を付与、相手の【ヒュマデサタン】に2回攻撃!」

「【マナキャスト】して【クラスチェンジ:ビショップ】を付与、相手の【ヒュマデサタン】に2回攻撃よ!」

 

【クラスチェンジ:ビショップ】

COST:2

効果:[任意]の[モンスター]に[リジェネ][アクション:ヒール]を[付与]する。

 

【アクション:ヒール】

COST:1

効果:[任意]の[モンスター]の[HP]を[2][ポイント][回復]する。この[効果]は[1][フェイズ]に[1][回]まで[発動]できる。

 

「【リジェネ】はフェイズごとにHPを1ポイント回復する効果でしたっけ。これは本当に泥沼の戦いですね」

 

 現時点でお互いの【ヒュマデサタン】のHPは3。それが【リジェネ】の効果で4まで回復する。マニュアルによると、HPが0になった後に回復効果は適用されないらしいので、おそらく次のフェイズで【ヒュマデサタン】は破壊されるだろう。

 

「【マナキャスト】、相手の【ヒュマデサタン】に一回攻撃し、プレイヤーに一回攻撃!」

「【マナキャスト】して【アクション:ヒール】を発動!自分の【ヒュマデサタン】のHPを回復する。これで、相手の【ヒュマデサタン】への攻撃が一回だけだった場合は破壊を免れるわ!お返しで相手の【ヒュマデサタン】に二回攻撃よ!」

 

「くそっ、ヒールを切られたか!俺の負けだ!」

 

「この【ヒュマデサタン】でどちらに何回攻撃するか、【アクション:ヒール】を発動するか。その駆け引きが熱いのよね〜!」

 

「これってクソゲーじゃないですか?」

 

「はい、クソゲーです♥」

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